《 記憶する過程、記憶の分類、記憶の再生、忘却 》 1.記憶する過程 記憶には次の3段階の精神活動が含まれる。 ①ものを覚える過程=記銘(符号化、コード化とも呼ばれる) ②覚えていること=保持(貯蔵とも呼ばれる) ③覚えていることを思い出す=想記(検索とも呼ばれる) 2.保持時間による記憶の分類 ①感覚記憶 外界からの情報(映像や音など)は、まず感覚野にとどまるが、1秒程度で消失する。 ②短期記憶 心の中で行われるさまざまな情報処理の作業用記憶として使われる。 ワーキングメモリ、あるいは作動記憶と呼ばれることもある。 記憶内容は、平均的には約20秒間保持され、おおよそ1分位で消失する。 貯蔵できる容量には限りがあり、7±2項目である。 41262816 →「良い風呂に入ろう」=1チャンク チャンク化すれば、貯蔵できる情報量を増やすことができる。 短期記憶として維持するためには維持リハーサルを行う必要がある。 短期記憶から長期記憶に記憶を転送するためには、精緻化リハーサルを行う必要がある。 ③中期記憶 興味のある感覚情報は海馬傍回-内嗅皮質を通って海馬体に達し、一時的に貯蔵され、長期記憶 するか否かが選別整理される。 その期間は1時間~1カ月程度。 記憶内容の単純な繰り返し(維持リハーサル)のみでは、長期記憶にはなりにくい(以前に何度も 使っていたパスワードを忘れるなど)。 ④長期記憶 一時的に貯蔵されている記憶のうち、精緻化リハーサル(情報の意味を解釈したり、他の情報と 関連づけたりする)が行われたものは、間脳を通り、帯状回皮質を介して新皮質前頭葉などに 移行し、記憶痕跡として固定化される。 数時間~生涯保存される。 3.長期記憶の分類(陳述記憶と非陳述記憶) (1) 陳述記憶 頭の記憶、顕在記憶、宣言的記憶とも呼ばれる。 通常の意味で記憶と呼んでいるもの。 エピソード記憶と意味記憶に分類することができる ①エピソード(出来事)記憶 自分の体験や出来事に関する記憶であり、日時や場所およびその時の感情が含まれる(感情は 記憶の質に影響する)。 一回限りの学習機構である(あるエピソードを一回体験しただけで、それを記憶する)。 強い感情と結びついて記憶されたイベントは後々まで記憶され続ける傾向がある。 新たな記憶の形成には海馬が使われる。 女性のエピソード記憶は男性よりも優れている傾向があるとされている。 エピソード記憶に影響が出るもの:アルツハイマー型痴呆、健忘症、自閉症など。 ②意味(事実)記憶 単語や記号の意味、事実や概念など、一般的な知識の記憶。 この種類の記憶は一般的には覚えることを不得手とするが、繰り返すことで覚えることができる。 (2) 非陳述記憶 体の記憶、潜在記憶、非宣言的記憶とも呼ばれる ①手続き記憶(手順記憶) 箸の使い方や自転車の乗り方などのように、動作や習慣が身についているという記憶。 一度覚えたらなかなか忘れない。 海馬を使わなくても記憶が可能。 ②プライミング記憶 先行する事柄が後続する事柄に影響を与える状況を指して「プライミング効果があった」と称さ れる。 日常の何気ない動作や行動のように、先行する事柄の後には必ずある事柄が想起されるあるいは 行われるという記憶(反射的記憶)。 4.記憶の再生 a. 再生・・・・覚えたことがらをそのまま再現すること。最も難しいと考えられる。 b. 手がかり再生・・・・再生の際に何らかの検索手がかりが与えられる場合。この方が容易になる。 c. 再認・・・・示されているものが覚えたものと一致するかどうかを確認しながら思い出す。 一般に再生より容易 d. 再生も再認も行えないような場合。 同じことがらを再び覚える場合は短時間で可能になる。 ⇒これは、中期記憶あるいは長期記憶に何らかの情報が保持されていることを意味する。 5.忘却 特に長期記憶の忘却の原因については、a.検索失敗説、b.減衰説、c.干渉説が存在する。 a.再生(検索)の失敗によるもの(忘れたのではなく思い出せない)。 b.記憶の痕跡が時間経過とともに消失していく(減衰、崩壊)。 忘却曲線(Ebbinghause,1885) c.他の情報を貯蔵したことによる妨害効果(干渉)。 順向干渉:以前に貯蔵された情報が、新しい情報の記憶を妨害する。 逆向干渉:後から貯蔵された情報が、以前からの記憶を妨害する。 <関連リンク> ◆頭を良くする方法 ◆記憶力を高める方法 |