顆粒球の細胞質には顆粒が見える
・直径は12~15μmであり、リンパ球より大きく、単球よりは小さい。ただし、アメーバのように 変形するので、外形は定まらない。 顆粒がエオシンに染まれば好酸球 顆粒がアズールB(あるいはメチレンブルー)に染まれば好塩基球 顆粒がその中間であれば好中球
・顆粒が、青色の塩基性色素であるアズールBに染まれば、それが好塩基球である。 ・顆粒が、その中間的な色調に染まれば、それが好中球である。また、成熟した好中球であれば、 核の形状が上のイラストのように2~4葉に分葉する(くびれる)ことでも識別できる。 ---<好中球の各論>------------------------------- 顆粒球の90~95%は好中球(neutrophil)である 好中球の多くは、普段は貯留プールにいる
好中球は、真っ先に細菌を食べて殺す血球である しかし、戦わなくても早く死ぬ だから、常に新品が全身に送り届けられる ・好中球の役割は、細菌類を包み込み、自らの細胞内に取り込み(貪食し)、殺すことである。 ・好中球は、その表面にあるレセプターによって、細菌などの異物を認識する。 ・また、体の免疫システムによってすでに標識された細菌などの異物に対しては、好中球の表面に ある、IgGやIgMのFc部分、あるいは補体成分であるC3bなどに対する受容体によって、 より敏感に素速く認識できる。 ・取り込んだ細菌は、細胞内にて活性酸素、過酸化水素、次亜塩素酸、加水分解酵素(リゾチーム、 ラクトフェリン、エラスターゼなど)によって殺菌・溶菌し、自らも死んでいく。 ・傷口から出る膿は、好中球の死骸や、好中球が放出した分解酵素によって融解されたものである。 ・細菌感染があった場合、骨髄における好中球の生産も亢進する。 ・好中球のおおよその寿命は、血管内では6~12時間程度、組織に入り込んだ場合は数日ほどであ るとされる。 ・好中球はマクロファージのような抗原提示は行わない。 真新しい好中球の核は、まだ分葉していない ・末梢血中で見られる好中球の核は、おおよそ3分葉ぐらい(分葉核球)であるが、骨髄にて出来 上がったばかりの好中球の核は桿状であり、これは桿状核球(上図参照)と呼ばれる。 ・細菌感染などにより、好中球の大量動員が必要な時には、末梢血中にも桿状核球の割合が増える。 この現象は、「白血球の核形の左方推移」と言われる。 ・非常時には、更に幼若な後骨髄球や骨髄球が末梢血に出てくることもある。 好中球は自分で現場に遊走する ・好中球は、表面にある各種のレセプターによって、感染などの非常事態を知り、感染巣の位置を 知り、そちらに向かって移動することができる(これは化学走性と呼ばれる)。 ・レセプターを刺激する物質は多種類あり、これらは好中球遊走刺激因子と呼ばれる。 ・各種の白血球や感染巣の組織から出る様々な物質(インターロイキン、ロイコトリエンなどのサイ トカイン)、あるいは細菌自体が放出した物質が遊走刺激因子となる。 ・感染巣は多くの場合、血管外であるため、好中球は血管壁を通過することになるが、これは血管 内皮細胞と好中球の絶妙な形態変化によって通過が可能になっている。 ---<好酸球の各論>-------------------------------
---<好塩基球の各論>------------------------------
<関連リンク> ◆血球の起源 ◆赤血球 ◆リンパ球 ◆単球・マクロファージ ◆血小板 |