首のシワやタルミは広頚筋のトレーニングで緩和される

首のシワやタルミは広頚筋のトレーニングで緩和される

 年齢が進んで行くと、特に首周りのシワ(皺)やタルミ(弛み)が気になってくることでしょう。またそれは、最も年齢を感じさせやすい現象でもあるでしょう。
 先に例を見てみることにしますが、掲載した図(高画質PDFはこちら)の右下の写真をご覧ください。左側は、顎(あご)の下の部分に大きな凹みが見られ、その周囲が弛んだり皺が寄ったりしています。
 このようになってしまう原因は、もちろん複数ありますが、大きく分けるならば、皮膚の問題と、その内側に在る筋肉の問題に分けることができます。
 皮膚の問題は、老化などによって皮膚が薄くなることや、弾力性が低下することが、主な原因となっています。一方の、筋肉の問題は、筋肉量が減ることや、伸縮性が低下する(衰える、ヨレヨレになる)ことが、主な原因となっています。

 当研究室のブログで既にupしていますのは皮膚の問題で、『肌を若返らせる方法の一つはニコチンアミドの適用』、『肌の若返りにはレジスタンストレーニングの方が有効』、『シイタケエキスがカルバミル化を減少させる』などがあります。これらは、シワやタルミの原因のうち、皮膚に関係する問題点を解消しようとするものでした。
 そして今回は、皮膚の内側にある筋肉の問題を解消していこうとするものです。

 凹んだりシワやタルミが生じている部分の筋肉は、痩せて薄くなっています。もし、その部分の皮膚の内側に、もう一層の筋肉を挿入することが出来れば、少なくとも凹みは解消されることは自明のことでしょう。また、首の直径も太くなりますから、皮膚が伸ばされてシワやタルミも減ると予想されます。ちょうど、その右側の写真のようになると思われます。

 では、なぜ老化と共に筋肉が薄くなってしまうのでしょうか…? 「老化に伴う自然の摂理」という捉え方もできるでしょうが、それでは問題解決の糸口が見えてきません。それよりも、あまり使われない筋肉だからこそ、痩せていく速度が速いのだと捉えることが出来るでしょう。それならば、大いに使ってやれば老化に伴う筋肉減少を防げる、ということになります。

 「日頃から、首を動かしたり、しゃべったり笑ったりしているつもりなのですが…」という意見が出てくるでしょう。しかし、問題になっている筋肉は、そのような運動ではあまり働かず、鍛えられていないのです。
 その、問題となっている筋肉は、広頚筋(こうけいきん)といいます。掲載した図の左下のイラストに赤色で示されている筋肉で、首の前部の表層に存在していて、薄くて面積の広い筋肉です。このように薄い筋肉ですから、大きな力は発揮できません。そのため、頭部を動かしたり支えたり、顎(あご)を動かしたりはできません。では何が出来るのかと言えば、口角を斜め下に引き伸ばす程度の仕事しかできません。だからこそ、老化による筋肉量低下が一番先に現れる筋肉だということになります。

 広頚筋の役割は、上述のように、口角を斜め下に引き下げることです。即ち、「い~」を強く発音する感じで、左右の口角を斜め下に強く引き下げる動作の時に使われます。
 「なるほど…、そんな動作はめったにしないですね。子どもの頃に「い~~だっ」って言った時ぐらいです」「他にあるとすれば、水泳でクロールをしているときの息継ぎの時に、そのような口の動かし方をするかもしれません。だた、大人になってからは水泳もしないですし…」
 そうなんです、だから鍛える機会が無いんです。使わない筋肉は衰えていくのが自然の摂理ですから、他の筋肉よりも早く衰えていくことになるわけです。その結果として、首の部分の皮膚と、広頚筋よりも内側に在る幾つかの筋肉との距離が縮まり、綿の抜けた座布団のカバーのように、弛んで皺が寄ってしまうのです。

 世間では、ボツリヌス菌から採った毒素を皮下に注入する「ボトックス」と呼ばれる方法が採られていますが、それは根本解決にはならないでしょう。もちろん、その効果も長続きはしないですし、それなりに副作用もあります。従いまして、根本的に解決しようとするのならば、衰えた広頚筋を鍛え直すしか、他に方法は無いと言えます。

 鍛え直す方法ですが、他の骨格筋の場合と同じように、筋トレを行えば目的を達成することが出来ます。そして、筋トレには〝負荷を掛ける〟ことが鉄則です。負荷を掛けなければ、いくら頑張って「い~」をしたところで口角は軽く動いてしまいますから、筋肉は「これなら、敢えて筋肉を増量しなくてもええやん(関西弁)」と思うわけです。
 そこで、お勧めの方法は次のようです。掲載した図の下段中央の写真のように、口角が斜め下に引っ張られていかないように手でしっかりと反抗します。そして、それでも何とか口角を斜め下に引き下げようと頑張って力を入れます。
 このようにすることで、筋トレに必須となる負荷を掛けることが可能になります。2~3日に一回ぐらいの間隔で、適度なプロテイン補給と共に行ってみてください。それによって、2週間ぐらいたてば、首の部分の弛みや皺が減ったことを実感できるでしょう。併せて、フェイスラインが奇麗になり、小顔になったことも実感できるでしょう。

 
執筆者
清水隆文

( stnv基礎医学研究室,当サイトの keymaster )
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