「なんとなく調子が悪い」「すごく疲れている感じがする」「全身が怠い感じがする」「肩の凝りや頭痛がする」「風邪をひきやすい」などなど、それらの症状をもたらしている根本原因は、脳内のデフォルト・モード・ネットワーク(Default Mode Network;DMN)の疲労です。
これはやがて自律神経系の不調、内分泌系の不調、免疫系の不調をもたらし、ひいては発がんのリスクを高めることになります。「病は気から」の「気」に相当する部分です。例えば、がんのステージ4で余命何か月と言われた人が、それまでの人生から、何か「ワクワクして夢中になれる事」に集中できる人生へと転換し、その後何か月も経過してから試しに病院に行って検査を受けると、全身のがんが消えていた…、ということがしばしば起こります。その間に何が起こったのかといえば、ワクワクできる事に夢中になっていることでデフォルト・モード・ネットワーク(以降、「DMN」と略します)が、疲労からすっかりと解放されたのです。その結果、自律神経系、内分泌系、免疫系などが正常化され、組織液の循環不良が解消されて、がん幹細胞が通常の幹細胞に戻り、遺伝子変異などを伴ったがん細胞が免疫細胞によって自滅させられたのです。
そもそもDMNという脳内の回路は、内省的、自省的な思いを馳せているときに活発に働く回路であり、例えば、自分のことを色々と考えたり、他人との関係について色々と考えたり、職場や社会における自分の在り方を色々と考えたりする場合などに働く回路です。いわゆる、精神的ストレスの発生部位でもあります。うつ病と診断される場合は、このDMNが過労の域を更に超えていて、もはや、他の部位の回路との連携が上手くできていない状態だということになります。
逆に、DMNがほとんど働かない状態にある時というのは、何かワクワクできる事に夢中になっている時です。なぜなら、そのようなときには、自分の事や、他人との事など、すっかりと忘れて、今やっていることに夢中になっているからです。
あまりワクワクできないような事でも、夢中になれるのならそれでも結構です。難しそうな計算問題を解くのも良し、プラモデルやDIYに夢中になるのも良し、手の込んだ料理に挑戦するのも良し、スポーツをするのも良しです。できる限り、邪念(内省的思考、自省的思考)が入る余地を無くすために、課題のレベルは高いほうが望ましいです。因みに、好きな映画を観たり、好きなアーティストの動画を見るのも効果はあるでしょうが、これは受動的な精神活動になりますから、うっかりすると映画を見ながら、またあれこれと考え込んでしまう可能性がありますので、もっと課題のレベルを高めることが必要です。
休日に、ゆっくりしたはずなのに、ぜんぜん疲労が取れない…という場合の原因は、ゆっくりしているときにDMNがフル稼働していたからです。そんなことなら、仕事に集中していたほうが良かった…ということになます。
また別の機会に、瞑想に関するお話をするかもしれませんが、瞑想中は安静にしますので、うっかりすると内省的思考に走ってしまう危険性があります。一般的には、集中できる何らかの対象(よくあるのは、自分の呼吸に集中する、手の温度に集中する、など)をしっかりと設けて、DMNを活動させないように瞑想することが鉄則になります。
それでは、今日は、DMNという脳内回路の疲労が万病の元だということと、DMNを休めさせてあげることが極めて大切だということで、お話を終えておくことにします。