日本では悲しいことに、数年前に「緑茶で新型コロナウイルス感染症を防ぐことが出来ますよ」と言ったら、「デマを広げることは慎んでくれ」という対応をされました。ただ、「緑茶でインフルエンザウイルスの感染を防ぐことができる」ということについては、蛇口をひねれば緑茶が出てくるようにしている静岡県の小学校ではインフルエンザが流行らなかった事実が広く報道されたため、そこまで否定はされないのですが、国を挙げて推進まではされないという状況です。そして、相変わらず〝ワクチン〟〝マスク〟〝手洗い〟などという的外れの対策を口癖のように言います。しかし、ひとたび海外に目を向ければ、そこには緑茶の研究が更に発展していることに驚かされます。そして、その有効成分の本体であるエピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)の作用機序について、本当に多面的に研究され続けています。今日は、2023年に報告された2つの論文の内容を含めて、EGCGの有効性についてごく簡単に紹介させていただきます。
因みに現在、小学校でインフルエンザが流行っているようです。それはもちろん、蛇口から緑茶が出てくる小学校以外の学校の状況です。おそらく多くの子どもたちは、特に指導されない限り、飲んで美味しいものは飲むけれども、苦かったり渋かったりするものは飲まないのだと思います。EGCGは、同じく緑茶に含まれているEGC(エピガロカテキン)よりも更に強い苦味と渋味を持っていますので、健康意識の高い子でなければ飲まないはずです。だからこそのインフルエンザの流行です。空中を漂う微粒子になっているインフルエンザウイルスは、マスクをしても、手洗いをしても、あるいはワクチンを打っても、防ぐことはできません。むしろ、逆効果になりますので、指導的立場にいる人は、そのあたりをしっかりと勉強してもらわなければ、子どもたちが可哀そうです。
さて、EGCGの効果について特に新しい知見だと言えるのは、掲載した図(高画質PDFはこちら)の左端に示されていることなのですが、緑茶を飲んでいると、上気道(鼻腔、鼻咽腔、咽頭、喉頭まで)の内面に高濃度のEGCGが配備される、ということです。そして、その濃度は血中のEGCG濃度よりも2桁ほど高かったと報告されています。決して鼻からお茶を飲むわけではありませんし、肺に吸い込むわけでもありませんので、口腔内や食道以外の部分にも効果が出るのかという疑問が生じることでしょうが、その心配は全く無いということです。なお、肺に至る下気道は実験としてサンプリングが難しいために行われていませんが、同様に高濃度のEGCGが粘膜に配備されていることと思われます。そして、各種のウイルスを直接的にも間接的にも、その侵入や増殖を抑えてくれることになります。
気道の粘膜に配備されるEGCGは、飲み込んだ緑茶に含まれていたEGCGが消化管から吸収されて血中に入り、それが気道に運ばれたものですから、その他の器官や組織にも同じようにEGCGがしっかりと運ばれていることになります。
図の右側には、もう一つの論文中の図の一つを引用しましたが、EGCGがインフルエンザウイルスだけでなく、C型肝炎ウイルスや、ヒトパピローマウイルスを阻害する機序が描かれています。ヒトパピローマウイルス(HPV)は、子宮頸がんの原因ウイルスとして耳にすることが多いと思われますが、巷ではこれをワクチンによって対処しようとしています。その結果として多くのワクチン被害者を出してしまいました。しかし、間違っても「子宮頸がんは緑茶で防げますよ」などとは口が裂けても言わないことでしょう。それが日本という国の医療行政です。
その他、新たに発見されている、EGCGの抗ウイルス機序については、図の右上に概要を書いておきましたので、ここでの記載は割愛させていただきます。
飲み方についてですが、茶葉の全体を飲むことが、最も多量のEGCGを取り込むことになりますので、抹茶または粉茶、或いは、普通の茶葉を自宅にて緑茶用ミルで粉にして、それに水を加えて飲むのが最も良い、ということになります。入れる水の温度は、理想的には口腔内や食道の粘膜に負担をかけないためにも、体温に近いのが理想です。
なお、お茶に限らないのですが、熱いものを飲んだり食べたりしたときには粘膜表層の細胞が死滅することを常に意識していただければと思います。例えば、温度が42℃を超えると多くの細胞が死滅すると言われていますが、熱い飲食物の温度はその温度を遥かに上回ります。当然のことながら、そのようなものを飲んだ時には粘膜表層の細胞が死滅し、ウイルスを防御する機能が損なわれてしまいますので要注意です。
一方、紅茶はどうなのかと言えば、その製造工程においてEGCGがテアルビジンという物質に変換されてしまいますので、少なくともEGCGを得る目的のためには使えないことになります。
EGCGは、その他にも種々のがんに対して抗がん作用を示したり、循環器系の各種疾患を予防したり、認知機能の低下を防いだり、抗酸化作用によって老化を抑制したりなど、病気を予防するための万能薬であると言えます。そもそも、お茶は〝飲む〟ものではなく〝服用する〟ものですので、どちらかと言えば薬です。美味しいから飲むというのではなく、病気を予防して健康を増進する為に服用するものだと捉えなければならないでしょう。