人体のメカニズム

炭酸水(二酸化炭素水溶液)の効果は?

二酸化炭素水溶液(即ち「炭酸水」)の生理的効果は、経皮的な投与では皮膚血流量の増加が見られるが、経口的な投与では影響は殆ど無い。もし、体内の二酸化炭素濃度を少し高めたいという希望があるのなら、息を少し止めるだけで目標を達成することが可能になう。
人体のメカニズム

体液のpHを一定に保つために尿のpHが変化する

どのようなものを飲食しても、普通に運動しても、体液(血液、リンパ液、体腔液)のpHは、狭い範囲内に調節・維持される。体液のpHを変動させないために最も頑張っているのは腎臓である。体液のpHが僅かに下がり始めると、腎臓は血液中に在る酸性の物質を拾い上げ、それを尿として排泄する。ただ、問題があるとすれば、大きく酸性側に傾いた(pHの低い)尿を通すことになる腎-尿路系へのダメージである。
人体のメカニズム

重曹水を口から放り込むとどんなことになるのか

重曹水を飲むと、胃内のpHが思ったように下がらないため、胃の壁細胞はプロトンポンプをフル稼働させ、プロトンの放出量を増やさなければならなくなる。その場合、重曹水が何かの役に立つのかと言えば、胃が頑張って放出したプロトンによって直ぐに二酸化炭素と水に変えられてしまうため、何の役にも立たない。
人体のメカニズム

600mLを飲んだ時に胃からの排出速度が最も速くなる

胃は、〝一時貯蔵〟の役割も担っている臓器である。口から飲むタイミングを「こまめ」にしなくても、胃の出口である幽門が、一度に沢山飲んだ水を「こまめ」に小腸に送ってくれる。だからこそ理想は、1日に数回、一度に350~500mL程度を飲むのが良い。
健康-医薬品

一時しのぎで飲んだ胃薬が全身を蝕む

どの薬でも同じことであるが、本来の副作用欄を見てしまったなら、大抵の人はその薬を飲まないであろう。胃薬もそうであり、「胸やけ」「胃もたれ」などを解消したいがために飲んでしまうと、とんでもない副作用を被るリスクを背負うことになる。そして、胃酸は重要であるため、抑えようとしてはならない。
生命-進化

ヒトは腐った肉をも食べる能力を秘めている

ヒトの胃液が強酸であることを当たり前のように思っているかも知れないが、決して当たり前ではない。ヒトは昔、動物の肉を大いに食べてきたが、冷蔵庫が無いため短時間で腐敗が進んだ。そこで、腐肉食動物のハイエナのように、胃の内部を強酸に保つ能力を獲得することによって、腐敗した肉をも食べられるように進化した。
人体のメカニズム

乳糖不耐症?「症」とはいったい何事だ!!

「症」は、病気の性質や状態を指す語である。しかし、乳糖を分解できないのは病気ではない。逆に、離乳期を過ぎたのに乳糖を分解できることのほうが、病気なのである。成人になっても問題無く牛乳が飲める場合、それは遺伝子変異の結果であり、ラクターゼ活性持続症と呼ばれる。(「症」の文字を使いたくない場合はラクターゼ持続性と呼ばれる)
人体のメカニズム

食べてすぐ寝ても牛にはならない ~胃食道逆流症の真実~

日常的に和食を食べている人が「胸焼けがする」という例は殆ど無い。下部食道括約筋の弛緩は、特に消化管ホルモンのコレシストキニンによって促される。コレシストキニンの分泌は、ペプチド、アミノ酸、脂肪酸、アルコールによって促される(高タンパク質+高脂質+アルコールの組み合わせが最悪となる)。
人体のメカニズム

物を飲み込む時には顎を引くのが基本

遥か昔から、物を食べたり飲み込んだりする場合、頭部(頸部)は、やや前屈(うつむき加減)であるのが普通であった。そのため、やや前屈である場合に最も飲み込み易い喉の構造になった。逆に、深呼吸するときのように頸部を後屈すると、気道の方が広く確保されることになった。それは即ち、飲み込んだものが気道のほうへと誤嚥されやすくなることを意味する。
人体のメカニズム

飲んだ水は重力に逆らってでも胃に向かう

食道の蠕動運動は、基本的には食道壁に埋め込まれた内在神経によってコントロールされている。そのため、食道自体が脳を持っているイメージである。もし、食道が単なる肉のホースであれば、キリンは水を飲むことが出来ない。食道は、それ自体が高度な神経系を持った、超高性能な自律器官なのである。
栄養-栄養素

ひまわりの種を食べる理由

ひまわりの種子の栄養的な最大のメリットは、比較的摂り難いビタミンEを多く摂れることである。その他の特徴としては、ビオチンや銅の含有量が多いことである。ただ、MLBの選手にとっては、気分を落ち着かせたり、集中力を高めたりすることにメリットがあるようである。
人体のメカニズム

ヒトの細胞の安全温度は42℃までである

80~90℃のお茶やコーヒーを飲むと、舌や、口腔内・咽頭・食道の表面を覆っている粘膜の上皮細胞は瞬時に死滅する。その結果、粘膜による防御機能が損なわれ、ウイルスや細菌に感染しやすくなる。また、化学物質やアレルゲンが侵入しやすくなる。更には、舌がん、咽頭がん、食道がんのリスクが高まる。
人体のメカニズム

不足の可能性があるのは酵素ではなく補因子のほうです!!

補因子の多くはビタミンであったりミネラル(金属イオン)であったりする。それは即ち、多くの人が日常的に不足させている栄養素である。従って、「酵素が不足している」のではなく、酵素が働くために必要な「補因子が不足している」のである。だからこそ、酵素を補おうとするのではなく、ビタミンやミネラルを補給すれば良いのである。
人体のメカニズム

消化酵素の全貌 ~「酵素商売」に騙されないためにも

〝酵素〟は細胞が必要に応じて作り出すものであり、間違っても体外から補うものではない。ヒトの場合、体内に存在する酵素は代謝酵素と消化酵素に分けることができるが、消化酵素が占める割合は2~4割ほどであり、沢山食べた時ほど増産されることになる。消化酵素の種類や量は、動物の進化の過程において、食べてきた物の種類に適応するように変化してきた。
生命-進化

消化管の中はまだ体の外である

多くの人は、口から物を飲み込んだ時点で、その物が体内に入ったと錯覚している。しかし、消化管内は外部と直接つながっており、基本的には外部であるため、その物はまだ体内には入っていない。食べた物が消化管の中をゆっくりと流れる間に、ヒトの体は必要なものだけを拾い上げる作業をする。逆に、不必要なものは拾い上げないようにする。
五感

食欲を抑えたければ青色のメガネをかければ良い

ヒトは、熟した果実や、健康な哺乳類の新鮮な肉が大好物であり、それらが発する赤色を見ることによって食欲が高まる仕組みになっている。食欲を抑えたいのであれば、赤いものが赤く見えないようにすればよい。最も手軽な方法は、青色のメガネをかけることである。もし、他人に迷惑がかからないのであれば、照明も青色に変更すればよい。そうすることで、食べる気がしなくなる。
天然物質-植物成分

肥満を防ぐためのファイトケミカル

抗肥満作用を示すファイトケミカルの作用機序としては、食欲の抑制、炭水化物と脂質の吸収減少、脂質代謝の調節、熱発生の促進、脂肪生成の阻害、肥満誘発性炎症の抑制、腸内細菌叢の調節、を挙げることが出来る。該当するファイトケミカルの具体例は、本文中および図中に示したものである。