副腎皮質は外側から 球状層、束状層、網状層
調節に強い活性をもつものが電解質コルチコイド(ミネラルコルチコイド)、糖質の調節に強い 活性をもつものが糖質コルチコイド(グルココルチコイド)と呼ばれる。 ・炭素数19個のステロイドはアンドロジェン(男性ホルモン)活性を持つ。(後述) 副腎皮質刺激ホルモンのターゲットは副腎皮質全体ではない ・下垂体から出る副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は主に内層の束状層と網状層に刺激を与え る(ACTHの受容体が存在する)が、外層の球状層には主にアンジオテンシンⅡが刺激を与 える(アンジオテンシンⅡの受容体が存在する)。 ・すなわち、ACTHは糖質コルチコイドと性ホルモンの分泌を増やすが、電解質コルチコイドの分泌は アンジオテンシンⅡに依存しているということである。 ------<副腎皮質ホルモンの各論>---------------------- アルドステロンはNa+の排泄を抑えることで血圧を上げる
基底膜側に存在するNa+/K+-ATPaseを活性化させ、Na+の再吸収を促進させ、また、K+チャネルを 活性化させて、K+排泄を促進させる。また、集合管の間在細胞の尿細管腔側に存在するH+-ATPase を活性化させ、H+の排泄を促進させる。これは、Na+-HCO3-共輸送系も活性化されるため、体液は アルカリ性に傾こうとする。) ・血中のNa+が増えることによって、すぐにその濃度変化を緩和するために水の再吸収も増加し、血液 量が増加する。すなわち、血圧が上昇することになる。従って、アルドステロンの分泌過剰は高血圧 症状を引き起こす。 ・アルドステロンの分泌が過剰になったものはアルドステロン症と呼ばれ、高血圧と、低カリウム血症 による筋力低下が認められる。(一般的に、細胞膜ではNa+とK+は出入りが逆になる。) ・アルドステロンは血漿中に約6ng/dl 存在しており、血漿タンパク質に結合していない遊離型も多い。 ・炎症に対してはどちらかというと促進させる方向に働く。すなわち、コルチゾルとは逆である。 ・レニン・アンジオテンシン系にて産生されるアンジオテンシンⅡよって分泌が促進される。 ・アンジオテンシンⅡは、アルドステロンの生合成経路において、コレステロールからプレグネノロン (ステロイドホルモンの前駆物質)への転換、およびコルチコステロンからアルドステロンへの転換 を促進する。 コルチゾルはタンパク質を分解してまで糖質の生成・備蓄を行い 身体の活動に備えて準備をする
は身体活動による怪我(細菌の侵入や出血など)への対応に注力することになり、逆に体内の異物 への対応は疎かになる。 ・タンパク質合成も抑制するため、抗体産生や肉芽の形成も抑えられ、いわゆる免疫抑制作用や抗炎症 作用を示すことになる。 ・コルチゾルの産生・分泌は下垂体からのACTHによって促進される。 (コルチゾルの生合成経路において、コレステロールからプレグネノロンへの転換がステロイド合成 の律速段階になっており、ACTHはこの段階を促進する。) ・CRH―ACTH系 (すなわち視床下部―下垂体系)の活動は、目的の物質が出来たかどうかをみる フィードバック機構と、生物時計(早朝に高く夕方に低くなる)によるものと、ストレス反応機構 (ストレスがかかると高まる)によるものとの合算であるが、後2者の影響が多大である。 ・コルチゾルの血漿中濃度は約13.5μg/dl であるが、大部分はコルチコステロイド結合グロブリンに 結合しており、生理活性のある遊離型は少ない。 コルチゾルが過剰に分泌されると・・・ <慢性の糖質コルチコイド過剰症の例> ◆クッシング症候群(Cushing症候群) ・先天性のものはクッシング症候群(Cushing症候群)と呼ばれる。 ・慢性的に糖質コルチコイド過剰が継続する疾患である。 ・ACTHの過剰分泌による場合(ACTH依存性)と、ACTHに関係なく副腎において自律的に過剰分泌が 起こる場合(ACTH非依存性)に分類できる。 ・そのうち、ACTH依存性であって、下垂体腺腫が原因で起こるものはクッシング病(Cushing病)と 呼ばれる。 ・クッシング症候群の症状は、中心性肥満、満月様顔貌(ムーンフェイス)、高血圧(糖質コルチコイド が持つ鉱質コルチコイド作用によってナトリウムの再吸収が亢進するため)、一般糖尿病症状 、赤紫 皮膚線条(中心性肥満により、皮膚が病的に裂けるため)、筋力低下(糖質コルチコイドが持つ鉱質 コルチコイド作用によってカリウム利尿が亢進して低カリウム血症が起こるため)、骨粗鬆症など。 ・また、過剰なストレスにより多量に分泌された場合、脳の海馬を萎縮させるとも言われている。 ・治療としては、腫瘍があれば外科的な摘出、あるいは放射線による組織破壊、そして薬物療法の併用 などが行われる。 副腎の機能が低下すると・・・ <原発性副腎皮質機能低下症の例> ◆アジソン(Addison)病 ・先天性あるいは後天性に、副腎皮質組織の90%以上が障害されると発症する。(後天性の場合の原因 は、結核や自己免疫によるものが多く、まれに癌の転移によるものがある。) ・副腎皮質ホルモンの全てにおいて、その分泌が低下する。 ・基礎分泌だけは確保されている不全型と、基礎分泌も障害されている完全型とがある。 ・主な症状は、色素沈着、倦怠感、脱力感、体重減少、胃腸障害、低血圧、低血糖、体毛脱落、精神症状 など。 ・治療としては、糖質コルチコイドのみの補充療法が行われる。 ・その他の理由で副腎皮質の機能が低下したものは「急性副腎不全」あるいは「副腎不全」と言われる。 デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)やアンドロステンジオンは 女性にとっては貴重な男性ホルモン
<関連リンク> ◆アドレナリン(副腎髄質ホルモン) ◆視床下部ホルモン ◆下垂体ホルモン ◆性ホルモン ◆ストレスとは |