マイコプラズマ・リケッチア・クラミジア感染症


マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアの特徴まとめ

 
細  菌 ウイルス
 
細 菌 マイコプラズマ リケッチア クラミジア
大きさ
細胞壁 ある ない ある ない
構成単位 細胞 ウイルス粒子
遺伝情報の担体 DNA DNAまたはRNA
エネルギー産生系 ある ない
単独で増殖 できる できない(偏性細胞内寄生性)

マイコプラズマとは
・マイコプラズマ(Mycoplasma)は
 細菌((真正細菌)に分類されるが、
 細菌に見られる細胞壁が無く、その
 ため細胞の形は不定形で可塑性が
 ある。
・細胞膜は細菌のそれに比べて強度が
 高い。
・一般に細菌よりも小さく、インフル
 エンザウイルスなどとほぼ同じ大き
 さである。
・ゲノムサイズも極めて小さく、大半
 が合成培地で増殖できないか、ある
 いは多くの成長因子を必要とする。
・200種類以上が分類・同定されてい
 る。
マイコプラズマ感染症の主なもの
分類 属名 疾患名・症状 感染経路
マイコプラズマ目
マイコプラズマ科 
マイコプラズマ  pneumoniae
(肺炎マイコプラズマ) 
咽頭炎、気管支炎、肺炎(オリンピック熱、幼児~小中学生に多く、大人になるまでに97%は感染経験あり、幼児で無症状のことあり。肺炎までの進行は数%程度。重複感染あり。) 飛沫、濃厚接触 


リケッチアとは
・リケッチア(Rickettsia)は、典型的な細菌細胞
 壁を有し、グラム陰性で、球状、桿状、連鎖状
 または繊維状の形状を示すために細菌に分類さ
 れるが、ほとんどの細菌よりも小さく、生きた
 細胞の中でしか増殖できないこと(偏性細胞内
 寄生性:ウイル
 スのような性質)から、一般細菌とは区別される。
・ウイルス、クラミジアなどとは異なり、クエン酸
 回路を構成する全ての遺伝子を持ち、ミトコン
 ドリアとの近縁性が指摘されている。
・ダニ、シラミ、ノミ等の節足動物を媒介とする
 ものが多い。
・リケッチア属は約25種を含む。

リケッチア感染症の主なもの
分類 属名 疾患名・症状 感染経路
リケッチア目  リケッチア  japonica  日本紅斑熱(四類感染症。発熱、発疹、刺し口が特徴。)
近年増加傾向にあり。8~10月に多くなる。
マダニ(山野に棲息) 
prowazekii  発疹チフス(四類感染症。高熱、発疹、頭痛、精神錯乱が特徴。) シラミ
(ヒトが保因)
オリエンチア  tsutsugamushi  ツツガムシ病(恙虫病。発熱、発疹、刺し口が特徴。)ツツガムシがふ化する冬季に多い。  ツツガムシ
(ネズミなどが保因)


クラミジアとは
・クラミジア(Chlamydia)はリケッチアよりも小さく、代謝エネルギー生産系がなく、エネルギー
 を宿主細胞に依存しており、偏性細胞内寄生性である。
・リケッチアと同じく、細菌細胞壁を有し、二分裂によって増殖するため細菌に分類される。
・ただしその増殖方法には特徴があり、増殖の過程で2種類の形態をとる。一つは基本小体(EB)、
 もう一つは網様体(RB)と呼ばれる。
・EBは細胞に感染する時の形態で、RBは分裂して数を増やす時の形態である。

クラミジア感染症の主なもの
分類 属名 疾患名・症状 感染経路
クラミジア目
クラミジア科 
クラミジア  trachomatis
(トラコマチス) 
性器クラミジア感染症(男:尿道から透明な膿、女:おりもの増加など。自覚症状はとぼしい。→体内侵入により各臓器の炎症。) 性交、オーラルセックス 
トラコーマ(伝染性の急性および慢性角結膜炎。重症の場合失明。)  直接接触、手指・タオルなど間接接触
psittaci  オウム病(四類感染症。インフルエンザ様症状を示す。) 鳥類の排泄物、吸入
pneumoniae 肺炎様の急性呼吸器感染症、中耳炎 飛沫


<関連リンク>
寄生虫・原虫疾患 真菌症 細菌感染症 ウイルス感染症

2012年10月作成  2024年1月最終更新   stnv基礎医学研究室・清水隆文