どのような生活をすると癌(がん)になるのかは一目瞭然

どのような生活をすると癌(がん)になるのかは一目瞭然

 今回は、先に図(高画質PDFはこちら)を見て頂きたいと思います。
 色の濃い国ほど、発がん率が高いことを示しています。特に目立つのは、北米、ヨーロッパ、日本、オーストラリアやニュージーランドです。
 逆に、発がん率が低いのは色の薄い国です。特に目立つの、アフリカの中でも赤道に近い国々、アラビア半島、インド亜大陸などです。また、地球全体で見てみると、赤道に近い国に、発がん率の低い国が多いことも分かります。
 これを見て、どのような感想をお持ちでしょうか…?

 なお、このデータは年齢補正がしてありますので、長寿の国だからがん患者が多いということではありません。純粋に発がん率(10万人当たりの発がん者数)のみを比較できるように、種々の統計的処理が行われた後のデータです。また、男女合わせて、全ての部位のがんがカウントされています。
 「このような場合は、どのように統計処理されているのか?」という色々な質問が出てきそうですが、発がん率の高い日本人が理屈をこねて自己弁護したところで、がん患者が多いのは事実なのですから、素直に反省することが大切だと思われます。

 日本人は、明治の頃から〝欧米〟に憧れ、様々なものを〝欧米化〟してきました。そのため、発がん率も欧米化したと言えるでしょう。図のデータは、2022年に調査され、統計処理されて2024年に報告されたものです。欧米の発がん率は近年において徐々に低下してきてはいるのですが、やはり世界的に見ると高いままです。そして、発がん率の低下が少ししか進んでいないのが日本です。日本はまさに、がん大国なのです。

 では、欧米化の中でも、特に何が原因なのでしょうか…?発がん率が高くなる原因は非常に沢山あると考えられます。食べ物、飲み物、生活環境、生活スタイル、医療、情報、などなど、他にも色々とあるでしょう。別の言い方をするならば、がんの少ない国には無くて、欧米や日本に有る、その全てのものが原因だと言うこともできるでしょう。
 例えば、原野や熱帯雨林で生活している先住民族の人たちは、大自然に抱かれてヒトという生物として生活していますが、欧米や日本では人工的なものに囲まれて生活しています。生物であるヒトに適するのはどちらの環境なのかと問われれば、それはもちろん前者のほうだということになるでしょう。

 多くの人に気付かれ難そうな、目に見えないものの例を挙げるならば、環境中に居る細菌の違いが、人体の常在細菌叢に大きな影響を与えています。
 土や植物の無い環境で暮らし、除菌や消毒をし、マスクをし、こまめに手洗いをし、衛生的に作られた飲食物を食べていれば、ヒトに本来必要な細菌が体内に居なくて当然です。
一方、原野や熱帯雨林で生活する先住民族の人たちであれば、土壌や植物や空中に居る細菌たちを一緒に消化管に入れることになりますから、かなり豊かな常在細菌叢を持つことになります。また、腸内細菌叢の場合であれば、それらを養うための繊維質を沢山食べますので、しっかりと維持されることになり、抗がん効果も得られることになります。

 目に見えないものの他の例としましては、例えば植物が出す揮発性物質(フィトンチッド)もそうです。直接的な抗がん作用を示す物質もありますが、植物たちがコミュニケーション手段として使っている種々の揮発性物質も、ヒトが生物の一員として生きていくためには必要なものです。
 或いは、自然界に溢れる音もそうです。虫の声、鳥の声、木々や草が風になびいて出す音、水や雨の音、原始的な楽器の音、そのようなものには超高周波音が豊富に含まれていますから、それも結果として抗がん作用を示すことになります。逆に、都市部の騒音は結果として発がんを促すことになります。
 或いは、太陽光から放射される紫外線や赤外線も、抗がん効果を発揮します。多くの日本人のように、念入りに紫外線対策をし、ビルディングの窓ガラスはUVカット性能、赤外線カット性能の高いものが使われ、そのような中で生活をするものですから、発がん率が高まるわけです。

 目に見えるものの例としましては、それは誰もが見えている通りの大きな違いがあります。例えば、草木を見ていると〝揺らぎ〟が目に入ります。風の状態によってランダムに揺れることになりますから、そのランダムさが安らぎを与えると共に、覚醒作用によって処理能力を高めます。一方、人工的な部屋の中に居ると、ランダムに揺れ動くものは殆どありません。止まっているか、規則的に動くか、そのどちらかでしょう。そのようなものが視界に入ってくると、ストレスが高まるだけであって、頭が冴えることはありません。

 或いは、葉っぱを見ても、同じものは二つとしてありません。みんな、どこか少し違います。一方、壁紙の模様を見れば、どこを見ても同じパターンです。そのような、自然界には無い不自然なものを見るだけでも、生じるストレスは大きく高まってしまいます。色もそうであり、植物の種類や見え方によって少しずつ違って見える緑色が、健康度を高めてくれるわけです。

 上記のような例を挙げていくと切りがありません。例えば、発がん率の低い国の飲食物と欧米や日本の飲食物の違いの話を始めたら、終わりがないほど延々と続くことになります。或いは、医療や薬の話を初めても、切りがないほど延々と続くことになります。それほど、私たちは不自然な生活をしているということです。
 「がんは、遺伝子の異常が重なっていって…」そんなことを言っているから、日本の発がん率が、なかなか低下していかないのです。殆どのがんは文明病なのであり、生活習慣病です。何はともあれ、私たちは欧米の真似をするのではなく、欧米にあこがれるのでもなく、発がんが少ない国の生き方を真似る必要があるのです。それは、明治よりも前の日本の姿に戻ることでもあります。

 
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執筆者
清水隆文

( stnv基礎医学研究室,当サイトの keymaster )
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