a.外傷性脱臼、先天性脱臼、病的脱臼がある。 外傷性脱臼・・・・外傷が原因で起こったもの。 先天性脱臼・・・・先天性股関節脱臼が代表的で、骨頭とそれに対応する関節窩が初めから離れ た所にできる場合と、胎内で既に脱臼している場合がある。 病的脱臼 炎症性脱臼・・・・幼児期の骨髄炎や関節炎などによる。滲出液が関節包に溜まって関節包を 広げてしまうため、あるいは骨頭や関節窩、関節包が破壊されたために起こ る場合がある。 麻痺性脱臼・・・・ポリオなどの神経麻痺による。 痙性脱臼・・・・脳性麻痺などによる。 b.脱臼が複数回の場合 反復性脱臼・・・・外傷性脱臼を起こしたあとに、軽微な力で脱臼を繰り返すもの。 これは、固定期間が不足した場合や、腱の付着部位が剥離骨折している場合 などに発生し、肩関節、顎関節に発生しやすい。 習慣性脱臼・・・・明らかな外傷がないにも関わらず軽微な力で脱臼を繰り返すもの。関節の弛緩 など素因がある場合に発生することがある。 c.脱臼の程度による分類 完全脱臼と不完全脱臼(亜脱臼)があり、後者は部分的に関係が保持されているものをさす。 d.関節面の相対位置による分類 近位関節面に対する遠位関節面の位置で分類する。 (四肢については、体幹に近い側を近位、遠い側を遠位と呼ぶ。) 前方脱臼・・・・近位関節面に対して遠位関節面が前方に転位した場合 後方脱臼・・・・ 〃 後方に転位した場合 上方脱臼・・・・ 〃 上方に転位した場合 下方脱臼・・・・ 〃 下方に転位した場合 側方脱臼・・・・ 〃 側方に転位した場合 内側脱臼・・・・遠位関節面が正中面の方向へ転位した場合 外側脱臼・・・・ 〃 正中面から遠ざかる方向へ転位した場合 その他・・・大腿骨頭が寛骨臼窩を破壊して中に入り込んだ場合は、中心性脱臼あるいは 内方脱臼と呼ぶ。 脱臼の症候や合併症 ・関節部の痛み、腫脹、変形、あるいは関節を軸にその先の部位が正常に動かす事が出来ない、脱臼 をした部位が短くなっている、などの症候がある。 ・骨折、神経損傷、血管損傷、骨の阻血性壊死などを伴うこともある。 脱臼の治療 ・一刻も早く整復する事が大切であり、骨折に較べてはるかに緊急を要する。 (時間の経過に伴って整復しにくくなること、機能障害を残しやすいことがあげられる。どれだけ 遅くとも8時間以内には整復を行うべきであり、さらに遅れると全身麻酔下での手術が必要になる こともある。) ・脱臼の整復には原則として専門家の手を必要とする。自分で整復できた場合でも専門家や医療機関 での受診が必須である。 ・関節内の損傷状況により固定、リハビリテーション、加療が必要となる。 ・関節の回復は遅く、およそ6~9ヶ月かかる。長期固定が難しい事もあって、脱臼が習慣化する事が 多い。 ・事故などの場合、脱臼に伴って関節構成組織(靱帯、半月、軟骨、関節包など)を大幅に損傷して しまった場合、その治癒はさらに長期間を必要とし、修復の過程が完全に終了するまでには数年を 要することもある。しかも、完璧に元通りにはならず、瘢痕組織(膠原線維が多い結合組織)に置 き換わってしまい、関節の強度は低下してしまうことが多い。 <関連リンク> ◆骨折 ◆捻挫 ◆痛みとは ◆鎮痛薬まとめ |