∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 医学英語(主に生理学分野の基礎的単語を解説しています。) <今後も追加予定です。> 【A】の医学英語 アセチルCoA Acetyl Coenzyme A アセチルコエンザイムA acet-、aceto-:酢酸の炭素2個のフラグメントを示す連結形。 語源はラテン語のacer(鋭い)、acere(すっぱい)、acetum(酢)。 acetyl:「アセチル」(CH3CO-基、酢酸分子から水酸基が遊離したもの。アシル基の一種。) coenzyme:「補酵素」(酵素の作用を補強する、または酵素の作用に不可欠の物質。) enzyme:「酵素」 ・補酵素A(コエンザイムA あるいは CoA)は、生物にとって極めて重要な補酵素(助酵素)である。 ・アデノシン二リン酸、パントテン酸(旧ビタミンB5)、およびシステアミンから成り立っており、 C23H38N7O17P3S、分子量809.58 の大きな有機化合物である。 ・システアミンの末端に様々な化合物が結合することによって、様々な代謝に関わる。 ・アセチルCoAは、補酵素Aにアセチル基が結合したもので、三大栄養素の代謝においても生成され、 クエン酸回(TCAサイクル、クレブス回路)に入ってエネルギー産生に関わる。 アシドーシス acidosis acid:「酸」(ラテン語のacetum から) 水などの極性溶媒中で水素イオンを生成する化合物。酸味は水素イオンによる。 -osis:「(病的)状態」、「過程」の意の名詞を作る。 ・生体の血液の酸塩基平衡は一定のpH(pH=7.4±0.05)になるように保たれているが、平衡を酸性側 にしようとする状態(過程)をアシドーシスという。 ・pHが7.4未満になった(低下した)状態をアシデミア(acidemia、酸血症)という。 -emia:「・・・な血液を有する状態」の意の名詞を作る。 ATP adenosine 5'-triphosphate アデノシン三リン酸 adenosine:「アデノシン(アデニンとD-リボースの縮合物)」 DNA や RNA の塩基として遺伝情報のコードに用いられている他、生化学過程でもATPや ADPの一部としてエネルギー輸送に関わったり、環状AMPとしてシグナル伝達に関わった りする。カフェインによりその作用が抑制される。 tri-:「3」の意の接頭語 mono-:1、di-:2、tri-:3、tetra-:4、penta-:5、hexa-:6、hepta-:7、octa-:8、 nona-:9、deca-:10 phosphate:リン酸塩、またはリン酸エステル(organophosphate) ・ATP ↓←アデノシン三リン酸フォスファターゼ(最近では「ATPアーゼ」としている場合が多い。) ADP ・(ホスファターゼ phosphatase:リン酸エステルから無機リンを遊離させる酵素のグループ。) ACTH adrenocorticotropic hormone 副腎皮質刺激ホルモン adren-、adreno-:「副腎の[に関する]」の意の連結形。 cortico-:「cortical 皮質[性]の」の意の連結形。 cortex:「皮質」 adrenal cortex:「副腎皮質」 -tropic:「向性」、「親和性」、「・・・の刺激に応じて転回する」の意の接尾語。 ・下垂体前葉から分泌されるペプチドホルモンのひとつ。(アミノ酸39残基)。 ・副腎皮質に作用し、副腎皮質ホルモンの分泌を促進する。 ・視床下部からの副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)により分泌が刺激される。 ・糖質コルチコイドにより分泌が抑制される(ネガティブフィードバック)。 アルカローシス alkalosis alkali:「アルカリ」(アラビア語のal-kalja (植物の灰)から) 溶液中で水酸イオン(OH-)を生じる強塩基物質。 -osis:「(病的)状態」、「過程」の意の名詞を作る。 ・平衡を塩基性側にしようとする状態をアルカローシスと言う。 ・pHが7.4より上になった(上昇した)状態をアルカレミア(alkalemia、アルカリ血[症])と言う。 アルドステロン aldosterone aldo-:「アルデヒド基(-CH=O)をもつ」の意。 sterone stereos :「[ギ]固体」 -one:「ケトン(カルボニル基、>C=O)」の意の化合物名を作る。 ・主要な鉱質コルチコイド(電解質コルチコイド、ミネラルコルチコイド)で、血液におけるナトリウムと カリウムのバランスを制御するために副腎皮質の球状層から分泌されるステロイドホルモンである。 ・アルドステロンの働きによって、腎集合管でのNa+の再吸収が促進され(体内にNaが貯留され)、体液 量が増加する事により血圧を上げる作用をもたらす。 アンジオテンシン angiotensin angio-、angi-:「血管」、「リンパ管」、「被覆」、「封入物」の意の連結形。 tense:「張り詰めた」、「緊張した」、「強靱な」 -in:化合物、薬品などの名詞を作る ・ポリペプチドの一種で、血圧上昇作用を持つ生理活性物質。 肝臓からアンジオテンシノゲンが分泌される。 ↓←腎臓から分泌されるレニン アンジオテンシンI に変換される(Asp - Arg - Val - Tyr - Ile - His - Pro - Phe - His - Leu - OH )。 ↓←肺のアンジオテンシン変換酵素(ACE)、心血管系のキマーゼ、上皮組織の単球およびマクロフ ↓ ァージ等により産生されるカテプシンG。 アンジオテンシンⅡに変換される(Asp - Arg - Val - Tyr - Ile - His - Pro - Phe - OH )。 ・アンジオテンシンⅡは、血管平滑筋の収縮、交感神経活動の刺激、副腎皮質からのアルドステロンの 合成・分泌を促進する。 ・また、脳下垂体に作用しバゾプレッシン(ADH)の分泌を促進する。 ・レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAA系)を構成する。 アンドロジェン androgen 「雄性ホルモン」、「男性ホルモン」 andr-、andro-:「男性」、「雄器」の意の連結形。 -gen、-gene:「・・・・を生ずるもの」、「・・・・から生じたもの」の意の名詞語尾。 ・「アンドロジェン」は総称であり、物質としては、テストステロン、ジヒドロテストステロン(DHT)、 デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、アンドロステロン、アンドロステンジオン、エピアンドロ ステロンなどがある。 ・ステロイドホルモンである。 ・雌では卵巣内でアンドロジェンが分泌されるが、やがてエストロジェンに変換される。 ・副腎皮質においては雌雄ともに分泌される。 ・胎児期の性分化、男性生殖器の形成と発達、声変わり、体毛の増加、筋肉の発達、性欲の亢進、男性 型脱毛症 などをもたらす。 アポクリン腺 apocrine gland apo-:「派生した」、「何かから分離した」の意の連結形。 crine:「crinin(クリニン(「腺分泌促進物」の古語))から派生した。 (excretion:分泌) gland:腺(分泌作用を営む細胞の集合体) ・離出分泌腺(りしゅつぶんぴつせん)とも呼ばれる。 ・外分泌の分類 a.全分泌腺(ホロクリン腺)・・・・腺細胞自体が内部に分泌物を蓄えた後に全体が崩壊して外部に 排出される様式。 b.漏出分泌腺(エクリン腺)・・・・細胞体は壊れずに腺細胞の生成した分泌物のみ細胞から浸出す る様式。 c.離出分泌腺(アポクリン腺)・・・・両者の中間的な様式(腺細胞が分泌物を生成し、内部に蓄える と、それを保持した細胞の一部が細胞の本体からちぎれて排出 され、細胞本体は崩壊せずに繰り返し分泌物をつくりだす。) ・哺乳類の全身に分布する汗腺は、基本的にはアポクリン腺様式で、脂質やタンパク質などを多く含む 乳白色の分泌物を皮膚上に分泌する。しかし、ヒトでは例外的に全身にエクリン腺様式の汗腺が発 達して体温調節の機能を担っており、アポクリン腺様式の汗腺は皮膚の限られた場所(腋窩、乳輪、 会陰部など)に集中して分布する。 ・発生は表皮性毛嚢に由来しており、毛穴に開口することが多い。 【B】の医学英語 ビリルビン bilirubin bile:「胆汁」 biliary:「胆汁の」 -in:(上記参照) ・ヘムの代謝産物であり、赤褐色の胆汁色素である。 (ヘムはヘモグロビンの構成物であり、赤血球の主要構成物の一つである。) ・ヘムは、脾臓において脂溶性の非抱合型ビリルビン(間接ビリルビン)へと分解される。これは水に溶 けないためアルブミンと結合して肝臓に送られる。肝臓においてグルクロン酸の抱合を受け、水に溶 ける抱合型ビリルビン(直接ビリルビン)になり、これが胆汁に混じって排泄される。 【C】の医学英語 カテコールアミン catecholamine catechol:「カテコール」、フェノール類の一種で、ベンゼン環上のオルト位に 2個のヒドロキシ基を有 する有機化合物。マメ科植物Acacia catechu(阿仙薬)から単離された。 amine:「アミン」。アンモニア(NH3)の水素原子を炭化水素基で1つ以上置換した化合物の総称である。 ・カテコールとアミンを有する化学種の総称である。 ・生体内ではアドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンの3種類が代表的なカテコールアミンである。 ・これらは生体内ではアミノ酸のチロシンから生合成される。 チロシン→ドーパ→ドーパミン→ノルアドレナリン→アドレナリン ・アドレナリンやノルアドレナリンについてはホルモンとして、あるいは神経伝達物質として利用される。 ・ドーパミン(英: Dopamine)は、中枢神経系に存在する神経伝達物質で、運動調節、ホルモン調節、 快の感情、意欲、学習などに関わる。 コレシストキニン cholecystokinin(CCK)(=パンクレオザイミン) chole-、chol-、cholo-:「胆汁」の意の連結形。 cyst:「嚢(のう、ふくろ)」 -kinin:「動かすもの」あるいは「著しく劇的な生理的効果をもつ物質」の意の名詞を作る。 ・十二指腸や小腸上部から分泌される、アミノ酸33残基のポリペプチドで、消化管ホルモン。 ・十二指腸内のペプチド、アミノ酸、脂肪酸によって分泌が促進される。 ・胃が糜粥(びじゅく)を十二指腸に送り込む動きを遅くし、胆嚢を収縮させて胆汁排出を促進し、膵液の 分泌を促進する。 ・コレシストキニンの分泌は、消化産物が十二指腸を去ると終了する。 コレステロール cholesterol chole-:「胆汁」の意の連結形。 sterol:「stereos ([ギ]固体)」+「-ol(「アルコール」を示す接尾辞)」。 ・1784年に胆石から分離・同定された。 ・室温および体温では白色の固体。 ・細胞膜の構成成分、ステロイドホルモン、胆汁酸、ビタミンDなどの前駆物質として重要。 ・食事からも摂られるが、摂られなかった場合、あるいは不足分は体内で生合成される。 ・合成されたコレステロールは脂肪酸エステル体に変換され血液中のリポタンパク質(LDL)により全身 に輸送される。 ・合成経路は、〔糖質、脂質、場合によってはアミノ酸〕 → アセチルCoA → <メバロン酸経路> → スクアレン → ラノステロール → コレステロール カイロミクロン chylomicron chylo-:「乳糜(にゅうび)」の意の連結形。 chyle:「乳糜」。脂肪がリンパ液と混ざり合い乳白色になったもの。 micr-、micro-:「小~」、「微~」、「顕微鏡による」の意の連結形。 -n:名詞形を作る ・食事から得られた脂質は小腸内で脂肪酸とグリセリンに分解されて吸収されるが、小腸上皮細胞に おいて再び トリアシルグリセロール(トリグリセリド)に合成され、ゴルジ装置においてリポタンパク質 が付加され、カイロミクロンとなる。 ・カイロミクロンは小腸絨毛内に分布する乳糜管(リンパ管)に入り、太いリンパ管に合流し、胸管を経て 左鎖骨下静脈に流れ込む。 キモトリプシン chymotrypsin chyme、chymus:「キームス」、「びじゅく(胃から十二指腸へ通過し、部分的に消化された食物の半流 動体の塊)」 trypsin:「トリプシン」。膵液に含まれ、タンパク質をペプチドに分解する消化酵素の一種。 ・キモトリプシン:芳香族アミノ酸(Phe,Tyr,Trp)のカルボキシル基側のペプチド結合を加水分解する。 最適pHは8~9程度の弱塩基性である。 ・トリプシン:塩基性アミノ酸(Asp,Glu)のカルボキシル基側のペプチド結合を加水分解する。 最適pHは8~9程度の弱塩基性である。 CT Computed Tomography コンピュータ断層撮影術 tomography:断層写真術 tomo-:-tomy「切断」「切開」の意。 -graphy:「記録法」の意の名詞語尾。 ・CTは、放射線などを利用して物体を走査しコンピュータを用いて処理することで、物体の内部画像を 構成する技術、あるいはそれを行うための機器。 CRH corticotropin-releasing hormone 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン 略称はCRF(-factor)とされることもある。 corticotropin:(=adrenocorticotropic hormone) adren-、adreno-:「副腎の[に関する]」の意の連結形。 cortico-:「cortical 皮質[性]の」の意の連結形。 cortex:「皮質」 adrenal cortex:「副腎皮質」 -tropic:「向性」、「親和性」、「・・・の刺激に応じて転回する」の意の接尾語。 release:「放出する」 releasing hormone:「放出ホルモン」 ・視床下部から分泌されるペプチドホルモンの一つ。(アミノ酸41残基)。 ・視床下部の底部にある正中隆起の血管網に放出され、下垂体門脈を通って下垂体前葉に到達し、 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌を促進させる。 ・糖質コルチコイドにより分泌が抑制される。 【D】の医学英語 DIP関節 distal interphalangeal joint 遠位指節間関節 distal:「遠位の」、「末端の」 interphalangeal:「指節間」 inter-:「間」の意の接頭辞。 phalangeal:「指骨の」、phalanx:「指骨」 joint:「関節」 【E】の医学英語 エクリン腺 eccrine gland ec-:「外へ」、「遠く離れて」の意の接頭語。 eccrine:「外分泌の」、「汗が流れる」 (crinin:クリニン、「腺分泌促進物」の古語) (excretion:分泌) gland:腺(分泌作用を営む細胞の集合体) ・ヒトのほぼ全身の体表面に分布しており、温熱性発汗に関与する。 ・手掌や足底で分布密度が最も高く(400?600個/cm2)、精神性発汗に関与する。 ・味覚性発汗は主に顔面にある汗腺で起こる。 ・交感神経支配を受けている。 ・毛穴とは独立していて、比較的皮膚表面から浅いところに位置する。 ・大量の汗をかくときは塩分の濃い汗になる。 ECG electrocardiogram 心電図 electr-、electro-:「電気」、「電気の[による]」、「電子」の意の連結形。 cardi-、cardio-:「心臓」または「噴門」の意の連結形。 -gram:「(機器を使って)記録したもの」を示す接尾語。 ・心臓の電気的な活動の様子をグラフの形に記録することで、心疾患の診断と治療に役立てるもので ある。心臓のみの筋電図とも言える。 エピネフリン(=アドレナリン) epinephrine epi + nephr + ine epi-:「上の」、「次の」、「後の」を意味する接頭語。 nephr-:「腎性の」の意の連結形。 -ine:「アミン」を表す。(アドレナリンはカテコールアミンの一種である。) ・アドレナリン神経系の神経伝達物質。 ・副腎髄質ホルモンとして、α受容体・β受容体ともに親和性が高い。 ・心機能促進作用、血糖上昇作用が強い。 エリスロポエチン erythropoietin、EPO erythr-、erythro-:「赤」、「赤血球」の意の連結形。 -poiesis:「生み出す」の意の名詞語尾。 -in:化合物、薬品などの名詞を作る。 ・赤血球の産生を促進するホルモン。 ・主に腎臓で生成される(その他肝臓)。 ・165個のアミノ酸で構成されており、分子量はおよそ34,000。 エストロジェン estrogen 「卵胞ホルモン」、「女性ホルモン」 estrus:「発情」 estrous:「発情(期)の」 estrogenic:「性欲を刺激する」 -gen、-gene:「・・・・を生ずるもの」、「・・・・から生じたもの」の意の名詞語尾。 ・「エストロジェン」は総称であり、物質としては、エストロン (E1)、エストラジオール (E2)、エス トリオール (E3) の3種類がある。 ・この中でエストラジオールが最も強い生理活性を持ち、その活性はエストロンの2倍、エストリオール の10倍だと言われる。 ・炭素数18個のステロイドホルモンである。 ・女性では卵巣、妊娠後の胎盤、男女ともに副腎皮質、男性では精巣間質細胞で作られる(男性にも重 要なホルモンである)。 ・女性では思春期以降に分泌が増加し、女性としての二次性徴を促進し、更年期以降は分泌が減少す る。 ・プロジェステロンとともに月経周期に応じて濃度が変化し、女性の性周期を形成する。 ・具体的には、女性生殖器の発育促進、中枢神経(意識など)の女性化、成長期における骨端腺の閉鎖 と身長の伸び抑制、乳腺や乳房全体の発育、排卵の制御、子宮内膜の肥厚、オキシトシンに対する 感受性向上、脂質代謝の制御、皮膚薄化や皮脂分泌抑制、LDLの減少とVLDLやHDLの増加による 動脈硬化の抑制、骨密度の維持など。 【F】の医学英語 フィブリノゲン fibrinogen fibrin:「繊維素」、「線維素」 fibr-、fibro-:「繊維」、「繊維素」の意の連結形。 -gen、-gene:「・・・・を生ずるもの」、「・・・・から生じたもの」の意の名詞語尾。 ・フィブリンの前駆物質である。 ・フィブリンは血液の凝固に関わる繊維状タンパク質で、傷などが原因となって血小板とともに重合し、 血球をくるみこんで血餅を形成する。 FSH follicle stimulating hormone 卵胞刺激ホルモン follicle:「濾胞」、「小嚢」、「卵胞」 (濾:布などで液をこす。) stimulating hormone:「刺激ホルモン」 ・下垂体前葉から分泌される糖タンパク質ホルモン。 ・未成熟の卵胞の成長を刺激し成熟させる。 ・男性においては精巣のセルトリ細胞のアンドロゲン結合タンパク質の産生を増幅する。 ・視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)により分泌が刺激される。 ・卵胞は成長するとインヒビンを分泌しFSH産生を遮断する。 【G】の医学英語 GIP gastric inhibitory peptide 胃抑制ペプチド(胃抑制性ポリペプチド) gastric:「胃の」 inhibitory:「抑制[性・的]の」、「阻害の」 ・小腸内面のK細胞から分泌される、アミノ酸43残基のポリペプチドで消化管ホルモン。 ・十二指腸における酸・糖・脂肪が分泌刺激となる。 ・胃酸やペプシンの分泌を抑制、胃の運動を抑制。 ・インスリンの分泌を促進。 ・消化管にグルコースがあればGIPの分泌が促進される。(食後、血糖値が上がる前に血中インスリン 濃度が上昇するのはこのため。) ガストリン gastrin gastro-、gastr-:「胃」、「腹」の意の連結形。 -in:(化合物、薬品などの名詞を作る) ・主に胃の幽門部にあるガストリン細胞(G細胞)から分泌される、アミノ酸17残基のポリペプチドホル モンで消化管ホルモン。 ・食物の機械的刺激や化学的刺激(タンパク質性)で分泌される。 ・胃酸分泌誘起、ペプシノーゲン分泌亢進、胃運動亢進。 ・ガストリン分泌は胃酸濃度の上昇やセクレチンにより抑制される。 グリコーゲン glycogen glyco-:「糖またはグリシンに関係がある」ことを示す連結形。 -gen、-gene:「・・・・を生ずるもの」、「・・・・から生じたもの」の意の名詞語尾。 ・動物における主要な貯蔵炭水化物で、容易にブドウ糖に転化される。 ・身体のほとんどの組織に存在し、特に肝臓および筋肉組織に顕著である。 GnRH gonadotropin releasing hormone 性腺刺激ホルモン放出ホルモン gonado-、gonad-:「性腺」の意の連結形。 tropin:=stimulating hormone releasing hormone:「放出ホルモン」 ・視床下部から分泌されるペプチドホルモンの一つ。(アミノ酸10残基。) ・下垂体前葉からの卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌を促進させる。 ・GnRHは男性では一定の頻度で分泌されるのに対し、女性では月経周期によってその頻度が異なり、 排卵前に急激に高まる。 GH growth hormone 成長ホルモン growth:「生長」、「成長」、「発育」 ・下垂体前葉から分泌される単純タンパク質ホルモンである。(アミノ酸191残基。) ・成長促進作用、肝臓からのグルコース放出を促進することによる血糖値上昇作用、脂肪組織からの 脂肪酸遊離による血中脂肪酸上昇作用を示す。 ・視床下部からの成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)により分泌が促進され、ソマトスタチンにより 抑制される。 GHRH (GHR) growth hormone-releasing hormone 成長ホルモン放出ホルモン growth hormone:「成長ホルモン」 releasing hormone:「放出ホルモン」 ・視床下部から分泌されるペプチドホルモン。(アミノ酸44残基。) ・成長ホルモン放出因子(GRF, GHRF) やソマトクリニンとも呼ばれる。 somato-、somat-:「体」、「体の」の意の連結形 crinin:「クリニン」(腺分泌促進物の古語) ・下垂体からの成長ホルモンの分泌を促進させる。 ・ソマトスタチンによってその作用が阻害される。 【H】の医学英語 ヘモグロビン hemoglobin hem-、hemo-、haemo-、hemat-、hemato-、haemat(o)-:「血」の意の連結形。 globin:ヘムと結合してヘモグロビンを構成するタンパク質。 globe:「球」、「球状のもの」 ・赤血球の中にあるタンパク質である。 ・酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。 HDL high density lipoprotein 高比重リポタンパク質 high:「高い」」 density:「密度」、「比重」、「濃さ」 lip-、lipo-:「脂肪」または「脂質」の意の連結形。 protein:「タンパク質」 ・組織から肝臓へコレステロールを輸送する。 ヒス束 Bandle of His His:Wilhelm His Jr、1863-1934、スイス生まれでドイツに在住した医師。 ・1893年にヒス束の論文を発表 ・心臓の拍動に関与する特殊心筋の束で、心室中隔の中を通って下降し、まもなく左脚と右脚に分岐 し、左脚はさらに前枝と後枝に分岐してインパルスを伝える。 ・洞房結節(キース・フラック結節) → 房室結節(田原結節) → ヒス束(房室束) → 脚 ホメオスタシス homeostasis homeo-:「同一の」、「類似の」の意の連結形。 -stasis:「状態」、「安定状態」、「停止」の意の名詞語尾。 stasis:「血行停止」、「鬱血」 ・生体の内部や外部の環境因子の変化にかかわらず生体の状態が一定に保たれるという性質、ある いはその状態を指す。 【I】の医学英語 インターロイキン Interleukin(IL) inter-:「・・・の間」を意味する接頭語。 leuk-、leuko-:「白」、「白血球」を意味する連結形。 (leukocyte:白血球) -in:(化合物、薬品などの名詞を作る) ・白血球によって分泌され、白血球同士あるいは他の細胞とのコミュニケーションの機能を果たすタン パク質をいう。 ・同定された順に番号が付けられており、現在30種類以上が知られている。 例)IL-1:マクロファージによって分泌され、プロスタグランジンの産生、それに続く炎症の急性期 反応、発熱などが誘導される。 IL-2:ヘルパーT細胞によって分泌され、リンパ球やマクロファージの増殖や活性化に関与する。 IP関節 interphalangeal joint 指節間関節 interphalangeal:「指節間」 inter-:「間」の意の接頭辞。 phalangeal:「指骨の」、phalanx:「指骨」 joint:「関節」 【L】の医学英語 ラクターゼ lactase 乳糖分解酵素 lact-、lacti-、lacto-:「乳汁」の意の連結形。 (「酪(らく)」:牛・羊などの乳からつくった飲み物) -ase:酵素を示す語尾、あるいは酵素が作用する物質(基質)名の接尾語。 ・哺乳類の乳汁に含まれているラクトース(乳糖)をガラクトースとグルコースに加水分解する酵素。 ・ヒトでは小腸の腸絨毛(小腸上皮細胞)に多く存在する。 ・この酵素の欠乏は乳糖不耐症を引き起こす。 ・最適温度は48℃、最適pHは6.5である。 リパーゼ lipase lip-、lipo-:「脂肪」または「脂質」の意の連結形。 -ase:酵素を示す語尾、あるいは酵素が作用する物質(基質)名の接尾語。 ・一般的にはトリグリセリド(中性脂肪)を分解して脂肪酸を遊離するトリアシルグリセリドリパーゼを 指す。 ・膵液や小腸上皮細胞に含まれ、脂質の消化を行う消化酵素である。 ・広義のリパーゼとしては、リン脂質(生体膜の主成分)を分解する各種のホスホリパーゼがある。 LDL low density lipoprotein 低比重リポタンパク質 low:「低い」 density:「密度」、「比重」、「濃さ」 lip-、lipo-:「脂肪」または「脂質」の意の連結形。 protein:「タンパク質」 ・肝臓から末梢へコレステロールを輸送する。 LH luteinizing hormone 黄体形成ホルモン luteinize:「~に黄体を形成させる」 ・下垂体前葉から分泌される糖タンパク質ホルモン。 ・女性において、排卵の誘起と卵胞の黄体化を誘引し、男女両方で性腺からの性ステロイドホルモン の産生を刺激する。 ・視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)により分泌が促される。 ・性腺からの性ステロイドホルモンによりネガティブフィードバックを受ける。 【M】の医学英語 マクロファージ macrophage、 MΦ macro-、macr-:「大きい」、「長い」の意の連結形。 -phage:「食べるもの」、「細胞を破壊する細胞」の意の名詞語尾。 ・白血球の1つであり、免疫システムの一部をになうアメーバ状の細胞で、生体内に侵入した細菌、ウイ ルス、又は死んだ細胞を捕食し消化する。 ・また抗原提示を行い、T細胞の活性化やB細胞による抗体の産生に貢献する。 MSH melanocyte stimulating hormone メラニン細胞刺激ホルモン mela-、mel-、melo-:「黒い」の意の連結形。 melan-、melano-:「黒い」、「黒色素」の意の連結形。 -cyte:「細胞」の意の名詞語尾。 stimulating hormone:「刺激ホルモン」 ・下垂体の中葉(前葉と後葉の境界部分)から分泌される。 ・メラニン細胞のチロシナーゼを活性化させ、メラニン合成を促進する。 ・日光に曝されることにより分泌促進される。 MP関節 metacarpophalangeal joint 中手指節間関節 metacarpo-:「中手骨の」、metacarpus:「中手骨」 meta-:「後ろ」、「変化」の意の接頭辞 carpo-:「手根骨の」、carpus:「手根骨(carpal bone)」 phalangeal:「指骨の」、phalanx:「指骨」 joint:「関節」 モチリン Motilin motility:「[自動]運動性」 -in:化合物、薬品などの名詞を作る。 ・十二指腸粘膜のMo細胞から分泌されるペプチドで消化管ホルモン。 ・十二指腸におけるアルカリが分泌の刺激になっているという説が提唱されている。 ・胃腸の運動亢進、ペプシノーゲンの分泌亢進。 ・低pHでは、胃の運動を抑制し、高pHでは亢進させる。 【N】の医学英語 ネフロン nephron 腎単位 nephro-、nephr-:「腎臓」の意の連結形。 -n:名詞を作る。 ・糸球体、ボーマン嚢、近位尿細管、ヘンレのループ、遠位尿細管よりなる。 ノルアドレナリン noradrenaline (米国:ノルエピネフリンNorepinephrine) nor-:①炭素原子の分枝のない鎖を意味する接頭語。 ②鎖からメチレン基(-CH2)1個を除去することを意味する接頭語。 ad-:「付着」を意味する接頭語。 ren:「腎臓(=kidney)」、 renal:「腎の」、「腎性の(=nephric)」の意。 adren-、adreno-、adrenal-:「副腎に関する」の意の連結形。 -ine:塩基(アミン)および元素名を作る。 ・ノルアドレナリン・・・・ノルアドレナリン神経系の神経伝達物質。 副腎髄質ホルモンとして、α受容体に親和性が高い。 血管収縮による血圧上昇作用が強い。 アドレナリン・・・・アドレナリン神経系の神経伝達物質。 副腎髄質ホルモンとして、α受容体・β受容体ともに親和性が高い。 心機能促進作用、血糖上昇作用が強い。 【O】の医学英語 オキシトシン oxytocin(OXT、OT) oxy-:「鋭い」、「とがった」、「急速な」の意の連結形。 oxytocic:「分娩を促進する」、「分娩促進剤」 -in:化合物、薬品などの名詞を作る。 ・下垂体後葉から分泌されるペプチドホルモンである。(アミノ酸9残基。バソプレシンとはアミノ 酸が2カ所だけ違う。視床下部の室傍核と視索上核の神経分泌細胞で合成され、下垂体後葉に 送られる。) ・平滑筋の収縮を促すことによる授乳時の乳汁射出作用(乳汁射出反射)や分娩時の子宮収縮作用。 ・その他、愛情・信頼・社会性の形成にも関わっている。 ・乳首などへの皮膚刺激によって分泌が促進される。 【P】の医学英語 ホスホリラーゼ phosphorylase phosph-、phospho-、phosphor-:化合物中のリン酸の存在を示す接頭語。 phosphorylation:「リン酸化[反応]」 -ase:酵素を示す語尾、あるいは酵素が作用する物質(基質)名の接尾語。 ・グリコーゲンやデンプンを加リン酸分解する酵素の総称。 リン酸(りんさん、燐酸、英: phosphoric acid)は、リンのオキソ酸の一種で、化学式 H3PO4の無機 酸である。 pH ピーエイチ、「水素イオン指数」、または「水素イオン濃度指数」 「potential Hydrogen 」、あるいは「power of Hydrogen」の略。 potential:「電位」 Hydrogen:「水素」 ・水素イオンの濃度 [H+] (mol/L) は酸性度を定量的に表す指標として用いられる。 ・水中の [H+] は1から10-14mol/Lの広い範囲を取り、pHでは0から14となる。 ・中性の水には 10-7mol/L の水素イオンが存在するため、pHは7となる。 ・pHが小さくなれば酸性が強いとされ、逆にpHが大きくなればアルカリ性が強いとされる。 ・「水素イオン」とは水素が電子を失って陽子のみになっている状態のものであり、すなわち陽子そのも のである。 ・陽子は電気的に”+”であり、「水溶液のpH」とは、平易な言い方をすれば、その水溶液全体が電気的 にどれだけ”+”であるのかを表していることになる。 ・水中における陽子は単独で浮遊しているのではなく、水分子の負極側に配位結合して、H3O+として 存在する。 プロジェスチン progestin 「黄体ホルモン」 progest-:progestational(妊娠前の)から派生。 -in:化合物、薬品などの名詞を作る。 ・ジェスタージェン(gestagen)、あるいはプロジェスタージェン(progestagen)とも呼ばれる。 ・「プロジェスチン」は総称であり、主な物質としては、プロジェステロン(progesterone)や20α- ヒドロキシプロジェステロンがある。 ・炭素数21個のステロイドホルモンである。 ・成人女性では卵巣の黄体から分泌されるが、妊娠中期以降になると胎盤からも分泌される。 ・ステロイド生合成の中間代謝産物であるため、精巣や副腎皮質からも少量血中へ分泌される。 ・子宮内膜を分泌期(粘液が分泌され受精卵が着床しやすい時期(=卵巣の黄体期))のものに変える、 基礎体温を上昇させる、基礎代謝を亢進させる、受精卵の発育と妊娠を維持させる、乳腺組織を発育 させる、など。 PRL prolactin プロラクチン pro-:「前」、「前方」の意の接頭辞。 lact-、lacti-、lacto-:「乳汁」の意の連結形。 (「酪(らく)」:牛・羊などの乳からつくった飲み物) -in:化合物、薬品などの名詞を作る。 ・下垂体前葉から分泌される単純タンパク質ホルモンである。(アミノ酸199残基。) ・下垂体のプロラクチン産生細胞の他、胎盤や子宮など末梢組織でも産生される。 ・乳腺の分化や発達、乳汁合成促進、乳汁分泌促進、黄体の維持、プロゲステロン分泌の維持、授乳 などの母性行動の促進、授乳期の排卵抑制。 ・その他、免疫応答、浸透圧調節、血管新生、男性の射精後の急速な性欲減衰 などにも関与する。 (血中濃度:成人男性は3.6~16.3ng/ml、成人女性は4.1~28.9ng/ml)。 ・通常は、視床下部からのドーパミンなどのプロラクチン抑制因子によって放出が抑えられており、 TRHなどのプロラクチン放出因子や乳首刺激によってによって放出が促進される。 プロスタグランジン prostaglandin, PG pro-:「前」の意の接頭辞。 prostato-、prostat-:「前立腺」を意味する連結形。 (prostate gland:前立腺) -in:化合物、薬品などの名詞を作る。 ・精液や前立腺の中から見出されたため、このように命名された。 ・ヒト、動物の組織、臓器に含まれ、多様な生理作用をもつ脂肪酸グループの名称である。 ・分子種も多く、プロスタグランジンA~Jに分類され、その中でもさらに複数の種類がある。 ジホモ-γ-リノレン酸から作られるもの、アラキドン酸から作られるもの、EPAから作られるもの がある。 例)◇PGE2 (アラキドン酸から作られる。C9に-C=Oをもち、二重結合を2個もつ。) 平滑筋収縮作用(PDE受容体EP1サブタイプ) 末梢血管拡張作用、血管透過性亢進(PDE受容体EP2サブタイプ) 発熱・痛覚伝達作用(PDE受容体EP3サブタイプ) 骨新生・骨吸収作用(PDE受容体EP4サブタイプ) ◇PGF2α(アラキドン酸から作られる。C9に-OHをもち、二重結合を2個もつ。) 黄体退行、平滑筋(子宮・気管支・血管)収縮作用(PGF受容体) PIP関節 proximal interphalangeal joint 近位指節間関節 proximal:「近位の」、「基部の」 interphalangeal:「指節間」 inter-:「間」の意の接頭辞。 phalangeal:「指骨の」、phalanx:「指骨」 joint:「関節」 プルキンエ チェコ語:Jan Evangelista Purkyn? ヤン・エヴァンゲリスタ・プルキニェ ドイツ語:Johannes Evangelista Ritter von Purkinj ヨハネス・エヴァンゲリスタ・リッテル・フォン・プルキンエ ・1787年12月17日 - 1869年7月28日、ボヘミア(現在のチェコ)の解剖学者、生理学者。 「プルキンエ細胞」:小脳にある大型ニューロン、1837年に発見。 「プルキンエ線維」:房室結節から心室に活動電位を伝える線維状組織、1839年に発見。長さは 数100μm、直径10-100μmの著しく長く、太い線維であり、伝導速度は 2-4m/秒と非常に速い。 「プルキンエ像」:以前に白内障の診断のために用いられた角膜や水晶体面による反射像。 「プルキンエ現象」:暗いところでは赤色のほうが暗く、青色のほうが明るくみえる現象。 【S】の医学英語 セクレチン secretin secrete:「分泌する」 -in:(化合物、薬品などの名詞を作る) ・十二指腸や小腸上部から分泌される、アミノ酸27残基のポリペプチドで、消化管ホルモン。 ・胃から送られてきた酸性内容物の刺激を受けて分泌促進される。 ・膵臓からの重炭酸塩の分泌を亢進、酸性粥状液を中和し、胃酸分泌抑制などの働きをする。 ・セクレチンの分泌は中和によって抑制される。 ・またコレシストキニンの効果を強める。 ソマトスタチン somatostatin (成長ホルモン分泌抑制ホルモン) somato-、somat-:「体」、「体の」の意の連結形。 statin:「スタチン(= releasing factor)」 ・脳の視床下部、膵臓のランゲルハンス島、消化管の内分泌細胞などから分泌されるホルモン。 ・下垂体からの成長ホルモンの分泌抑制、ランゲルハンス島からのインスリンおよびグルカゴンの産生 抑制・分泌抑制、消化管からの栄養の吸収抑制、セクレチン、ガストリン、胃液、胃酸の分泌抑制な ど。 ・視床下部では、GHRHとソマトスタチンは、成長ホルモンの脈動の分泌によって交互に放出される。 【T】の医学英語 テストステロン testosterone testo-:testis(精巣、睾丸)の連結形。 sterone stereos :「[ギリシャ語]固体」 -one:「ケトン(カルボニル基、>C=O)」の意の化合物名を作る。 ・アンドロジェンのうちの一種であり、炭素数19個のステロイドホルモンである。 ・精巣のライディッヒ細胞(間質細胞)から分泌され、血中濃度はアンドロジェン全種類の90%以上を 占める。 ・テストステロンまたはその代謝産物であるジヒドロテストステロン(DHT)は、胎児期の性分化、男性 生殖器の形成と発達、声変わり、体毛の増加、筋肉の発達、性欲の亢進、男性型脱毛症などをも たらす。 トロンボポエチン thrombopoietin、TPO thrombo-:「血栓」、「血栓症」の意の連結形。 -poietin: -poiesis:「生み出す」の意の名詞語尾。 -in:化合物、薬品などの名詞を作る。 ・プロトロンビン prothrombin → トロンビン thrombin pro-:「前・・・・」の意の接頭辞 ・巨核球(→血小板)の増殖および分化に関与するホルモン。 ・主に肝臓で生成される(その他腎臓、脾臓、骨髓など)。 TSH thyroid stimulating hormone 甲状腺刺激ホルモン thyroid:「甲状の」 thyroid gland:「甲状腺」 stimulate:「刺激する」 stimulating hormone:「刺激ホルモン」 ・下垂体前葉から分泌される糖タンパク質ホルモン。 ・甲状腺に働きかけ甲状腺ホルモンの分泌を促進させる。 ・視床下部からの甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)により分泌が促される。 ・甲状腺ホルモンにより分泌が抑制される。 ・視床下部にも働きかけTRHの分泌も抑制する。 TRH thyrotropin-releasing hormone 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン thyrotropin:(=thyroid stimulating hormone) releasing hormone:「放出ホルモン」 ・視床下部から分泌されるペプチドホルモンの一つ。 ・ピログルタミン酸・ヒスチジン・プロリンの3残基からなりC末端がアミド化されたペプチド(Glp-His -Pro-NH2) である。 ・下垂体前葉からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)やプロラクチン(PRL)の分泌を促進させる。 ・甲状腺ホルモンにより分泌が抑制される。 【V】の医学英語 VIP vasoactive intestinal polypeptide 血管作動性腸管ペプチド(血管作用性小腸ペプチド) vasoactive:「血管作用性の(血管の緊張および口径に影響する)」 intestinal:「腸[管]の」 polypeptide:「ポリペプチド(ペプチド結合により多数のアミノ酸が連結して形成されたペプチド)」 ・28個のアミノ酸残基で構成されるペプチド。 ・血管拡張、血圧低下作用をもち、消化管、中枢神経細胞、自律 神経線維などに存在する活性ペプ チドで、循環血液中には放出されない。 ・構造は、ヒト、ブタ、ウシとも同じであり、抽出精製したものは治療薬として使用されている。 ・ランゲルハンス島の非β細胞腫により大量に分泌されると、激しい水様下痢と便中電解質(特にカリ ウム)喪失を引き起こす。 ・VIPは体の部分によって違った効果を持つ。 消化器系・・・・平滑筋(下部食道括約筋、胃、胆嚢、腸など)の弛緩 膵液と胆汁の分泌を刺激 膵臓の炭酸水素塩の分泌を刺激 胃酸の分泌と腸への吸収を抑制 ガストリンによる胃酸分泌を抑制 腸からの水分や電解液分泌を強く刺激 腸の血管拡張 脳では・・・・概日リズムの時計機構に関係する プロラクチン分泌の調節を助ける 心臓では・・・・冠状動脈の血管拡張、心拍出量増加 バゾプレッシン vasopressin vaso-、vasculo-:「脈管」、「血管」の意の連結形。 press:「圧迫」 -in:化合物、薬品などの名詞を作る。 ・下垂体後葉から分泌されるペプチドホルモンである。(アミノ酸9残基。) (視床下部にある神経細胞体で合成されたプレプロホルモンが、軸索輸送により下垂体後葉にある シナプスへ送られる間にバソプレッシンとなり、血管内へ分泌される。) ・抗利尿ホルモン(英: Antidiuretic hormone, ADH)、あるいは血圧上昇ホルモンとも呼ばれる。 ・腎集合管に働き、水の再吸収を促進することにより水保持作用を発現する。 ・また、血管平滑筋を収縮させて血圧を上げる効果がある。 ・オキシトシンと共に、愛情・信頼・社会性の形成に関わるとされる。 ビタミン vitamin vaital:「生命の」、「生命の維持に必要な」 amine:「アミン」。アンモニア(NH3)の水素原子を炭化水素基で1つ以上置換した化合物の総称である。 ・vital amine (生命活動に必須のアミン)から 「vitamine」 と名付けられたが、やがてアミンの類で ないことがわかり「e」の文字が削除された。 ・水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに分けられる。 【W】の医学英語 WPW症候群 Wolff-Parkinson-White syndrome 次の3名の名前が反映されている。 Louis Wolff:米国の心臓学者、1898~1972年 Sir John Parkinson:英国の心臓学者、1885~?年 Paul Dudley White:米国の心臓学者、1886~1973 syndreme:「症候群」 ・房室間に、His束以外にも伝導速度の速い副伝導路(Kent束)が存在している疾患。 (Kent束を通る刺激は、His束を通った刺激よりも速く末梢心筋に到達するため、心室の収縮が部分 的に正常よりも早く始まる。この部分的な早い収縮は心電図上にδ(デルタ)波として表現される。 Kent束を伝わった刺激が、プルキンエ線維を逆行して再び房室結節に戻ってしまう(リエントリー) と、そこから再びKent束へと刺激が伝わり、心室頻拍類似の頻拍となる。この頻拍はときに心室 細動へと移行し、突然死の原因となる。) |