巷では、ミネラルに関する話題や情報が色々と入り乱れている感じがしますので、最新の状況を一度見ておきましょう。
先に結論を述べておきますが、タイトルに書きましたとおり、特に不足を気にしなければならないのは3種類だけであり、それはカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)です。そして、次に不足を気にしても良いと言えるのが2種類だけであり、それは鉄(Fe)と亜鉛(Zn)です。それ以外のミネラルは、偏食が多い場合とか、ミネラルの吸収や代謝に異常を抱えている場合を除き、特に気にする必要はありません。ミネラルのサプリメントを販売する会社は、何とか売り上げを伸ばしたいがために、あの手この手で様々なミネラルを宣伝してきますが、気にしないようにしてください。
では、掲載しました図(高画質PDFはこちら)をごく簡単に紹介しておきます。なお、表の下に、重要ポイントだけをまとめて書いておきましたので、後からでも結構ですので眺めていただければ結構です。
表の左から中央にかけては、厚生労働省による2025年版の「日本人の食事摂取基準」の数値を拾って作成しました。また、表の右側の部分は、厚生労働省による2023年までのデータが集計された「栄養素等摂取量」の数値を拾って作成しました。特に、独自に計算した「推奨量に対する充足率」の数値を見ることによって、平均的な日本人が、各栄養素をどの程度摂れているのかを知ることができます。なお、その計算に当たりましては、40~49歳の摂取量データ(男女の平均)について、基本的には「推奨量」(男女を平均した値)に対するパーセンテージを求めています。言い換えるならば、「本当はこれぐらい摂ってほしいのだけれど、実際にはその何パーセントが摂れていますか?」という問いに対する答えになっています。これで、現代日本人の、おおよその摂取傾向が判ります。
では、上述しました「不足を気にしなければならないミネラル」の「推奨量に対する充足率」を見てみましょう。
不足の大きそうなものから順に並べると、先ずはカルシウム(Ca)で、推奨量の59%に相当する量しか摂れていません。もちろん平均値なのですから、個人によっては更に大きく不足していることになります。同様に、次はマグネシウム(Mg)で67%、その次はカリウム(K)で73%しか摂れていないことになります。なお、対策につきましては今回のブログでは割愛させていただきます。
次に、場合によって不足する可能性のあるのは、次の2つだけだと考えて結構です。1つは鉄(Fe)であり、平均的な充足率は93%です。2つ目は亜鉛(Zn)であり、平均的な充足率は96%です。
このような、充足率が90%台のミネラルは、鉄ならば出血があるか否かでも推奨量が変わってきますし、その人の食習慣によっても変わってきますので、人によっては充分量である場合もあれば、不足している場合もあるというミネラルになります。
亜鉛も同様であって、偏食の多い人の場合は大いに不足してしまうことになり、健康を崩したり病気に罹ったりすることになりますので、日頃から充分に注意しておくべきミネラルだと言えます。
逆に、過剰を特に気にしなければならないミネラルもあります。特に気にすべきものから順に並べると、ヨウ素(I)は耐容上限量に近い量を、多くの人が摂っていることになります。推奨量に対する摂取量のパーセンテージは大き過ぎるため記入しなかったのですが、単純計算すると1,429%にもなります。
次には、ナトリウム(Na)が過剰であり、本来の必要量の634%も摂っていることになります。なお、塩化ナトリウムに換算した場合、「塩分は多くても7.5g以下(男性)、6.5g以下(女性)にしましょう」と言われているのですが、その上限量の更に139%を摂取しているということです。普通、食材そのものには塩分は殆ど入っていないですので、野生に帰るならばナトリウムとして600mg/日あれば結構だということです。
次に過剰なのが、モリブデン(Mo)であって、推奨量の818%、その次がセレン(Se)で、推奨量の333%を摂っていることになります。何度も言いますが、あくまで平均的な日本人の場合ですから、代謝系に異常を抱えている人は別です。
上に挙げていないミネラルは、特に気にする必要の無いものです。即ち、リン(P)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)です。なお、これらはどちらかと言うと、多めに摂れている場合のほうが多く、過剰になることに注意すべき場合もありますので、その点だけは注意していただければと思います。特に、食品添加物にはリンの化合物が多種類かつ多量に使われていますから、種々の加工食品を食べる機会が多い人は、リンが過剰になっている可能性が高いです。
以上、今回の記事は、ミネラル全体の摂取状況を確認していただくことを最大の目標にしましたので、各論は割愛させていただきます。
なお、ビタミンなど、他の栄養素につきましても同様の表にて紹介する予定をしておりますので、またその内容をご確認ください。