すり傷(擦過傷)


すり傷(=擦過傷)
・すり傷は擦過傷といわれる。
・擦過傷は、皮膚の表皮、あるいは表皮と真皮内に損傷が生じたものであって、その下の皮下組織や
 筋肉などには達していないものをいう。
・傷が深く、皮膚の連続性が離断したものは、「創(そう)」と呼ばれて区別される。

応急手当は、傷口を水道の流水でよく洗う
 消毒する必要は無い
 消毒すると傷口付近の細胞もダメージを受け、治りが遅くなる

 ・擦過傷は、皮内に土や砂などの異物が入り込むことが多く、結果として病原微生物が増殖し、局所
  の感染症を起こすことがある。
 ・したがって、受傷後は損傷部を水道の流水でよく洗い、病原微生物の数を減らすことが重要である。
  (日本の水道水はたいへんキレイである。)
 ・病原微生物の数が一定数以下であれば、化膿などの感染症は起こらない。
 ・皮膚に使える一般的な消毒薬では、土中などにいる破傷風菌の芽胞は死なない。消毒の意味が無い
  ばかりか、傷口にさらにダメージを与えることになるため、消毒は行わない方が良い。

傷面を乾燥させてはいけない
 創傷保護材によって傷面を保護し、皮膚の再生を待つ
 ・市販されている湿潤性の創傷保護材によって傷面を被う。
 ・傷口を乾燥させてはいけない。乾燥した部分は壊死し、治りが遅くなる。
 ・従って、ガーゼは使わない方が良い。ガーゼを使うと水分や、治癒を促進するための浸出物を吸い取
  ってしまい、治りが遅くなる。
 ・乾燥させてしまうと痂皮(かひ:かさぶた)ができるが、これは創傷治癒が止まって正しく治らない
  ときに生じるものである。痂皮の下層で感染症が起こる場合もある。


広範囲な傷の場合
 ・損傷が広範囲で異物が十分に除去できない場合には、医療機関での受診が適切である。
  (医療機関では、ブラシを用いた洗浄や、必要に応じて消毒が行われ、密着型の創傷保護材(被覆材)
  にて傷面が覆われる。)


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2012年6月作成  2024年1月最終更新   stnv基礎医学研究室・清水隆文