ドクダミは夏に繁茂する植物なのですが、出先に農産物を中心に扱っているお店があったので立ち寄ったところ、ドクダミ茶が複数種類並べられているのが目に入りました。それも、比較的立派な包装の袋や箱に入ったもので、「あぁ、こんなに丁寧に作られて売られているんだ…」と、ドクダミ茶に対するイメージが少し変わりました。
それまでの私にとって、ドクダミ茶と言えば、義理の祖母のお家に沢山あった手作りのお茶のイメージが強かったものですから、このような立派な商品に仕上げられていることに少々驚いたわけです。
また、ドクダミという植物は、自宅の東側の溝の周囲や、西側の温室の周囲に、夏になれば盛大な勢力にて繁茂する植物であって、これを刈り取ると特有の臭気が漂う、あまり好きにはなれない植物でした。
これを乾燥したものが生薬の「十薬(じゅうやく)」であることは知っていましたが、その効能としては、便秘の改善、肌荒れの改善、利尿作用、解毒作用、炎症の緩和、浴剤として汗疹や痔の改善、などのような、特にドクダミに頼らなくても他のもので充分得られおうな効能しか無いのだというイメージを持っていました。
そこで、改めてドクダミの成分を調べてみたところ、特有の臭気成分の他には、なんとケルセチンや、ケルセチンの配糖体が主要な成分だということが判り、「これは放っておけない貴重な植物だ」と思い直した次第です。
これまでにupした記事の中で、ケルセチンが登場するものが幾つかあります。例えば、『ケルセチンは非常に強力な抗がん作用を示す』とか、『長寿のハダカデバネズミも老化細胞を完璧に除去していた』では、話の中心がケルセチンになっていますし、その他の記事でもケルセチンが登場する機会が多くありました。
そこで、ケルセチンの効能効果の全てを、ここでまとめておくことにしました。なお、掲載した図(高画質PDFはこちら)では、右下方に箇条書きにて示しておきました。そして、その中身は次のようです。
ケルセチンの効能効果は、抗がん(がん細胞の細胞周期停止、がん細胞内のオートファジー誘導、アポトーシスの誘導、転移の抑制、血管新生の阻害、NK細胞の賦活)、抗循環器疾患(血管の保護、毛細血管や血管内皮の強化、血圧の正常化、動脈硬化の予防、心筋梗塞の予防、血管弛緩、腎機能の改善)、抗老化(老化細胞除去、AMPの活性化、NAD合成酵素の賦活、抗酸化、肌の保湿、弾力性向上、認知機能の維持)、その他(脂肪分解促進、抗肥満、抗炎症、抗ウイルス、肝障害の改善、水晶体の硬化防止、亜鉛トランスポーターの賦活など)、ということになります。
また、ドクダミ中の有効成分としてルチン(Rutin)も含まれているようですので、プラスアルファの効能効果が期待できそうです。なお、ルチンの効能効果につきましては、これも膨大なものになりますので、今回は割愛させていただきます。
では、万能成分とも言えるケルセチンを摂る方法の全般についてですが、差し迫った状況を改善するためには、それなりの用量を選ぶべきです。たとえば、がんに罹患したので直ぐに改善に向かわせたいという場合、迷うことなくサプリメントとして販売されているケルセチンを500mg/日という用量にて摂取することが望ましいと言えます。なお、その他の抗がん成分につきましても、「優れた抗がん作用を示す植物成分・食材・サプリメント」の表に掲げたものを、精力的に摂取していただければと思います。
一方、そこまでの緊急性は無く、平素における抗老化対策や、疾患予防対策としてケルセチンを摂取するのであれば、タマネギやタマネギの皮茶、緑茶、そして今日の記事のドクダミ茶を摂取していただければ、目医的は達成できると思われます。
他にも、ケルセチンは多くの野菜や果物にもそれなりに含まれていますので、植物を多く食べることを心掛けることも有効であると言えます。
ドクダミの話に戻しますが、例の臭気成分について少し触れておくことにします。これにつきましては、掲載した図の左側に要点を箇条書きにしておいたのですが、この臭気成分は、いわゆる精油成分であって、具体的にはデカノイルアセトアルデヒドや、ラウリルアルデヒドなどです。そして、これらには抗菌活性があり、ブドウ球菌などの細菌以外にも、白癬菌にも有効だとされています。従いまして、ドクダミの生葉を摘んで、すり潰すなどして患部に適用すれば、抗菌活性を得ることができます。
一方、ドクダミは食用にも使うことができるのですが、勿論、この精油成分(臭気成分)を含んだ状態のものを食べることは非常に難しいわけです。従いまして、加熱したり乾燥させたりすることによって、精油成分が揮発したり酸化したりして失われてしまいますので、そのような処理をした後には食べることが可能になります。
例えば、葉は天ぷらにしたり、よく茹でれば酢の物や、おひたしなど、様々な料理に利用できます。
また、地下茎は一年中採れますので、それを味噌漬けにしたり、炊き込みご飯にしたり、茹でれば様々な料理にも利用できるようになります。
そして、ドクダミ茶の場合ですが、干して乾燥させれば精油成分が無くなりますので、臭気の無いお茶を得ることができます。目的とも言えるケルセチンは、熱にも光にも安定ですので、天日干しをすれば早めに使えるようになります。私としましては、タマネギの皮茶の場合も、緑茶の場合もそうなのですが、粉にして全部飲み込んでしまえば繊維質の摂取にもなりますし、含有成分の全量を摂取することになりますから、そのほうが効率が良いと思っています。
お茶にする場合の収穫時期ですが、5月~7月が適期であると言われています。その頃に地上部を刈り取って干し、乾燥させれば出来上がることになります。
では、今年の初夏には、ぜひドクダミ茶を作ってみましょう!! それまでは、市販のドクダミ茶を購入して利用することも有りですね。