今回は、タイトルにしましたように、白髪を黒髪に変えるファイトケミカルについて見てみたいと思います。なお、黒髪に変えると言っても、染めるわけではありません。自分で黒い髪を生やしていく方法についてです。
早速、結論から述べてみたいと思いますが、それは〝ルテオリン〟および〝ステルビン〟を、飲んだり頭皮に塗ったりすることです。
では、もう少し具体的に見ていきましょう。〝ルテオリン〟は、このブログにおきましては過去に『優れた抗がん作用を示すファイトケミカルの一覧』の中で「推奨No.2」に挙げたものです。確実な量を得ることが大切ですから、抗がん作用を期待する場合には市販されているサプリメントの利用が最適です。ルテオリンは、その他には、尿酸値低下(痛風対策)のためにもよく用いられています。また、『日常的に摂るべきだと考えられるサプリメントの一覧』の中にももちろん掲載していまして、その他の効果として食後血糖値上昇の抑制、抗炎症、抗アレルギー、白髪の予防などを挙げています。今回の記事は、最後に挙げた〝白髪の予防〟の具体的な記事になります。
もう一つ挙げた〝ステルビン〟ですが、これはヤーバサンタ(Yerba santa)と呼ばれる植物の中でも、学名がEriodictyon angustifoliumという種に特に多く含まれている物質です。ヤーバサンタはアメリカ西海岸に自生している植物ですので、日本でこれを使う場合は、お茶などの形に加工した製品を使うことになります。比較的多くのメーカーから商品化されていますので、ハーブティの一つとして既に愛用されている方がいらっしゃるかもしれません。また、白髪を予防できることが少し前から知られていて、これのエキスを配合した頭髪用化粧料も既に市販されています。
ということで、結論さえ分かれば、ルテオリンのサプリメントを購入したり、ヤーバサンタの乾燥茶葉を購入したりすれば、目的を達成することが可能になります。ただ、これだけでは少々寂しいですので、補足的な情報を幾つか紹介しておくことにします。
ルテオリンにつきましては、私が作成したサプリの一覧表においては「必要度「5」(10段階中の)」にしているのですが、それには次のような理由があります。それは、私たちが食べている多くの食材に含まれているからです。掲載した図(高画質PDFはこちら)の右上に緑色の文字で書き連ねたのですが、シュンギク、ニンジン、パセリ、セロリ、ブロッコリー、キャベツ、ピーマン、エゴマ、シソ、タンポポ、ネーブルオレンジ、タイム、カモミール、ローズマリー、ペパーミント、オレガノ、ヤーバサンタ、オリーブオイルなどに多く含まれています。従いまして、上記のようなものをたっぷりと食べていれば、わざわざサプリメントを買わなくても済みそうだからです。
なお、お気づきだと思いますが、上記の中にヤーバサンタも含まれています。そこで、掲載した図のやや左上段にルテオリンとステルビンの構造式を示しておきました。異なる点は2ヵ所であり、ステルビンはルテオリンに較べて水酸基がメトキシ基(-OCH3)になっていることと、骨格的に立体異性体になっていることです。これだけ似通った物質ですから、同様の生理的作用を示したとしても何ら不思議ではありません。
そして、ヤーバサンタは、ついでにルテオリンも比較的多めに作ってしまっている、ということになります。言い換えれば、ヤーバサンタのエキスを摂取すれば、ステルビンと共にルテオリンも同時に摂れてしまうことになります。因みに、ステルビンのサプリメントはまだ一般的になっていませんので、これは刻んだ乾燥葉を用いることがオーソドックスな利用法になります。
次に、これらがどのような機序にて白髪を黒髪に変えるのか…、という点を見てみたいと思います。掲載した図の右側中段に、その作用機序の例を引用させていただきました。もちろん、ルテオリンなどのフラボノイドは万能とも言える生理作用を発揮しますから、この機序は一例であると解釈するのが正解だと思われます。
図の下段にも説明文を書き入れましたが、白髪になる場合には、毛根部分に存在するケラチノサイト幹細胞(KSCs)において、老化マーカーでもあるP16の活性が高まることによって、エンドセリン(ETs)の分泌低下が起こります。すると、メラノサイト幹細胞(MSCs)に存在するエンドセリン受容体(Ednrb)の発現量が低下し、その結果としてメラノサイト幹細胞の活動低下や数の減少が起こり、髪の黒化が抑制される、即ち白髪化が進むことになります。
そして、ここにルテオリンを投与すると、ケラチノサイト幹細胞(KSCs)において活性が高まるP16をルテオリンが阻害することによって、上記の流れが阻止されることになります。即ち、メラニン色素の産生に関わっているメラノサイト幹細胞の活動低下や数の減少が防がれることになるわけです。
なお、この実験においては、ルテインの外用と内服の両方が行われています。左下の図に示されているのは、効果の高かった外用による結果が示されています。このマウスは黒い毛のマウスなのですが、加齢と共に毛が白くなっていく系統のマウスで、白髪防止効果を調べるためのモデルマウスにされているものです。そして、ルテオリンを70%エタノールに溶解して1%溶液にしたものを、このマウスの背中に毎日、16週間にわたって塗り続けた結果が右側の2匹です。白髪化が防がれていることを確認することができます。
では、私たちは実際に、どのようにこれらの物質を利用するのが良いでしょうか…。白髪を黒髪に変えるために最も有効なのは、ルテオリンとステルビンの両方を併用することであり、それは即ち両方を含むヤーバサンタのエキスを頭皮に塗ることだと言えます。ただ、ルテオリンの含有量が少ない可能性もありますから、サプリメントとして飲んでいるルテオリンの1カプセルを開けて、先ずはアルコールに溶かし、その溶液をヤーバサンタエキスに混入すること効果的です。その場合の濃度が気になるところですが、マウスの実験ではルテオリンは1%濃度で使われていましたので、あまり濃い必要は無いと言えますし、塗ればすぐに乾燥して濃度が上がりますから、あまり厳密に調整する必要性は無いと言えます。
なお、「頭皮に塗ってまで黒髪に戻したくはありません」という人もいらっしゃることでしょうから、その場合は、ルテオリンを多く含む野菜などの植物の摂取量を増やしたり、ヤーバサンタのお茶を飲んだりしていただければと思います。