意味する。 ・また、ステロールの基本構造からヒドロキシ基(-OH)を除いた、環のみの構造は「ステロイド核」と 呼ばれ、正式にはシクロペンタノヒドロフェナントレン環と呼ばれる。 ・ステロイド核をもつ化合物は、総称してステロイドと呼ばれる。 ・すなわち、コレステロールはステロールの一種であり、すなわちステロイドである。(俗には「ステロイド =副腎皮質ホルモンやその類縁体の薬物」の意味で使われることもある。) 動物、植物、菌類が主に使うステロールはそれぞれ異なる
にもコレステロールが微量に含まれるようである。
コレステロールはステロイドホルモンの前駆体でもある ・コレステロールは上述したように細胞膜の構成成分になるとともに、ステロイドホルモン、ビタミンD、 胆汁酸の前駆体(出発物質)になっている。 (ステロイドホルモンの例 : 副腎皮質ホルモンや性ホルモン) ・菌類におけるエルゴステロールは紫外線を受けてビオステロールとなり、さらにエルゴカルシフェロール (ビタミンD2)となる。これをヒトが食することは、ビタミンD補給の一手段になる。 ・ヒトが植物のフィトステロールを摂食した場合、腸管でのコレステロールの吸収を抑制してくれるようで あり、医療用やサプリメントとしての利用がある。 コレステロールは、本来は体内で合成されるものである ・生体内の肝臓におけるにおけるコレステロールの生合成の概略は次のようである。
コレステロールは脂肪酸と結合し、リポタンパク質によって運ばれる
あり、いちばん底にくるのがHDLである。 LDLは肝臓から末梢へ、HDLは末梢から肝臓へ運ぶリポタンパク質 ・リポタンパク質のうち、LDLはコレステロールを多く含有し、末梢組織に流れ着いたときに、末梢組織の 細胞にあるにLDL受容体に付き、まるごと細胞内に取り込まれる。 ・リポタンパク質のうち、HDLは末梢組織にあるコレステロールをその内部に取り込んで丸くなり、肝臓に 流れ着いたときに肝臓のHDL受容体に付き、まるごと肝細胞に取り込まれる。 ・結局、LDLはコレステロールを肝臓から末梢組織へ運び、HDLはコレステロールを末梢組織から肝臓へと 運ぶことになる。 ・このような選択的な働きは、リポタンパク質のタンパク質部分と、組織の細胞にあるその受容体の働きに よるものである。 ・LDLやHDLは、肝臓→血漿→末梢→血漿→肝臓の血漿循環を担当し、カイロミクロンは肝臓→胆汁→ 小腸→肝臓を経る腸肝循環を作る。 ・ちなみに、VLDLはトリアシルグリセロール(トリグリセリド、≒中性脂肪)の含有量が高いものを指す。 「コレステロール」、「コレステロール値」には誤情報が氾濫 「悪玉」だの「善玉」だの、非科学的な用語にも注意 ・インターネットで「コレステロール」を検索すると、呆れるほどの誤情報を発信している非研究者のサイト やページが存在することに幻滅させられる。その多くはダイエット関連業者、健康食品業者であり、中には 栄養の専門家らしき場合もある。まず、コレステロールというのは、そのように認識されている物質である ということを知っておくことも重要である。 ・コレステロールに誤情報が多い原因は複数あると思われる。まず、水溶性の成分とは違って、コレステロール はたいへん分析しにくい。生体内でコレステロールが純粋な形で単独で存在する割合は少なく、上述のような エステル体であったり、コレステロールの誘導体や他の脂質と共存していたり、移動中はカイロミクロンや 多くの種類のリポタンパク質に入り込んでいる。 ・コレステロールが血管内壁に沈着するとか、胆管の中で結晶化するなどの現象が見られるが、コレステロール の移動は、例えばそれを運んでいるLDLなどのリポタンパク質のタンパク質部分と、受け取る細胞側の受容体 タンパク質とのマッチングによって開始される。これらのタンパク質の不具合や異常によってコレステロール の正常な移動は不可能となるため、単にLDLやHDLの数の問題ではない。タンパク質の不具合の身近な例とし ては、糖による修飾があげられるであろう。 ・リポタンパク質と受容体タンパク質が正常にマッチングし、リポタンパク質全体がエンドサイトーシスに よって細胞内に取り込まれるが、エンドサイトーシスは細胞自体が健全である必要があり、取り込まれた後 でのコレステロール代謝の速度なども、次の取り込みを制御する要因にもなるであろう。 ・血中の総コレステロール値については、最近ようやく、「それよりもLDLとHDLの比が重要なんだ」との 認識に移行してきたが、そのLDLやHDLについては上述のような問題が未解決のままである。 ・健康診断で皆に「卵は1日に2個以上は食べてはいけません」などと悟りきったように言い張る医療従事者 や栄養関連従事者がいらっしゃることと思われるが、高コレステロール血症などの場合において、少しでも 入ってくる量を抑えたい場合は、食事によるコントロールが生きてくるケースもあるであろうが、それでも 多くの場合は、そんなに単純な問題ではない。 ・体内でのコレステロールの吸収・循環・代謝・排泄は非常に複雑な系で成り立っており、現在でもわから ないことが多い。ただ言えることは、コレステロールは脂質であるために、大量を外部から入れた場合、その 処理は容易ではないということである。外部から入れなくても、ヒトの体は必要とするコレステロールを 糖質や中性脂肪、場合によってはアミノ酸から、アセチルCoAを経て生合成してくれる。 <関連リンク> ◆副腎皮質ホルモン ◆性ホルモン ◆消化と吸収 ◆栄養素の代謝 ◆中性脂肪 |