調べれば出てくる情報ですので、遠慮なく、補足説明を加えた上でごく簡単に紹介しておきたいと思います。これは富山大学を中心とした研究グループによる成果であり、2016年に最初の報告がなされたものです。結論的に言うと、ヒバを代表とした様々な針葉樹に多く含まれている精油成分の中でも、特にツヨプセンという物質に強い抗がん作用が見られた、とするものです。
ところで、前回までは、口から入れるものについて幾つか紹介しましたが、今回は鼻から肺に吸い込むものにも極めて有効なものがあるという例になります。また、この精油のアロマ製品は何種類も市販されており、価格も決して高いものではありませんので、多くの方がご利用になれば良いなと思います。因みに、私も消毒用エタノールに精油を混ぜてスプレー容器に入れ、そこら中に振り撒いております。
当該研究内容の詳細を知りたい方は原著を検索していただき、読まれたら良いと思います。ここで言いたい事のポイントは、この一連の実験では胃がん細胞が用いられていますが、もちろんそれに限ったものではありません。私が思うには、吸い込んだ精油成分が、より直接的に接触することになる肺がん、その他の呼吸器系のがんに対して、最も有効な抗がん対策になると思っております。
併せて次のようなことも言えます。例えば、将来的にツヨプセンという物質のみが単離精製されて抗がん剤として認可され、臨床的に用いられるようになった場合、それはいわゆる西洋医薬のアプローチになり、各種の副作用も顕在化してくる可能性があります。私たちのような生物は、単離精製されたものには慣れていないことと、他の成分による相乗効果が全く無くなってしまうことも大きな問題点です。
西洋の医学や科学は、細かく分けていって単純化し、個々のメカニズムを明らかにしようとするスタンスで研究していきます。そして、この物質がこのような機序にて作用する…というエビデンスを得ようとします。そして、そのようなエビデンスが不明なものは認めない、とすることを慣習としています。だからこそ、治るものも治らなくなってしまうのです。
例えば、よく効く漢方薬や生薬があった場合、その中心となる有効成分らしきものを単離して投与すると、思ったほど利かないという結果になります。それは何故なのかといえば、複数の成分による相乗効果が生まれなくなるからです。
話を戻しますが、人類もかつては森に棲み、多くの植物が発散する非常に多種類の精油成分を日常的に吸いながら生活してきました。そして、そのような成分が常に呼吸器に入ってくることを前提として体内の各種の生化学的な経路が設定され、遺伝子のエピゲノム的なスイッチも設定されました。ところが、多くの現代人は、コンクリートに囲まれた空間で生活するようになり、精油成分を日常的に吸い込めなくなってしまったのです。これでは異常が起こらないほうが不思議です。
従いまして、私たちは森に帰り、私たちの祖先が生きてきた暮らしに戻るべきです。それが難しいというのなら、森林浴にできるだけ多くの時間を割き、それでも足りない分は精油製品を有効活用していただければと思います。