シイタケエキスがカルバミル化を減少させる

シイタケエキスがカルバミル化を減少させる

 今日は前回の記事の続きで、カルバミル化をもっと積極的に改善させる方法についてです。因みに前回は『様々な部位で老化を促進するカルバミル化の原因』について見てみました。そこでは〝カルバミル化〟の基本的なことについて述べていますので、まだお読みでない方は、先にそちらを読んでいただければ有難いです。

 さて、タイトルに書きましたとおり、シイタケ(椎茸;Lentinula edodes)のエキスがカルバミル化を減少させるということが、臨床的な試験によって確認されています。要するに、シイタケエキスを肌に塗れば、弛み(たるみ)や皺(しわ)が改善されるということです。言い換えれば、肌が若返るということです。

 では、データを見て頂くことにしましょう。掲載した図(高画質PDFはこちら)の左上のグラフは、In vitro(試験管内)での実験結果です。先ずは、Ⅰ型コラーゲンを用意し、それに0.1Mシアン酸カリウムを作用させてカルバミル化します。次に、コントロール(比較対照)として、〝未処理のまま〟にしたものと、〝2%椎茸複合体(シイタケエキスを2%含む溶液)〟で処理したものについて、カルバミル化の減少度が比較されました。その結果、Ⅰ型コラーゲンのカルバミル化のレベルが、コントロールに較べて75.9%減少した、というものです。要するに、一度カルバミル化したⅠ型コラーゲンのうち、75.9%が脱カルバミル化して元に戻ったということです。これは凄いことだと言ってよいでしょう。

 次に、図の中央の電子顕微鏡写真を見て頂きましょう。これは、Ex vivo(生体外)での実験結果です。コラーゲンが主になっている組織を生体から取ってきて、先ずはそれをカルバミル化します。すると、真ん中の写真のように、コラーゲンの束が乱れて変な形に凝集し、隙間だらけになります。これは、前回の記事に書きましたように、コラーゲンを束ねて高次構造を作る役割を果たしているエラスチンのカルバミル化も大きく影響していると考えられます。
 一方、2%椎茸複合体で処理すると、コラーゲンは平行でまっすぐな束を形成するようになり、カルバミル化が解消されたことを意味しています。これによって、弾力性とボリュームのあるコラーゲン含有組織が復元されることになります。

 今度は実際に、19人のボランティア(41〜56歳)を対象にして、2%椎茸複合体を56日間、肌に塗り続けるという試験が行われました。そして、唇、顎のライン、顎の下、首、胸元などの様々な部位について皮膚の弛みを評価するために、キュートメーター(Cutometer)を用いて最大変形(R0)という指標にて計測されました。グラフの縦軸には、R0の減少率(%)が採られています。
 その結果、2%椎茸複合体を塗ったどの部位においても〝最大変形〟が減少した、即ち変形し難くなった、即ち〝弛みが減った〟ことが、有意差を持って確認されました。

 図の右下の写真は、2%椎茸複合体を塗り始める前(0日目)と、塗り始めてから56日目における首の部分が撮影されたものです。見るからに、弛みや皺が少なくなり、張りや滑らかさが向上したことが判ります。これは、すごく嬉しい変化だと言えます。

 「2%椎茸複合体」というのは「2% Shiitake complex」を直訳したもので、2%シイタケエキスを含む水溶液だと捉えて結構です。一般的に、2%などという数値は、乾燥させたエキス(抽出物)が重量的に全体の2%含まれていることを指します。
 実験室において何らかのエキスを作る場合は、乾燥させた植物やキノコを溶媒で抽出し、後に溶媒を蒸発させて残ったものをエキスと呼びます。シイタケの場合も、乾燥させた方が抽出効率が高まりますので、干しシイタケを使うのが良いでしょう。
 次に抽出のための溶媒ですが、一般的には脂溶性の高い溶媒から始め、最終的に水(熱水)で抽出すると、より多くの成分を抽出することができます。一般家庭の場合、消毒用プロパノールが最も脂溶性が高くなりますが、消毒用エタノールでも結構でしょう。一晩以上浸しておけば、比較的脂溶性の高い成分が溶け出してきます。
 次に、適度にろ過して、液とシイタケに分けます。液の方は後で使うわけですが、シイタケの方にはまだ溶け出していない成分がありますので、今度はそれに水を加えて加熱し、残りの成分を抽出します。数十分ほど加熱すれば大丈夫でしょう。
 加熱後にろ過し、液とシイタケに分け、液の方を使うことになります。なお、シイタケの方は出がらしのようになっていますが、これは勿体無いですから何らかの料理に使いましょう。
 エタノール抽出エキスと水抽出エキスのどちらにどれだけの有効成分が入っているか分かりませんので、両方を使うのが良いと思われます。このエキスを何らかの化粧水に混ぜて使おうとする場合は、エタノールや水を、ある程度蒸発させなければ非常に薄いものを使うことになってしまいます。従いまして、適度に煮詰めてドロッとする程度まで濃縮すれば、それを全体の1~4%程度になるように化粧水に混ぜれば、市販品と同様のものが出来ることになります。
 さぁ、明日からでも、これを使って弛みや皺を取り去りましょう!!

 
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