「パワースポット」という言葉の由来はさておき、そのスポットが大きな神社であることが多いですので、そのスポットと大きな神社の関係について探ってみたいと思います。
まず、掲載した図(高画質PDFはこちら)の真ん中付近を見て頂きたいと思います。日本列島の地図上に幾つかの色で印が打たれていますが、これは一宮(いちのみや)、即ち、ある地域の中で最も社格の高いとされる神社の、存在位置が示されています。なお、印の色は地域別または系列別に色分けされているだけですので、色の違いを気にせずに見て頂きたいと思います。なお、北海道や東北の一地域のものは白色で示されていて目立ちにくいですが、しっかりとそこに存在していますのでご確認ください。
次に、右側の日本列島の地図に目を移して頂きたいと思います。赤色の帯が幾つも示されていますが、これは主要な活断層を示しています。断層の特徴に応じて色の濃さや太さが変えられて表示されていますが、とりあえず場所だけを確認して頂きたいと思います。
次に、左右の地図を見比べて頂きたいと思います。すると、一宮が存在している場所の多くは活断層が走っている地域であることに気付かれることと思います。
一宮は、歴史的にも古くから(12世紀以前から)存在している神社で、古代の人たちが必要性を感じて建立したものと考えられます。そして、活断層の上に建てられていることが多いという事実は、活断層の存在が、古代の人たちに神社を造らせたのだと考えられます。では、活断層の何が神社の建立を推し進めたのでしょうか…。
掲載した図の左上に、地震に伴う各種の物理現象、即ち、活断層の活動に伴う各種の物理現象が示されています。それは、活断層の部分から発せられるもので、地電流や、その変化(高周波地電流変動)、電磁波、地面の揺れ、それに伴う低周波音などです。
地電流や電磁波が発生する原因は、圧電効果(ピエゾ効果)と呼ばれる現象によるものです。これは地面が圧迫されることによって生じるものですので、耐えきれなくなって断層の部分が動く前、即ち、地震が起こる前から発生します。現代人にとっては非常に微弱なものですが、例えばナマズをはじめとした多くの動物は、それを感じ取ることができます。そして、地震が起こる何日も前から異常を察知し、逃避行動を開始します。
古代の人たちは、現代人のようにクルマが通ると揺れたり、様々な電波が飛び交っていたリすることはありませんでしたから、種々の異変をナマズのように鋭敏に感じ取っていたのだと思われます。もちろん、地震が起こってしまえば誰もが気づくことになります。
では、地震や、活断層の活動によって生じる種々の現象を、古代の人たちはどのように思っていたのでしょうか…。地震や断層に関する物理学的な知識は無かったはずです。そのため、地中に魔物とか、大きな龍(竜)が棲んでいて、それが暴れるのが原因であると思っていたに違いありません。
では、どうすれば魔物や龍を鎮められるのか…。それは、神にお願いするしか他に方法はありませんでした。そして、その場所に大きな社を建て、皆が集まって日々お祈りを捧げることにしたのだと思われます。また、実際に地震が起こった時には、神社内にいた人のほうが助かる確率が高かったことでしょう。
以上のように、「パワースポット」とは、地中に魔物や龍が済む地点です。現代風に言えば、地中のエネルギーが多く発散される活断層の部分です。そして、そこに建てられている神社には、今では大木が立ち並んでいます。今で言うパワースポットの効果は、この大木群によるものが大きいと考えられます。
境内に何本も立ち並んでいる大木が、乱れた地電流や電磁波を吸収したり整流したりしてくれています。また、大木とその根が地面を重くしたり補強したりしてくれています。合わせて大木からは多量のフィトンチッドが発散されています。
その結果として、大木が並んだ境内は鎮まり返った空間であることを感じ、精神的にも非常に清々しい気分になるのだと考えられます。言い換えらならば、パワースポットというのはパワーが得られる地点というよりも、地中からの乱れたパワーによる心身の乱れが解消され、心身が研ぎ澄まされる地点だということが出来ます。