結局、怪我も病気も、自分の細胞が治してくれるんですよ。だから、細胞が元気なら、怪我も病気も早く治ります。逆に、細胞に元気が無いと、怪我は治らず、病気は悪化していきます。ところが、こんな基本的なことを、日本の医学部では教えないんです。
じゃ、もう少しだけ深く見ていきましょう。特に、病気の場合、「医療が治してくれる」とか「薬が治してくれる」と思っている人が、圧倒的に多いのではないでしょうか…。そして、少しでも心身に不具合を感じていて誰かにそれを言うと「早く病院に行って診てもらいなさい」と言われることでしょう。また、そうなる前にも「健康診断は受けなきゃダメでしょう」と言われることでしょう。
私は、そのことを全面的に否定するわけではないのですが、それ以上に大切なことを見逃してしまっている人がいるのであれば、その人たちに気付いていただきたいことがあるのです。それが、タイトルに示しました「自分の細胞が治してくれるんですよ」ということです。
「…でも、なかなか治らないんです…」という場合があるのであれば、私は「あなたの細胞は元気ですか?」と問い返すことでしょう。すると、その返事として「そんなことは分かりません…。ただ、医師に診てもらって、薬をもらって飲み続けています」と答える人が多いでしょう。すると私は「じゃ、その薬を浴びせられた、あなたの細胞は喜んでいますか?」と問い返すでしょう。
実際のところ、大抵の場合の薬は、バランスが崩れている部分があれば、それを強引に修正するものです。もう少し詳しく言うならば、何らかの代謝経路を進めている何らかの酵素を阻害する薬(酵素阻害剤)が40~50%を占めます。次には、何らかの代謝経路のスイッチの役割を果たしている受容体を働かないようにする薬(受容体遮断薬)が30~35%を占めます。その次には、そのような受容体にくっ付いてスイッチを入れる薬(受容体刺激薬)が10~15%ほどを占めます。残りの約10%は、輸送体阻害・イオンチャネル調整・抗体医薬などです。そして、それらの殆どは、細胞が嫌がる「毒」なのです。
「毒も、微量なら薬になる」と言うフレーズが頭に浮かんだ方、治療に当たって投与される医薬品の量は、決して微量ではありません。そのフレーズは、太古に、毒草として知られていた植物の中の有毒成分が、ヒトの何らかの酵素を阻害したり、受容体を遮断したり刺激したりすることで毒性を示す、致死量に至るような高用量にしなければ、適度に酵素阻害や受容体阻害/刺激に使えるというだけの話です。けっして、細胞が喜ぶものではありません。
じゃ、医療や医薬品は何をしているのか…? それが上手く機能している場合では、治療のたの補助になっているだけです。しかし、治すのはあなたの細胞です。或いは、あなたの体内にある幾種類もの細胞の連係プレイによって治すのです。間違っても、医療や医薬品は、あなたを治してくれません。このことを、もし、お忘れになっていた方がいらっしゃったのであれば、今すぐに意識改変をしていただければと思います。
「がんは、自分の細胞じゃないですか… あれは、なぜ自分を痛めつけるのでしょう…?」と思われた方、私は「がん-癌のカテゴリー」に多数の記事を収めていますので、それを見直していただければよいのですが、一言で言うならば、がん細胞は、悪化した自分の体内の組織で生き抜くために、細胞が潜在能力を開放した姿です。けっして敵ではありませんし、免疫細胞の力が弱かったからでもありません。
因みに、がんと免疫細胞の敵対関係を前面に出し、「最前線の治療法」などという言葉を使ったTV放送や医療情報には充分に注意してください。そんな、生物学の基本を知らない人間たちが作ったストーリーに惑わされることは、絶対にやめてください。細胞が、がん化せざるを得なかった悪環境を正さない限り、どれほど最新の治療を重ねたとしても、根本解決にはなりません。
◆ 怪我や病気が治る仕組み
ここでは、あまり詳しくすることなく、怪我や病気が治る仕組みの概略を紹介することにします。
① 怪我の場合
怪我の治癒は、次の4段階で進みます。
・止血期:血小板が集まり、傷口を塞ぐ。
・炎症期:免疫細胞が異物や壊れた細胞を除去する。
・増殖期:線維芽細胞が増え、コラーゲンを作り、組織を再構築する。
・リモデリング期:新しい組織が強化され、元の構造に近づく。
この一連の流れは、すべて細胞が自律的に行う作業です。薬は、過剰反応を抑える場合に功を奏することはありますが、治癒そのものは細胞が行っているわけです。
② 病気の場合
病気の治癒も、次のような段階で進みます。
・免疫細胞が病原体や異常細胞を排除する。
(注意:がん細胞は異常細胞ではない)
・炎症細胞が損傷部位を処理する。
・再生細胞が組織を作り直す。
これらは、すべて細胞の働きです。薬は、そのときに崩れている代謝系があるのなら、それを一時的に補正するために有効な場合がありますが、それは細胞にとって毒であるため、長期間使い続けるものではありません。
◆ 細胞が治癒力を発揮できない原因(重要度順)
じゃ、細胞がなぜ本来の力を発揮できないのか、その原因の主なものを重要な順に並べてみましたので、ご覧ください。
① 慢性炎症
細胞の働きを最も強く阻害するのが慢性炎症です。慢性炎症が続くと、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6、IL-1βなど)が常に高い状態になり、ミトコンドリアのATP産生が低下し、免疫は誤作動し、組織修復は進まず、細胞老化が加速します。
さらに、細胞環境の悪化が長期間続くと、細胞は「このままでは死ぬ」と判断し、生存のために潜在能力を開放することがあります。これが、いわゆる“がん化”です。即ち、がん細胞の誕生も、多くの場合は慢性炎症と細胞環境の悪化の延長線上にあります。
② 栄養不足
細胞は、材料やエネルギーが確保できなければ働けません。タンパク質(アミノ酸)、適切な種類と比率の脂質、適切な比率の各種ミネラル(マグネシウム、亜鉛、鉄など)、ビタミン類など、何かの栄養素が不足していると細胞が本来の力を発揮できませんので、組織の再生が進まず、治癒が著しく遅れます。
なお、その詳細につきましては「栄養-栄養素のカテゴリー」に多数の記事を収めていますので、必要に応じてご覧ください。
③ ファイトケミカルの不足
ファイトケミカルは、植物が自らを守るために作り出す生理活性物質であり、抗酸化、抗炎症、解毒、免疫調整など、細胞の働きを支える多くの作用を持っています。これらが不足すると、細胞が酸化ストレスにさらされやすくなり、慢性炎症が進み、ミトコンドリアの働きも弱くなります。
また、ファイトケミカルは細胞の“環境センサー”として働き、代謝や免疫の微調整を行っています。そのため、摂取量が少ない生活が続くと、細胞が外界の変化に適切に対応できなくなり、治癒力そのものが低下します。
現代の食生活では、加工食品の増加によりファイトケミカルが極端に不足しやすく、細胞が本来の力を発揮しにくい環境になっています。
なお、ファイトケミカルにつきましても、これまでに多数の記事を書いてきましたので、当サイトの検索窓に「ファイトケミカル」と入力して検索してみてください。
④ 睡眠不足
睡眠の時間は、細胞の修復が最大化する時間です。成長ホルモンの分泌、自律神経の調整、ミトコンドリアの品質管理、免疫の再構築など、体内の“修復プログラム”は睡眠中に集中して行われます。
そのため、睡眠不足が続くと、細胞が修復の機会を失い、怪我や病気の治癒が著しく遅れます。慢性炎症も進みやすくなり、老化の加速にもつながります。
⑤ 過度なストレス(情動不安定)
ストレスホルモン(コルチゾール、アドレナリン/ノルアドレナリン)は、細胞の働きを直接阻害します。これらが慢性的に高い状態になると、免疫が低下し、炎症が増え、再生が遅れます。
さらに、ストレスは腸内細菌叢を乱し、慢性炎症を悪化させるため、細胞が本来の力を発揮できなくなります。情動の不安定さは、治癒力そのものを削る大きな要因です。
⑥ 都市環境(自然の欠乏)
都市環境では、土壌細菌・フィトンチッド・揮発性物質が極端に少なく、逆に人工物由来の粒子や化学物質が多くなります。
そのため、細胞が働くために必要な“自然の刺激”が不足し、情動の不安定、慢性炎症の増加、免疫の低下などが起こりやすくなります。
⑥-1 土壌細菌の不足
土壌細菌が不足すると、腸内細菌叢の多様性が低下し、慢性炎症が増えます。腸内細菌叢は免疫・情動・代謝・再生のすべてに関わっているため、その多様性が失われると、細胞の働きが全体的に弱くなります。
特に、酪酸産生菌やアッカーマンシアなどの“健康長寿に関わる細菌”が減ると、治癒力そのものが低下し、怪我や病気が治りにくくなります。
⑥-2 フィトンチッドの不足
森林が放つフィトンチッドは、情動の安定、抗炎症、認知機能の改善に働く重要な揮発性物質です。これが不足すると、情緒が揺らぎやすくなり、ストレスに弱くなり、慢性炎症が進みます。
結果として、細胞の働きが落ち、治癒力そのものが低下します。都市生活ではフィトンチッドが極端に少ないため、細胞が本来の力を発揮しにくい環境になります。
⑥-3 土壌由来の揮発性物質の不足
ジオスミン、2-MIB、テルペン類など、土壌や植物が放つ揮発性物質は、脳の情動調整や免疫の安定化に作用します。これらが不足すると、情緒が不安定になりやすく、ストレス耐性が低下し、慢性炎症が進みます。
また、脳の働きが鈍くなり、集中力や判断力が落ちるため、細胞の働き全体が弱くなる傾向があります。都市生活では、これらの揮発性物質が極端に少ないため、細胞が本来の力を発揮しにくい環境になります。
⑦ 運動不足
運動は、血流を改善し、細胞に酸素と栄養を届けるための“循環ポンプ”の役割を果たします。運動不足が続くと、血流が滞り、細胞が必要とする酸素・栄養・ホルモンが届かなくなります。
さらに、筋肉から放出されるマイオカイン(イリシン、IL-6、カテプシンBなど)が減少し、脳の成長・抗炎症・脂肪代謝・骨形成などの重要な作用が弱まります。
結果として、治癒力そのものが低下し、怪我や病気が治りにくくなります。
⑧太陽光不足
太陽光は、ビタミンDの生成と概日リズムの調整に不可欠です。ビタミンDが不足すると免疫が弱くなり、感染症や慢性炎症が増えます。
また、太陽光を浴びない生活が続くと、体内時計が乱れ、睡眠の質が低下し、細胞の修復が十分に行われなくなります。
さらに、太陽光は情動の安定にも関わるため、不足するとストレス耐性が落ち、細胞の働き全体が弱くなります。
◆ 細胞が働ける環境とは(整えるべき優先順位)
結局、上で述べた「細胞が治癒力を発揮できない原因(重要度順)」の全てを解消することです。項目だけ羅列しておきます。
・慢性炎症を解消する
・栄養素の不足を無くす
・各種のファイトケミカルを摂る
・睡眠の質を高める
・過剰なストレスを解消する
・自然環境との触れ合いを増やす
(土壌細菌を取り込む、フィトンチッドを吸う、土壌由来の揮発性物質を吸う)
・ 適度な運動をする
・太陽光を適度に浴びる
◆ おわりに
タイトルや冒頭で書きましたように、“怪我も病気も自分の細胞が治してくれる”わけですので、その細胞たちを元気にすることを最優先に考えなければなりません。東洋医学は、どちらかというとその意識が強いのですが、西洋医学は細分化の結果としてその意識をほぼ失ってしましました。そのため、西洋医学は症状を抑えることは出来たとしても、健康体を取り戻すには至らないのです。ましてや、健康増進や健康長寿などについては分野外だと言ってよいでしょう。
私の記事を読んでくださっている皆さまは、その多くが細胞目線で見られている方が多いと思われますが、子どもたちやご家族の方で医薬品や医療機関の信者になっている人がいらっしゃいましたら、悲劇を生み出さないためにも「細胞が治すのだから、その細胞にいつまでも毒を与えないでくれ」とお伝えください。
