老化抑制のために食後にはエクササイズスナックを!

老化抑制のために食後にはエクササイズスナックを!

 タイトルに入れました「スナック」という語はオランダ語の「スナッケン(snacken)」を語源とするそうで、英語の「snack」は元々は「一口」「少量」「簡単な食事を摂る」という意味だそうです。そして今では主に 「軽食、お菓子、おつまみ」、または「軽食を出す飲食店」の2種類の意味で使われています。
 また、「エクササイズスナック(Exercise Snacks)」というのは近年において人気が高まってきている運動方法で、この場合の「スナック」は前者の意味になります。そして、「エクササイズスナック」の意味は、エクササイズ(運動)を、まとまった時間を設けて行うのではなく、日常生活の合間に行う「合間運動」「細切れ運動」「ちょこっと運動」という感じの運動になります。言い換えるならば、「スナックを食べるような感覚で行う運動」だということです。

 では、そのような感じで行う運動が、特にどのようなことに有効なのでしょうか…。先に結論を書きますが、それはタイトルに示しましたように、食後に行った場合に〝老化抑制(抗老化;アンチエイジング)〟に有効だということです。
 因みに、他に有効性は無いのかと問われれば、もちろん筋力を使うわけですから筋力アップになるわけですし、心肺機能の維持にもなるでしょうし、全体的な運動機能の維持にもなるでしょう。ただ、そのような目的であるのなら、その目的に合わせたトレーニング法があるわけですから、エクササイズスナックの有効性は、特に老化の抑制だということになるわけです。

 運動を〝食後に行う〟ことにつきましては、次のように言えます。昔は、食事をした後にすぐに運動することは、消化の邪魔になる可能性があるとして、あまり勧められませんでした。しかし、近年におきましては、よほど激しい運動をしない限りは消化の邪魔にはならず、むしろ、メリットの方が多いことが判ってきました。そのうち、最大のメリットと言えるのは、血糖値の上昇を抑制できることです。そして、このことが、老化抑制になるということです。
 老化を促進する要因は沢山ありますが、その中でも比較的大きな影響力を持つものが、終末糖化産物(AGEs;Advanced Glycation End-products)です。なお、AGEsに関する記事は、これまでに3記事書いており、それは『食べ物に含まれる終末糖化産物(AGEs)も危険だから避けよう!』、『体内におけるAGEs生成の最大原因は単純糖質の多い飲料』、『体内においてAGEsの生成を阻害する物質群』です。必要に応じ、読み返していただければと思います。

 AGEsの怖さを世間に知らしめることは、食品に関わる諸々の企業やお店にとって逆風になりますので、TVや雑誌やWeb上のCMなどでは封じられています。また、巷でよく言われていそうな「糖がタンパク質にくっ付く」、或いは「ブドウ糖がヘモグロビンにくっ付いてヘモグロビンA1cになる」などのような、単純なイメージのものではありません。
 例えば、ベーコンなどの加工肉製品に含まれるAGEsは、タンパク質と脂肪が豊富な食材が高温で調理されたときにアミノカルボニル反応を起こすことによって生じ、約1割は腸管から吸収されて体内のタンパク質と結合し、殆どの生活習慣病(糖尿病、動脈硬化、慢性腎不全、心臓病、アルツハイマー病、がん)、ウイルス感染症の激化、不妊症、白内障、筋機能低下、早期老化などの原因になっています。
 また、単純糖質の多い飲食物を摂ることなどによって血糖値を大きく上げてしまうと、過剰になったブドウ糖の何割かが体内にて果糖に変換されたり、その果糖やブドウ糖が解糖系において代謝されるときに生じる中間代謝産物のグリセルアルデヒドが、最も危険な終末糖化産物であるGA-AGEs(glyceraldehyde-Advanced Glycation End-products)を形成してしまいます。その結果、上述しました各種の疾患や早期老化の原因になっています。「甘い物をあまり多く食べると太るから嫌だ」と言う人は居たとしても、「甘い物を物をあまり多く食べると老化が速まったり様々な健康被害を被る」などと思っている人はごく一部の人だけだと思われます。その理由は、業界全体でAGEsの危険性を報じないようにしているからです。業界は、利益最優先です。

 今回のお話は、単純糖質の多い飲食物を食べたことによって血糖値が大きく上がってしまう(食後高血糖;血糖値スパイクが生じてしまう)ことを、食後すぐに運動することによって、それをある程度抑えてやろうというお話になります。
 なお、単純糖質とは、甘い飲料に多く使われているブドウ糖や果糖、甘い食品に多く使われているショ糖などを意味しますが、白米ご飯や、精製された小麦粉で作られているパンや麺類などに含まれるデンプンも分解が速いですから、血糖値スパイクが生じやすくなります。これらを飲食した後にゆったり休憩していると、血糖値が大きく跳ね上がり、それによってAGEsが生じ、老化や老化関連疾患が促されることになります。

 そこで、その対策なのですが、〝エクササイズスナック〟を行おう、ということです。そして、最も違和感無く、どこででも行える、比較的強度の高い運動としてお勧めするのが、〝階段を使ったエクササイズスナック〟です。職場に出向いている人は職場の階段を利用すれば良いでしょうし、在宅勤務の人ならば家の階段を利用すれば良いでしょう。1フロアに住んでいて階段が無いという人は、踏み台昇降でも代用になると思われます。
 添付しました図(高画質PDFはこちら)の下段に、その概略をまとめておいたのですが、具体的には次のようです。階段の昇り降りを繰り返す時間としましては、2分間程度が、その有効性と継続性の両方を満足させる長さになります。もちろん、私自身も2分間の昇り降りをやってみているのですが、一般的な2階建ての家の場合に普通の速度で昇り降りすると、2分間ではおよそ6往復になります。健康体である場合、それほど苦痛ではない運動量です。因みに2分間の計測は、スマホのストップウォッチ機能でやっています。
 もし、日頃から運動不足であったり、関節などに少々のトラブルを抱えているという場合は、もちろん無理をしてはいけません。無理の無い程度にゆっくりと昇り降りすることが大切ですし、運動量的に厳しいと感じる場合は、途中で休憩を入れる〝インターバル方式〟でも結構です。例えば、最初から40秒までは昇り降りを行い、そこから20秒間の休憩をとり、次の40秒間は再び昇り降りを行い、再び20秒間の休憩をとって終了にする、というパターンです。このようなインターバルにすることは、効果の面でもあまり大きなマイナスにはならないという研究結果が出ているようです。

 もう一つの方法としまして、手すりがあって安全を確保できるのであれば、降りるときにゆっくりと後ろ向きに降りる方法があります。
 後ろ向きに降りることのメリットは複数あって、1つは、降りる時に膝関節に大きな体重が掛からなくなることです。膝関節にトラブルを抱えている人の場合、この方法が有効になるはずです。
 2つ目は、体の後ろ側の筋肉(大殿筋、ハムストリングスなど)が使われやすくなることです。下半身の筋肉を万遍無く鍛えるために有効になります。
 3つ目は、短縮しながら筋力を発揮していた筋肉が、伸長しながら筋力を発揮することになることです。これは、通常の筋力トレーニングでも着目する点であって、同じ負荷なのであれば、伸長しながら筋力を発揮することの方が、筋肉にとっては高負荷になるからです。
 4つ目は、体のバランス感覚を養うことになることです。後ろ向きに階段を降りることは、最初は怖いかも知れませんが、慣れてくるとバランス感覚が養われ、怖くなくなるはずです。
 なお、後ろ向きに降りる場合は、ゆっくりと降りますので、総時間を3分間に延長した方が、効果がより確実に出ると考えられます。

 以上のように、食後にエクササイズスナックとして2分間の階段昇降を行うことによって、食後の血糖値スパイクをある程度抑えることが可能になります。その結果としまして、抗老化が期待できますし、老化関連疾患の予防にも繋がりますし、下半身の筋力アップもできますので、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。

 
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