「正月太り」という語がありますように、多くの人が、正月の期間に体重を増やしてしまうようです。その原因は、食事の総時間数や食べる量が増えるにも拘らず、運動量が減るからです。即ち、摂取カロリーが増えるにも拘わらず、消費カロリーが減るからです。
今年(2026年)は1月4日が日曜日ですから、1日から4日までの4日間ということで、その間における平均的な各数値の変動をシミュレーションしてみましたので、その結果をお知らせします。
この結果を知ることは、増えた体重に対して、その後にどのように対応するのが良いのかを知ることになります。もし、増えた分が何であるのかを取り違えると、好ましくない対応をして健康を害する元になりますので、注意しておかなくてはなりません。
因みに、Web上で「正月太り」というキーワードにて検索すると、非常に沢山の記事がヒットしてきます。それらの中身を読むと、どこかでコピペしてきたようなものや、AIがごく簡単に答えてくれた内容をそのまま掲載したようなものが殆どで、きわめて多くのライターさんが同じような記事を求められて書くような時代になったことを痛感します。
そこで思うことは、「既に存在している内容のものは、もう書かなくていいんじゃない?」ということであり、それに加えて「知りたいことが単純なことなのであれば、AIが殆ど答えてくれる時代になりましたから…」ということです。
それらの記事を読むと、正月太りを解消するための幾つかの方法が併せて書かれています。そして、実際にそれを実行して良い結果になるのなら、私が敢えて書く必要はありません。しかし、やはり放っておけないことがありましたので、私なりに「正月太り」にメスを入れようと思った次第です。
私もAIを活用していますが、最初に貰った回答に対して疑問点を問い質(ただ)していくと、その回答内容がどんどんと変化していくことが解ります。何故なら、問い質すことによって、それに答えるために、より深い学術的な記事を読みに行って、それを新しい知識として塗り替えます。更には、どこどこの論文を読んで論点を整理してと頼めば、その論文にかかれていた内容を、新しい知識として塗り替えます。その後に、最初の質問をもう一度してみると、回答の内容が変化していることが判ります。そのようにして、私とAIの共同作品になったのが、次のシミュレーション結果です。
シミュレーションの前提としまして、正月の4日間で体重が3kg増えたと仮定します。なお、一般的な調査では、約9割の人が正月明けには体重が1kg~3kg増えたと答えているそうです。
シミュレーションの結果は、添付しました図(高画質PDFはこちら)の左下の図と、その右側の棒グラフで示しています。1画面でこのブログを読んでいただいている方は、後で見ていただければ結構です。
では、体重が3kg増えた場合、その内訳として、何がどれぐらい増えることになるのかを見ていくことにしましょう。もちろん、個人差がありますので、この数値は男女合わせた平均値(代表値)になっています。
① 体脂肪(+0.30kg =300g)
体重が3kgも増えのに、体脂肪量は300gしか増えていない、ということです。例えば、体脂肪を1kg増やすには約7200kcalの余剰が必要だとされていますが、正月の食生活を4日間続けたとしても、そこまでの過剰摂取はほぼ不可能です。仮に、毎日の摂取カロリーが1000kcalオーバーであったとしても、増える体脂肪は300g前後にとどまるということです。
また、その300gが付くのは、最も多いのは皮下脂肪であり、次に内臓脂肪、次に肝臓内脂肪という順になります。
従いまして、300g分の体脂肪増加なのに、増えた体重の殆どが体脂肪増加によるものだと誤解した場合、当然のことながら過度の対策を行いかねませんので、健康にとって害となる可能性が出てきます。例えば、3kg分の脂肪を消費するためのメニューを組んでしまうと、過剰な持久性運動を行ったり、食事量を減らすことによって、筋肉まで痩せさせてしまう可能性が出てくるわけです。
結局、以前から太っている人や太り気味の人は、適正体重および適正体形になるように対策を続けなければなりませんが、普通体形または痩せ気味の人は、正月に3kg太ったからと言って特に変わったことをする必要は無いということです。1年に一度しかない正月なのですから、遠慮せずに食べれば良いでしょう。
② 筋肉(+0.00kg =0g)
筋肉量は、どちらかといえば増えて欲しいものですが、残念ながら、4日間程度ではほとんど変化がありません。むしろ、多くの人では正月中には運動量が減り、座っている時間が増えますので、筋肉が増えるどころか、減ってしまう可能性の方が高いと言えます。
③ グリコーゲン(+0.18kg =180g)
グリコーゲンは、ブドウ糖の分子を繋げて高分子にしたもので、どちらかといえば非常用燃料として肝臓や筋肉に蓄えられているものです。なお、貯蔵できるグリコーゲンの最大量は、平均的には肝臓に約100g、全身の筋肉に約350gで、普段はその最大量の60〜80%程度しか満たされていません。
そして、正月に餅などの炭水化物の摂取が増え、それに反して活動量が減ると、自然と“グリコーゲンローディング”が起こり、通常より150〜200gほど多く蓄えられることになります。
もちろん、グリコーゲンは身体にとって正常な貯蔵エネルギー源であり、運動すればすぐに消費されますので、この分の体重増加はむしろ好ましいと言えるものです。
④ グリコーゲンの結合水(+0.54kg =540g)
1gのグリコーゲンは、約3gの結合水を必要としますので、180gのグリコーゲンが増加分だとすると、その3倍の540gの水が、グリコーゲンと共に肝臓や筋肉に加わることになります。もちろんこれは必要な水ですので、この分の体重増加は大切なものだということになります。
⑤ 体液(むくみ)(+1.20kg =1,200g)
正月太りの中で、最も増加量が大きく、健康面でも注意すべきであるのが、体液の増加です。3kgのうちの1.2kgですから、結構大きなウェイトを占めています。もともと〝むくみ〟気味の人は、後に述べる対策をしなければなりませんが、もともと健康である人は、多いものが〝水〟なのですから、これは正月が明けて平常の生活に戻れば、すぐに排泄されて元通りになりますから、心配する必要は殆ど無いと言えます。
なお、正月に起こりやすい体液増加の原因は、カリウムに対してナトリウムが多い食材が多いことや、アルコールを摂取する機会が多いことや、長時間座っていることが多いなどのことが原因となって、血管内外の水分バランスを崩しやすく、間質液(細胞間液)に水が滞留する現象です。これが起こると、短期間であっても、体のだるさ、倦怠感、頭痛、心臓・腎臓への負担、血圧上昇、などを引き起こすことがあります。
この場合の対策として最も効果が大きいのは、①塩分を減らす、②カリウムを増やす、③軽い運動で静脈還流を改善する、の3つです。特にカリウム(みかん・バナナ・野菜)は即効性が高く、ナトリウム排泄を強力に促します。なお、むくみの解消に必要な時間は、条件が整えば最短で12〜24時間ぐらいですので、日頃は健康であるという人は、あまり心配しなくても結構だということになります。
⑥ 消化管内容物(+0.60kg =600g)
正月は食事量が増え、食べる回数も増えるため、胃や腸に滞留する食べ物の量が普段より多くなります。特に、餅や、おせちのような消化に時間がかかる食品は、胃腸内に長く留まりやすく、体重を数百グラム押し上げることになります。また、人によっては便秘気味になりやすい時期でもあるため、腸内内容物が増えることも体重増加に寄与します。
なお、これも食事量が戻れば自然に減少しますので、ほぼ無害な現象だということができます。
⑦ その他(+0.18kg =180g)
「その他」には、血漿量の微増、便秘、体温変化による水分調整、測定誤差など、細かい要因が含まれます。これらは個人差が大きく、単独では体重に大きな影響を与えませんが、複数が重なると100〜200g程度の変動を生むことがあります。正月の生活リズムの乱れによって一時的に生じるものですので、健康上の問題はほぼ無いと言えます。
以上を総括しますと、正月の4日間で体重が3kg増えたとしても、最大の原因は体液の増加分が1.2kgであり、それは食生活を平常時に戻せば12~24時間程度で元に戻るわけであり、残りの体重増加分は1.8kgになります。また、消化管内容物による体重増加が600gですが、これも食生活が戻ればすぐに戻ることになり、体重増加分は1.2kgだけだということになります。また、グリコーゲンの結合水とグリコーゲンの増加分は合わせて720gですが、平常時の生活に戻れば速やかに消費されますので、これで体重増加分は480gだけだということになります。また、血漿量の微増や便秘などによる180gの増加分は、食生活が平常時の状態に戻れば速やかに戻りますので、これで体重増加分は300gだけだということになります。この300gのうち、多くは皮下脂肪ですので、太った人でない限りは平常時の生活に戻れば、1週間もすれば解消されることでしょう。
最終結論としましては、正月明けの体重3kg増加など、特に気にする必要は無いということです。それよりも、問題になるのは、慢性的な体脂肪率の過剰や過少、慢性的な栄養素の不足です。7大栄養素(タンパク質、脂質、糖質、ミネラル、ビタミン、食物繊維、ファイトケミカル)を、それぞれ適量摂り、一定の運動量を維持し、快活な精神状態を維持することが、健康維持にとって重要です。
