遺伝・遺伝子

生命の設計図である遺伝子と、その発現・変異・調節の仕組みを探るカテゴリです。
個体差、疾患、発達、老化、環境応答など、ヒトの多様性と生命現象の根底にある遺伝のメカニズムを科学的に解説します。

遺伝・遺伝子

使われなくなった遺伝子は封印(不活化)されていく

使われない遺伝子は、幾つかの方法によって、容易に使えない形に変化させられる(封印される)。そのうち、主な方法は〝DNAのメチル化〟と〝ヒストン修飾〟の2つである。封印される遺伝子が増えることは機能低下に繋がりかねないため、必要以上に封印させない工夫が必要である。その方法は、様々な遺伝子を使い続けることである。
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遺伝子は持っていることよりもスイッチのON/OFFが問題

重力が在り、地磁気や大気などで守られている地球上の生物も、無重力状態である宇宙ステーションに置かれると、それなりに頑張って適応しようと、遺伝子のスイッチが切り替わる。私たちヒトの適応力も、多くの人が想像している以上に高い。遺伝子を持っていることよりも、後天的な発現変化が重要なのである。
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がんの促進も抑制も細胞の指示次第【マイクロRNAを用いた遠隔指示】

がん(癌)に罹るのは、細胞の遺伝子が壊れたからではない。また、がん抑制遺伝子が壊れたからでもなく、変異が積み重なったからでもない。発がんは、苦しめられた部位の細胞と、その周囲に位置する細胞とのコミュニケーションの結果として起こる。発がん後の進退は、がん幹細胞、その周辺の細胞、更には全身の殆どの細胞によるコミュニケーションの結果によって左右される。
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細胞は暴行を受けたことを近隣の細胞に知らせる

最も驚くべき細胞の能力は、自らが放射線を浴びなくても、近隣の細胞が浴びれば、自らも染色体異常、DNA損傷、突然変異などを誘発することである。即ち、襲ってくるかもしれない苦境を乗り越えるために、今以上の能力発揮を期待して変身を試みるのである。もちろん、その変身は、人間が「がん細胞」と呼ぶレベルにまでエスカレートすることもある。
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日本人は独特だが個人差も大きい

縄文人は狩猟採集生活に適した体質を持っているが、東アジア人は稲作農耕生活に適した体質を持っている。現代日本人は両者の混血であるが、人によって両者の比率が異なっているため、一定の型に当てはめようとしてはいけない。日本人は独特だが個人差も大きい。
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アミラーゼ遺伝子と体質の関係

ヒトのアミラーゼをコードする遺伝子のうち、唾液腺のアミラーゼをコードする遺伝子がAMY1 である。日本人の場合、AMY1 のコピー数は2~16個あたりまで広く分布しているが、4個の人や7個の人が比較的多い傾向が見られる。AMY1のコピー数が多い子どもは、早寝早起きであり、朝食をしっかりと食べる傾向が見られる。
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ショートスリーパーが特異的に持っている遺伝子型

真のショートスリーパーであることの指標として使えるのはADRB1-A187Vである。しかし、この変異を持つ人の割合は、およそ10万人に4人(2.5万人に1人)であり、自分が真のショートスリーパーである確率はゼロに近いため、無理をして睡眠不足にならないように注意したいところである。
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あなたの努力は子孫にしっかりと反映される

遺伝という現象は、DNAに書かれている情報と、その情報を読むのか否か、読むのならばどれぐらい読むのかというスイッチの機能があってこその現象である。スイッチの一つとしてレギュラトリーRNAがあり、それは親の後天的な活動によって発現量が変化する。
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がん細胞に見られる遺伝子変異は結果である

がん幹細胞の遺伝子は至って正常であり、生み出されたがん細胞は、置かれた悪環境にて生き延びるために意図的に遺伝子変異を誘発するようになる。ヒストンに巻き付いたクロマチンを開放すると、変異が起こりやすくなる。