異星人が居る可能性のある惑星の数を推計してみた

異星人が居る可能性のある惑星の数を推計してみた

 夜空を見上げていると「何かドキドキするようなイベントは起こらないかなぁ…」などと考えてしまうことがあるでしょう。そして、何らかの不思議な光を見つけたならば「もしかしてUFO!?」などと期待してしまう人も多いことでしょう。しかし、殆どの場合は地球人の仕業であったり、或いは自然現象であったりして、少々残念な気持ちになるものです。異星人って、居ないのでしょうか…。

 「出会ったことがある!!」という人や、「捕まえた!!」または逆に、「捕まえられた(><)」という人の場合は、既に確信を得ていることでしょうが、そうでない人の場合は、確率論で結論を導き出していくしか方法はありません。出来る限り正確な答えを出すために、根本的なところから押さえていくことにしましょう。  異星人と呼べるような知的生命体が生まれ、彼らが住むことができる環境を持った星というのは、やはり惑星だということになります。恒星は超高温のガス体ですから、とても住める星ではありません。住めるような惑星の数を調べるには、宇宙全体に惑星が何個ほどあるのかを知る必要がありますので、先ずは宇宙全体を概観してみることにしましょう。  宇宙の広さは、かなり広いです。添付しました図(高画質PDFはこちら)の左端に引用しました図は、宇宙を表した図です。宇宙はどこまで広がっているのか、宇宙の〝果て〟のようなものは存在するのかが気になるところですが、実際のところ、人類が観測できる範囲には限界があって、それよりも遠くの部分は光速よりも速く遠ざかっているため、観測できないことになっています。
 観測できない遠方にも延々と宇宙が広がっていて、そこにも星が在るとなると、上限が無いのと同じことになります。或いは、宇宙空間は無限であるが、星が分布しているのは観測限界の少し先程度なのかも知れません。そしてその先は…というと、何もない空間のみが延々と続いている世界なのかも知れません。この答えは、神の他には誰も解りません。

 推計を進めるためにも、計算範囲を限定しなければなりませんので、観測可能な宇宙の範囲である直径が約930億光年の球体の内部に存在している惑星を対象にすることにします。まぁ、さりげなく930億光年と書きましたが、光の速度で旅をして端から端まで930億年も掛かるということですから、観測可能な範囲だけでも、めっちゃ広いです!
 因みに、宇宙全体を表した図は、網目のような構造になっています。そして、それは微細な〝点〟によって描かれているのですが、その〝点〟が〝超銀河団〟という、星々の集合体に相当します。
「超銀河団… そのような語、学校では習いませんでした。何なのですか?それ…」

 では、順を追って紹介していきます。例えば、私たちが住んでいる地球は、太陽系に属していて、太陽系は天の川銀河に属しています。ここまでは学校で習うと思いますが、天の川銀河から比較的近い距離に、大小50~60個の銀河が集まるようにして存在しています。従いまして、この集まりには〝局所銀河群(きょくしょぎんがぐん;Local Group)〟という名前が付けられていて、私たちはその一角に居ることになります。
 一般的に、銀河は宇宙に万遍無く点在しているのではなくて、所々に島を作るように集まって存在しています。そして、集まっている銀河の数が50個前後のものは〝銀河群(ぎんがぐん;Galaxy group)〟と呼ばれ、数百~1万個程度と多いものは〝銀河団(ぎんがだん;galaxy cluster)〟と呼ばれています。
 一例として、添付しました図の右上に、比較的近くにあって有名な〝おとめ座銀河団〟の図を引用させていただきました。これは銀河団ですから、私たちが居る銀河群よりも、集まっている銀河の数が多く、約2,500個であると見積もられています。また、直径は約1,200万光年です。

 次に、質問のあった〝超銀河団〟の件ですが、「銀河団」の前に「超」が付いています。これは、銀河群または銀河団の集合体を指しています。即ち、銀河群や銀河団も、宇宙全体に万遍無く点在しているのではなくて、集団を作って存在しているのです。そして、この集団が〝超銀河団(ちょうぎんがだん;supercluster)〟と呼ばれるものなのです。宇宙の構造的に、更に一段上の階層だということになります。
 因みに、私たちが所属している超銀河団は、〝おとめ座超銀河団(Virgo Supercluster;ヴァーゴ・スーパー・クラスター)〟です。なお、上記の「おとめ座銀河団」とは別物ですので、「おとめ座」の単語に気を奪われないようにお願いします。
「私たちは、おとめ座超銀河団の一員!! 初めて聞きましたが、なんかロマンチックです」

 話を戻しますと、左端の図に描かれている微細な点は、(観測可能な)宇宙に広がっている超銀河団の1個ずつを表している、ということです。宇宙全体では、まるでニューロンがネットワークを作っているような光景ですが、このような模様になってしまう理由はかなり複雑ですので割愛します(^^; 
 なお、図において超銀河団を表す点が、人間が目で見て確認できるように大きな白い点で描かれているのですが、実際にはこれほど大きくはありません。従いまして、宇宙はスカスカの状態です。こんなに白く、くっきりと模様が見えるわけではありません。

 今度は、宇宙全体のスケールから細かな部分へと見直していくことにします。左端の宇宙全体の図は、観測者から半径465億光年の球体が描かれているわけですので、この中心部分に私たちが居て、それは、おとめ座超銀河団だということになります。
 そして、おとめ座超銀河団だけを拡大したイメージ図が、添付しました図の中央上段の「私たちが住む、おとめ座超銀河団の想像図」です。自分たちがその内部に居るわけですから、離れて外から見るわけにはいきませんので、どうしても想像図になってしまいます。端から端までの距離、即ち直径は約2億光年です。この図の点の一つ一つは銀河団または銀河群を表していて、その数はおよそ100個だとされています。
 では、このような超銀河団は、最初に見た宇宙全体の図では何個存在しているのか…ということについてですが、その数は、約1千万(約10の7乗)であると見積もられています。なお、この数字が、惑星数を推計する際の元データの一つになります。何故なら、遠くにある惑星や恒星を直接観測してカウントすることは不可能に近いですので、器の数から推計するという方法を採ることになります。

 更に詳細を見ていきます。おとめ座超銀河団の中に、私たちが居る局所銀河群が存在しているのですが、その位置は珍しく、ほぼ中央付近であることが確認されています。そして、そこから比較的近い距離のところに、上述しました、おとめ座銀河団が存在しています。隣に在るからこそ、地球から望遠鏡にて見ることが可能だということです。
 先に、超銀河団の宇宙における数を示したのですが、一つの超銀河団に存在する銀河団や銀河群の数を求めておくことも必要になります。何故なら、1つの超銀河団に所属する銀河団や銀河群の数の平均値を求めておき、それに超銀河団の数を乗じれば(掛け算すれば)、宇宙全体における銀河団や銀河群の総数を求めることが可能になるからです。結論を急ぎますが、銀河団や銀河群の全宇宙における総数は、数億(数×10の8乗)程度だと見積もられています。

 同様の方法で小さなレベルに向かって値を求めていくと、添付した図の中央下段に挙げたような表が完成します。すべて、全宇宙における数を示しているのですが、今日のお話で重要なのは惑星の数です。そして、観測可能な宇宙に限定すると、10の23乗個~10の24乗個の惑星が存在することになります。強いて漢数字で表すと、十垓(じゅうがい)~一秭(いっし)となるわけですが、日常生活では出てきそうに無い大きな数字になります。

 ここまでで、文字数もかなり多くなってきましたが、あと少し頑張りましょう。この莫大な数の惑星のうち、数々の条件をクリアできた惑星のみが、異星人と呼ばれるような知的生命体を育む惑星になり得ます。今回の計算に用いた条件とは、次のようなものです。生命の成立に適した惑星である割合(ハビタブルゾーン(Habitable zone)としての適合率)、適した惑星で実際に生命が誕生する確率、生命が知性を持つように進化する確率、知性が地球並みの文明に達する確率、そのような高度文明が継続する年数、などを掛け算していくことになります。
 また、各条件の重みづけは、より楽観的に考えた場合と、より慎重に(厳しく)考えた場合では異なりますので、3段階に分けて計算しました。また、最終的に出す結果は次の3種類とし、①原始生命体が居る可能性のある惑星数、②これまでに人類以上の知的生命体が居た可能性のある惑星数、③現在活動中である知的生命体が居る可能性のある惑星数、としました。
 さぁ、計算です。こんな面倒くさそうな計算は、当然のことながらコンピューターにやってもらいます。そして、出てきた答えを図の右下に表として掲載しました。

 多くの人が、最も興味があるであろう異星人が居た可能性のある惑星の数は、普通のレベルで考えると(表中の「中庸」)、約10の15乗個(千兆個)も在ったという結果になりました。また、より慎重に(厳しく)判断した場合でも、約10の6乗個(百万個)も在ったという結果になりました。
「それって、今会えるということではないんですよね?」
 はい、少なくとも138億年という宇宙の歴史の、いつかの時点で存在していたということです。

 そこで、「現在活動中である知的生命体が居る可能性のある惑星数」の結果を見てみましょう。普通のレベルで考えた場合、約10の8乗個(1億個)も在るという結果になりました。そして、より慎重に(厳しく)判断した場合、ゼロ~数個という結果になりました。
「う~ん、妥当な結果だと思います。仮に、異星人が住んでいる惑星が全宇宙に数個在ったとしても、その異星人が地球まで遊びに来られる可能性はかなり低そうですし…」
 そうですね、地球人の場合は、宇宙のスケールでは極至近距離に在る火星でさえ、満足に行けないレベルですから…。

 「そうなると、普通のレベルで考えて、異星人が今も活動している惑星が全宇宙に1億個在ったとしても、光速以上の速度で移動できる手段を見出せなかった場合は、その異星人と会うことは無さそうですね、残念ですけど…。」
 人類には想像もできなかった方法で、何十億光年という距離ぐらいなら、すぐに移動できる技術を持った異星人がいるかも知れないですよ(^^)

 
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執筆者
清水隆文

( stnv基礎医学研究室,当サイトの keymaster )
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