前回にupしました記事『異星人が居る可能性のある惑星の数を推計してみた』におきまして、現在活動中である知的生命体が居る可能性のある惑星の数は、一般的なレベルで考えた場合、(観測可能な)宇宙全体で約1億個(約10の8乗個)も存在するという結果になりました。1億個という数は、相当多いという感じを受けます。しかし、宇宙は、とてつもなく広いです。観測可能な範囲であっても、端から端まで、光の速度で移動しても約930億年もかかるというわけです。もうそれは、非常に想像し難い広さではないでしょうか…。もちろん、光の速度よりも速く遠ざかっている超銀河が、その外側にも広がっているわけです。
なお、前回の記事には書きませんでしたが、地球外生命体の話を持ち出している理由は次のようです。ヒトの体の仕組みや地球上の生物の仕組みを根本的に理解するためには、条件の異なった環境中において生命があり得るのか、また、他の惑星ではどのような分子が生命の形成に関わり得るのか…、などということを知っておくに越したことはないからです。このことは、医学が人間しか見ていないために、おおよそ的外れな対策を打ってしまう場合のあることと同じです。そのものばかりを見ていたのでは、そのもののことが分らなくなってしまうのです。私は、天文学をやっているわけではありません。あくまで、生物学や基礎医学に関わる各現象の見方や、解釈の仕方や、位置づけを正すために、宇宙レベルの視点で見直してみる習慣を付けようとしているに過ぎません。例えば、地球では遺伝という仕組みにDNAやRNAを用いていることが大前提になっていますが、他の星では異なったものが遺伝に用いられている可能性があります。そして、地球の生物も、実際にはそのような形式の遺伝の方法をも用いている可能性を捨て切ることはできません。その他、諸々のことも同様です。
話を戻しますが、活動中の知的生命体が居る可能性のある惑星の数が、(観測可能な)宇宙全体で約1億個も存在するということなのですが、宇宙はかなり広いです。そして、私たちが所属している天の川銀河(昔で言う「銀河系」)のような銀河の数は、その数を遥かに凌ぎます。その数はなんと、約2兆(2×10の12乗)にも上るということです。
なお、これらの数字をまとめた表を、今回の添付画像(高画質PDFはこちら)にも再掲載しましたので、必要に応じてご確認ください。
…ということは、異星人が活動中である可能性のある惑星の数が1億個もあったとしても、銀河の数のほうが遥かに多いわけですから、どれぐらい多いのかを確認しておくことにしましょう。暗算の速い方なら、もう答えを出しているかも知れませんが…。
図の左下に計算結果を書いておきました。なお、コンピューター上で「○○の何乗」(べき乗)を表すときには「^」の記号を用います。何故なら、「右肩に小さな数字を書く」という方法が使い難いからです。また、ブログのような文章を書く場合も、「右肩に小さな数字」というのは面倒くさいので、「^」の文字で代用します。
話を戻しますが、異星人が活動中である可能性のある惑星の数が1億個だということに対して、銀河の数が2兆ですから、特定の銀河がそのような惑星を持つ確率は〝0.005%〟ということになります。即ち、〝2万分の1〟の確率です。
このことから、ヒトという知的生物を宿している地球という惑星を持っている天の川銀河は、2万に1つという、稀有な銀河だということになります。もっと易しく言うならば、地球のような好環境の惑星は、2万もの銀河を渡り歩いて、ようやく1つの銀河で見つかる程度の希少な存在だ、ということになります。もちろん、この天の川銀河の中に2つ目の地球のような惑星が存在する確率は、限りなくゼロに近いと言えます。
従いまして、この貴重な地球の環境を破壊するような行為は、絶対にしないで欲しいと思います。人類の活動によって、数十年という極めて短い期間にも、地球の環境は大きく変化してきています。46億年という歴史を持つ地球が、数十年ぐらいの短期間で変化することは、あってはならないことです。環境破壊を平気で行う人間は、地球の希少性に全く気付いていないのです。
では、地球のような環境を得た惑星が在った場合、そこには必ずヒトのような知的生命体が誕生することになるのでしょうか…? その答えによっては、戦争などによって他人の命を奪うことの罪深さが浮き彫りになることでしょう。
先ず、生命の発生から、高度な技術や文明を持つ知的生命体が誕生するまでを、重大なイベントごとに次のように6段階に分けました。即ち、原始的な生命の発生、細胞内に核を持った真核生物への進化、多細胞生物への進化、大脳皮質のような高度な神経系の獲得、社会を作ったり道具を作ったりする段階への進化、現代のような高度な技術や文明を持つようになる段階への進化、の6段階です。そして、それぞれの段階に進む確率を、膨大な研究報告を参照することによって、楽観的に見た場合と、厳し目に見た場合とで、AIに算出してもらいました。因みに、生身の人間が図書館に行って出来るだけ多くの文献を参照し、情報をまとめ、手作業にて計算していたのでは、一生かかっても算出し切れないことでしょう。
結果としましては、楽観的に見た場合であっても、地球のような好環境の惑星が在ったとしても、そこに現代人のような知的生命体へと進化する確率は、なんと、0.00001%という結果になりました。この結果につきましては、AIのほうも、地球の歴史おいて、巨大隕石が激突したり、全球凍結の時期が何度もあったり、発生した生物によって大気の組成が変えられてきたり、などというイベントは全て計算に入れているということでした。また、地球環境の安定化は、発生した生物の存続にとって有利であるが、環境の激変があったからこそ、それが進化の原動力になった、ということも計算に入れているということでした。
要するに、地球環境に、許容範囲ぎりぎりの激変があったからこそ、その激変を乗り越えるたびに一段階ずつ進化していった…、ということになります。逆に言えば、最初から今の地球環境のままで安定していたのでは、今の人類は無かった可能性が高いということになります。0.00001%という限りなくゼロに近い確率は、上記のような激変が必要であったことを物語っています。
上記は楽観的に見た場合の確率ですが、厳しく見ていった場合、地球にて人類のような知的生命体が現れる確率は、なんと10^-17、即ち0.000000000000001%ということになりました。これだと、人類の誕生は、まさしく「奇跡だ」ということになるでしょう。戦争などをして、ヒトの命を奪ってはなりません。
