タウリンの老化細胞除去作用について

タウリンの老化細胞除去作用について
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《今回のアイキャッチ画像(高解像度版)》

 今回は、“タウリン”にも老化細胞を除去する働きのあることが見つかった、というお話です。なお、先に紹介しましたケルセチンやアグリモールBによる老化細胞除去とは少し違った特徴を持っていますので、それぞれを合わせて摂ることで相乗効果が期待できます。なお、この記事は《抗老化-アンチエイジング》のカテゴリに分類した記事の55記事目になります。

◆ タウリンの概略
 タウリンは、体内でも作られるのですが、その量は限られています。学校では「タウリンが必要」などと習わないですし、日本ではドリンク剤(医薬部外品)や医薬品としてしか提供されませんので、多くの人が「そんなもの摂らなくて大丈夫だろう」と思っているわけです。その結果として、必要以上に早く老け込んだり、様々な病気に掛かったりしているわけです。これの詳細は『健全な若者でも別途補給しなければタウリン不足になる』にて紹介していますので、必要に応じてご覧ください。
 また、胎児や新生児のタウリン合成能力は、肝臓の機能が未発達ですから、大人よりも更に低くなります。そのため、臍帯血や母乳中のタウリン含有量を高める仕組みになってはいるのですが、母体のタウリン量が不充分であれば、胎児や新生児に供給する分が減りますので、特に脳の発達が遅れます。これの詳細は『胎児は魚の段階を経由するため高濃度タウリンを必要とする』にて紹介していますので、必要に応じてご覧ください。

 タウリンを食品から摂ろうとする場合、イカ、タコ、ハマグリ、ホタテ、ナマコ、サバ、カツオなどの魚介類を食べることが必要です。また、肉類や卵にもタウリンは含まれていますが、上述した魚介類よりは少なめです。一方、植物、海藻、菌類には含まれていませんので、菜食主義者の場合はサプリメントで補わない限りはタウリン不足になり、そのため老化が速まり、病気がちになります。穀菜食がヘルシーだとお考えの場合は、その考えを改めていただければと思います。
 なお、これの詳細は『【決定版】主要食品のタウリン含有量を完全に再解析しました(PDF公開)』をご覧ください。

 ただ、毎日これらの食品を充分量食べるのは難しいですので、私は海外で一般的に販売されているタウリン1,000mg/カプセルのサプリメントを利用しています。日本では医薬品グレードに相当する高純度のタウリンが、海外ではサプリメントとして流通していますので、入手しやすいのが利点です。
 そもそも、高純度タウリン(化学合成品)を、健康補助食品として認めない姿勢を貫いている日本は、医療や医薬品のビジネスを最優先にしているからであり、結果としてタウリン不足による病人を増やしているわけです(反論のある方は、遠慮なく私(清水)に異議を申し立ててください)。
 
 タウリンが体内でどのような働きをしているかにつきましては、これも『健全な若者でも別途補給しなければタウリン不足になる』にて紹介していますので、そちらをご覧ください。その記事内にも「老化を抑制し寿命を延長する」ことに触れていますが、今回の記事は、その根拠の一つになります。

◆ これまでに知られていたタウリンの抗老化メカニズム
 本題に入る前に、これまでに知られていたタウリンの抗老化メカニズムを概観しておくことにします。
① ヒトでの酸化ストレス低減(臨床試験)
 2022年に報告された、ブラジルでの臨床試験結果では、55〜70歳女性を対象にタウリン投与が行われ、酸化ストレス指標が有意に改善、抗酸化能が上昇、炎症関連マーカーが改善傾向、という結果が得られています。

② “老化ドライバーとしてのタウリン欠乏”という視点
 2023年におけるScience誌の報告では、タウリン欠乏が老化のドライバーになりうること、タウリン補給で寿命・健康寿命が延びることが示されています。ここでは、「タウリン量そのものが老化の進行度を左右する可能性」という、よりマクロな抗老化の視点が提示されています。

③ 心血管系・全身レベルでの抗老化作用
 2023年の総説では、タウリンが、心筋保護、血管機能の維持、カルシウム動態の調整、ミトコンドリア機能の安定化、などを通じて、心血管系の老化に対して保護的に働く可能性が整理されています。これは、臓器レベルの機能低下を遅らせるという意味での抗老化だと言えます。

④ 酸化ストレス・レドックス経路を通じた抗老化
 タウリン自体は強力な抗酸化物質ではありませんが、肝臓でのシステイン代謝を変化させて硫化水素(H₂S)産生を亢進し、その結果として酸化ストレスを軽減する経路が示されています。H₂Sは強力なレドックス調整因子であり、ミトコンドリア機能保護・細胞老化抑制に関与する可能性が高いです。

⑤ ヘパトカイン(IGFBP-1)を介した全身的な老化制御の可能性
 同じ肝臓モデルで、タウリン投与によりIGFBP-1(肝臓由来ホルモン)の産生が抑制されることが報告されています。IGFBP-1はインスリン抵抗性や代謝異常と関係しており、その抑制は代謝性老化・炎症性老化の緩和に繋がる可能性があります。

⑥ 細胞老化の“発生”を抑える経路(肝臓など)
 四塩化炭素誘発肝障害モデルで、タウリン投与により、肝臓の酸化ストレス軽減、p21陽性老化細胞の減少、SASP様の炎症性サイトカインの抑制、が報告されています。これは、ストレスによる細胞老化の進行を抑える“予防的な抗老化” という位置づけになります。

◆ タウリンで確認された老化細胞除去作用
 老化細胞とは、既に紹介しましたように、損傷やストレスによって本来の役割を果たせなくなり、活動を停止したにもかかわらず、組織内に残存してしまった細胞のことです(詳細は『老化細胞を生まれにくくするために──細胞が参照する“情報の変質”という視点から』を参照してください)。

 いよいよ本題に入りますが、近年における研究によって、タウリンには “老化した免疫細胞(マクロファージ)を選択的に減らす作用”を示すことが確認されました。具体的には、老化誘導したマクロファージにタウリンを作用させると、老化細胞の生存率が低下すること、p21高発現細胞(老化マーカー)の割合が減少すること、正常なマクロファージには影響しないこと、という結果が得られています。

◆ ケルセチンやアグリモールBとの作用の違い
 先に紹介しています、ケルセチンやアグリモールBの老化細胞除去の機序と、タウリンの老化細胞除去の機序との違いについて、少し触れておくことにします。
 この3種類の物質は、いずれも老化細胞を減らすという点では共通していますが、分子構造が全く異なりますので、細胞内で作用する経路は当然ながら異なると考えられます。そこで、それぞれの主な特徴をまとめておきます。
・ケルセチン:芳香環ポリフェノール特有の強いアポトーシス誘導によって、老化細胞を積極的に除去する
・アグリモールB:タンニン様構造による穏やかな代謝ストレス増大によって、老化細胞が生存しにくい環境をつくる
・タウリン:硫黄を含む低分子化合物として、老化した免疫細胞の生存率を低下させ、選択的に割合を減らす

 このように、3種類の物質は、それぞれ異なったアプローチによって老化細胞除去に働いたり、得意とする老化細胞の種類が異なったりする可能性が高いと考えられます。
 従いまして、この3種類を合わせて摂取することによって、より広い範囲の老化細胞に対応できると考えられます。 

◆ おわりに
 タウリンは、臨床的にも抗老化作用が確認されていましたが、その作用メカニズムの一つとして、今回紹介しました “老化細胞除去の作用”が追加・確認されたわけです。
 もうこうなると、タウリン不足になることが非常に怖くなったのではないかと思います。多くの病気の根本原因も“老化”であると言えるわけですから、単に老化を抑制するという目的だけでなく、病気に罹らないようにする目的のためにも、タウリン補給は必須です。
 魚介類中にタウリンが多く含まれていますが、加熱調理の方法によっては多く失われてしまいます。それでも、茹でダコを100g食べれば、それによって800~1,150mgのタウリンが摂れますが、毎日食べることは難しいでしょう。また、日本で売られているドリンク剤は、売っている企業にとっては大きな利益になるでしょうが、本来は安価な高純度タウリンを高い値段で買うことになりますので、けっして賢い選択ではないでしょう。まだの方は、ぜひ、上述しました“カプセル製剤”をお試しください。

 
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