普通に食べているだけではMg欠乏症になる可能性が高い

 「普通に食べている…」というその食事内容は、現代の日本人が毎日食べている食事内容の平均像であるとお考えください。従いまして、かなり気をつけているという方の場合は当てはまらない可能性もありますが、当てはまる可能性もあります。先ずは、その理由を幾つか挙げてみることにします。

 1つ目は、「日本人の食事摂取基準」の作られ方に起因するものですが、掲載した図の最上部に示されている例に該当する人が圧倒的に多いからです。即ち、「推奨されている量のマグネシウムをしっかりと摂っていますよ」という人でも、お酒を飲んだり、何らかの医薬品を飲んでいたリ、片方で質の悪い食事(典型例はファストフード)を摂っていたリ、ダイエットなどと言って食事量を減らしていたリ、逆に大食いのため既に糖尿病、腎臓病、内分泌機能に異常を抱えている人がいたり、腸内細菌叢の異常などによって吸収率低下や排泄率上昇を伴っている人がいたりするからです。要するに、「日本人の食事摂取基準」を算定するための各種データは、若くて元気で病気を持っていない人たちから得られたデータを元にして決められているわけであり、既に不調を伴っている中高年における推奨量を正しく予測することが出来ていない、ということです。

 2つ目は、夏場などに急速かつ大量の汗をかく場合が想定されていないことです。これも「日本人の食事摂取基準」には反映されていないことであり、被験者になった若くて元気な人たちは検査期間中は特別なことをせず、比較的穏やかに過ごしてる場合のマグネシウム推奨量が導き出されているわけです。急速な発汗時は汗腺の導管部におけるマグネシウムの再吸収が追いつかないため、多量に失ってしまうことになります。そして、アスリートなどによくみられる痙攣(けいれん)や熱中症を起こすことになります。

 3つ目は、昔と違って、食塩の成分は塩化ナトリウムがほぼ100%ですから、含まれているはずのマグネシウム(ニガリの成分)が完璧に取り除かれていることも大きく関係します。葉野菜や、加工度の少ない穀物をしっかりと食べていますよ、という場合であっても、よほど沢山食べなければ摂取推奨量さえ満たすことは難しいでしょう。

 4つ目は、掲載した図の上から1/3あたりのところに書かれていますように、カルシウムとの摂取比率が重要であることです。マグネシウムを多く摂っていたとしても、併せてカルシウムを多く摂れば摂るほど、マグネシウムを少なく摂取したことと同じことになります。

 理由はこれぐらいにして、今日の核心に移ります。問題は、マグネシウムの血中濃度ではありません。細胞内におけるマグネシウムの濃度なのです。これは、当然のことながら、血液検査をしても判りませんから、普通は医療機関に行っても判らないわけです。即ち、血中マグネシウム濃度が正常範囲であっても、細胞内のマグネシウム濃度が低く、それによって図に書かれているような様々な経路にて異常が生じ、最終的には炎症(Inflammation)も過度になり、いわゆるメタボリック・シンドロームと呼ばれる状態になるということです。

 では、どうすれば良いのでしょうか…? やはり、通常の食事とは別にマグネシウムを摂ることです。併せて、図の上部に書かれているような状況を作らないことです。巷には幾つものマグネシウム製剤やニガリ製品が販売されていますから、少しづつ、体の様子を見ながら補給していってみてください。

 
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