染色体は、細胞分裂の前後にだけ現れるものである ・染色体(chromosome、クロモソーム)とは、一般的には細胞が分裂する前後に細胞内において観察 されるものである。 ・それ以外の時期には、染色糸(chromatin、クロマチン、染色質)と呼ばれる糸状の構造物になってい る。 ・クロマチンは、DNA及びヒストンと呼ばれる塩基性タンパク質で構成されており、その分子量比はほぼ 1:1である。 ・DNAにはその生物が生きるためのほとんどのプログラムが仕組まれている。 ・ヒストンはクロマチンや染色体を構成するためのコアになるとともに、DNAの転写などにも影響を及ぼす とされている。(ヒストンは大きく5種類に(H1, H2A, H2B, H3, H4)に分けられている。) 染色体が形成される前にDNA複製が終了しているため、 染色体は2本がくっついた形をしている ・1つの細胞が2つに分裂する場合、DNAも複製されて新しい細胞に配分される必要がある。 ・染色体はクロマチンが高度に凝集してできたものであるが、この状態ではDNAを複製し難い。従って、 あらかじめ複製を終えてから染色体を形成する。 ・くっついた2本のそれぞれは染色分体、両方合わせて姉妹染色分体(sister chromatids)と呼ばれる。 短い棒状になることで、両極への移動が容易になる ・細長い糸状のままでは分けにくいが、短い棒状にすることによって2つの細胞に分けやすくなる。 ・姉妹染色分体がくっつき、くびれているように見える部分はセントロメアと呼ばれ、ここに動原体が形成 される。
起こり、偶然に生き残ったものが現存するだけのことである。 生存に必要な最小限の1組の染色体セットをゲノムという ・語源はgene(遺伝子)+~ome(総体)の造語である。 ・ヒトでは生殖細胞に含まれる全染色体を表し、22本の常染色体と、性染色体を合わせた、計23本が ゲノムに相当する。 ・ゲノム1セットに相当する染色体数は基本数と呼ばれ、xで表される。 ・ヒトの場合は x=23と記述される。 ・原核生物やウイルスなどの1倍体生物では、ゲノムとは、保有している全部の遺伝情報を指す。 「2n」とは複相世代、すなわち体細胞であることを意味する ・生物学で使う n や 2n は、それぞれ単相世代、複相世代を表すために用いられる記号であり、「核相」 とも呼ばれる。 ・ヒトの場合、卵子や精子などの配偶子は n であり、体細胞は 2n である。 (間違ってはいけないことは、3倍体生物や4倍体生物の体細胞も 2n である。前者はゲノムを3セット もつため 3x 、後者は 4x と表記する。) ・ヒトの体細胞の染色体数は、2n = 2x = 46 と書くことができる。 ・性染色体の組み合わせは女性では2本のX染色体、男性ではX染色体とY染色体1本ずつとなっている。 (女性の場合、2本のX染色体のうちの片方は不活性化されており、顕微鏡下ではバー小体として観察さ れる。) 倍数性、半数性(=1倍性)、2倍性、3倍性・・・とは ・倍数性とはゲノムを何セット持つかを表す概念である。 ・有性生殖をする生物の多くは、両親からそれぞれ1セットのゲノムをもらうために2倍性であり、その生物 体は2倍体と呼ばれる。 ・両親からもらった同じサイズの染色体同士は相同染色体と呼ばれる。 ・半数性とは、2倍性が一般的な生物の姿であるという視点で作られた語であり、1倍性のことである。 ・半数性の生物体は半数体と呼ばれ、蜂や蟻などの膜翅目昆虫の雄がこれにあたる。 ・3倍体の例としては種無しスイカが有名である。 ・普通小麦(パンコムギ)は6セットのゲノムを持っており、その染色体数は 2n = 6x = 42 と記述される。 なお、6セットのゲノムは3種類の異なる植物体のゲノムによって構成されており、異質6倍体である。 そのゲノム構成はAABBDDと表記される。 <関連リンク> ◆細胞 ◆生物とは |