体内においてAGEsの生成を阻害する物質群

体内においてAGEsの生成を阻害する物質群

『体内においてAGEsの生成を阻害する物質群』

 今回は、AGEs(終末糖化産物)に関する記事の3つ目になります。因みに、1つ目は『食べ物に含まれる終末糖化産物(AGEs)も危険だから避けよう!』であり、これは特に肉類や、タンパク質と脂質を多く含む食材を高温加熱調理する際に作られるAGEsを取り込まないようにしよう、というお話でした。
 2つ目は『体内におけるAGEs生成の最大原因は単純糖質の多い飲料』であり、これは果糖やブドウ糖の大量摂取によって体内でAGEsが生じるため、それらが多く含まれる物を飲まないようにしよう、というお話でした。
 そして今回は、何らかの機能性成分を摂取することによって、体内でAGEsが生成されることを阻止しようとするお話です。

 AGEsの怖さは、年齢が比較的若い人たちは、おそらく何も知らないと思います。また、中年期辺りの人は、聞いたことはあるけれども他人事のように思っている人が圧倒的多数だと思われます。何故なら、マスメディアによるCMや一般報道では、そのようなことは敢えて伏せるからです。もし、高温加熱加工度の高い食品が危険だと言ってしまえば、食品業界全体が大きなダメージを受けることになるでしょう。或いは、甘い飲食物が危険だと言ってしまえば、飲料メーカーはもちろん、スイーツなどを扱っている業界、多量に砂糖を放り込んで美味しい料理を作っている業界が、大きなダメージを受けることになるでしょう。「甘い物をあまり多く食べると太るから嫌だ」と言う人は居たとしても、「甘い物を物をあまり多く食べると老化が速まったり様々な健康被害を被る」などと思っている人はごく一部の人だけだと思われます。

 例えば、20歳の人と40歳の人が2人で居た場合、第三者から見て、どちらが40歳であるのかはおおよそ的中できると思います。それは何故なのでしょうか…? おそらく、40歳の人の方が顔の弛み(たるみ)が大きかったり、小じわが多かったり、髪の毛の様子が違っていたりなどによって判断されるからでしょう。
 では、弛みや小じわや髪の毛はなぜ変化してしまうのでしょうか? 世間では、特に前の2項目については、紫外線をもっぱらの敵に仕立て上げています。それ以外には「それが歳を重ねるということだ」と納得させられているのが現状だと思います。
 しかし、紫外線よりも大きな原因は〝AGEs〟〝過酸化物〟〝カルバミル化物〟だということになります。そして、それらによる継続的な老化促進作用が若い頃から始まっていて、40歳にもなれば20歳の頃と大きな差として表面化してくることになるわけです。繰り返しますが、世間では紫外線をもっぱら老化の原因にして、他のものに気付かれないようにしているのです。紫外線対策用の商品も多いですから、尚更、宣伝活動が活発になるわけです。

 では、体内においてAGEsが作られることを防ぐ方法について紹介していくことにします。もちろん、果糖、ブドウ糖、砂糖などの単糖~2糖類を多く含むものを日常的に避ければ、体内におけるAGEs生成量は少なくなると思われます。ただ、デンプンを一度に多く食べた場合も、小腸にて多量のブドウ糖が遊離し、それがすぐに吸収され、一時的に血糖値が跳ね上がり、処理しきれなかった余剰のブドウ糖がしばらくの間、全身を巡ることになります。また、その一部は肝臓にて果糖に変換され、グリセルアルデヒドを経由してAGEsが作られることになります。白米や小麦製品を食べる人は、玄米や蕎麦(ソバ)を食べる人と違ってAGEs生成に拍車が掛かることになりますので、敢えてAGEsの生成を防ぐための対策をしない限り、40歳ではかなり老けてしまうことを覚悟しなければなりません。
 そこで、対策としましては、掲載した図(高画質PDFはこちら)に示されている物質群を積極的に摂ることが必要になってきます。

 これらがどのようにしてAGEsの生成を防ぐのか…、ということについてですが、図中に英語表記されている内容がそれです。順不同で和訳しておくならば、活性カルボニル化合物の捕捉、フリーラジカルの除去、金属イオンのキレート化、タンパク質糖化部位の保護、血糖値の低下などです。なお、ポリフェノールのところには沢山の記述がありますし、そうかと思えば2種類だけの記述のものもあります。いずれにしましても、一つの物質が複数の機序によってAGEsの生成を抑制する場合が殆どですので、機序と物質との対応をキメ細かく紹介することは避けたいと思います。
 また、その物質が医薬品になっている場合や、日本では一般的に手に入り難い物質である場合や、その物質を含む食材が必ずしも健康的でない場合などがありますので、私のお勧めのものとして紹介させて頂くことにします。

 まずは、この論文の著者も大きなスペースを割いて挙げているものに、〝ポリフェノール〟があります。もう、多くの人がポリフェノールという物質群の名前をご存じのことだと思いますが、これはかなりの大分類における物質群の総称です。
 その中の〝芳香族カルボン酸〟に属するものとして、カフェイン酸(コーヒー酸)、クロロゲン酸、フェルラ酸、没食子酸(もっしょくしさん)などに、AGEs生成阻害活性のあることが確認されています。そして、それらを含むお勧めの飲食物は、【コーヒー】と【玄米】です。
 次に、〝天然フェノール〟ですが、レスベラトロールやクルクミンなどにAGEs生成阻害活性のあることが確認されています。これらは当ブログの他の記事にて度々登場するファイトケミカルで、≪サプリメント≫として摂取することが一般的な方法になります。
 次に、〝フラボノイド〟ですが、これは当ブログで紹介することが非常に多いファイトケミカルです。日本人が日常的に摂取するものとして、【お茶】、【大豆】、【蕎麦(ソバ)】がお勧めです。

 次に〝多糖類〟ですが、キクラゲ多糖類、カボチャ多糖類、ゲンゲ多糖類などにAGEs生成阻害活性のあることが確認されています。日本人が摂取しやすいものとして、【キクラゲ】、【カボチャ】がお勧めです。

 次に、〝テルペノイド〟ですが、〝トリテルペン〟のオレアノール酸、ウルソール酸、ベツリン酸にAGEs生成阻害活性のあることが確認されています。日本人が摂取しやすいものとして、【柿のヘタ】、【リンゴの皮】がお勧めです。
 補足しておきますが、柿の実のヘタ(蔕)は、普通は捨てられる部分です。しかし、これを捨てずに乾燥粉砕してお茶に入れるなり、何かに振りかけて食べるなりすると、AGEs生成を阻害できる貴重な材料となります。また、リンゴの皮も、剥いて食べる人ならば捨てられる部分ですが、捨ててはもったいないわけであり、どうせ捨てるなら中身のほうを捨てましょう。

 〝ビタミン〟は、どのような目的であろうが欠かすことは出来ませんので、≪サプリメント≫として摂取することが一般的な方法になります。

 〝その他〟に挙げておいたもののうち、他の目的も合わせて毎日摂るべきは、タウリンです。詳細は『健全な若者でも別途補給しなければタウリン不足になる』をご覧ください。
 また、メトホルミンにつきましては過去に2つの記事『糖尿病治療薬であるメトホルミンは優れた抗老化薬である』、『メトホルミンは優れた抗がん作用をも示す』にてお話しましたように、医薬品の中では抗老化作用を期待できる優れた医薬品です。
 或いは、アスピリンも数れた医薬品の一つで(ご参考:『NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を上手く使おう』)、決して通常量を毎日飲むものではありませんが、AGEs生成阻害活性をも示すことを頭の片隅に置いておいて損はないということになります。
 もう一つ、α-リポ酸につきましては『リスクを回避しながら断食(ファスティング)を行う方法』の中でファスティング時に摂るべきサプリメントとして挙げておきましたが、通常は体内で必要量が生合成されていますので、常用しないほうが無難であると思われます。

 以上のように、体内においてAGEsの生成を阻害する物質群がありますので、特に図中に写真入りで紹介しました飲食物は、日本人が摂りやすくて、しかもAGEs生成阻害活性が確認されているものですので、老化防止、病気予防のためにご活用いただければと思います。

 
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