人間の身体は、腸内細菌・皮膚常在菌・母乳や環境の微生物など、多様な微生物によって支えられています。本カテゴリでは、これらが形づくる“生態系”の構造と働きを整理します。
腸内細菌 長寿腸内細菌叢は“どこから来て、どう育つのか” ――細菌の出自と育て方の最新知見
日本の百寿者に共通する腸内細菌叢は、特別な細菌ではなく、出生時・母乳・皮膚接触・食事・環境といった日常の中で自然に受け継がれた“基本セット”の細菌によって形づくられています。本記事では、長寿腸内細菌叢の出自と、その育て方を最新研究に基づいて整理し、紹介します。
腸内細菌 長寿者の腸内細菌叢は何が特別なのか──最新研究が示す「抗酸化ネットワーク」の全体像
最新研究で明らかになった、長寿者の腸内細菌叢の特徴とは。酪酸産生菌・乳酸菌・水素産生菌が連携して形成する“抗酸化ネットワーク”の全体像を、日本人の特性とともに紹介します。
腸内細菌 「腸内細菌・食材」 と「性格」の関係
腸内細菌叢が「不安・怒り・楽観・社交性」といった性格特性に及ぼす影響を、主要細菌の働きと食材との関係から体系的に整理しました。そして、楽観性・社交性を高め、不安や怒りを抑えるための腸内環境の整え方を、科学的根拠に基づいて解説します。
腸内細菌 体内で必要な水素(H2)は食物繊維から腸内細菌が作ってくれる
体内における水素の供給源は、腸内細菌である。平均的には、腸内細菌の約7割が水素を産生を可能にするヒドロゲナーゼという酵素を持っている。主な細菌は、フィルミクテス門に属するブラウティア属や、バクテロイデス門のバクテロイデス属であり、それらは嫌気性細菌である。これらの細菌を増やすには、大腸まで未分解のまま届く難消化性の食物繊維を食べる必要がある。
腸内細菌 指定難病のIgA腎症も腸内細菌叢が大きく関わっている
IgA腎症とは、腎臓の糸球体に免疫グロブリンA(IgA)が沈着して炎症を起こす慢性糸球体腎炎である。口蓋扁桃で異常なIgAが増産されることが引き金になると考えられており、治療のために口蓋扁桃の摘出が行われる。併せて、ステロイドパルス療法が行われる。しかし、腸内細菌叢が大きく関係しているという事実が明らかにされつつある。
腸内細菌 腸の調子が悪いと粘膜免疫の力が落ちる
鼻や口から侵入した病原体は、侵入部位粘膜の免疫担当細胞や、腸管のパイエル板に存在する免疫担当細胞を刺激する。その際、特定の腸内微生物が存在していることによってM細胞の活動が活発になり、樹状細胞を経てB細胞が活性化されやすくなる。その結果、B細胞は速やかにIgA産生形質細胞へと変化し、全身の各粘膜組織まで移動し、そこで分泌型IgAを産生する。
生命-進化 アミラーゼ遺伝子と体質の関係
ヒトのアミラーゼをコードする遺伝子のうち、唾液腺のアミラーゼをコードする遺伝子がAMY1 である。日本人の場合、AMY1 のコピー数は2~16個あたりまで広く分布しているが、4個の人や7個の人が比較的多い傾向が見られる。AMY1のコピー数が多い子どもは、早寝早起きであり、朝食をしっかりと食べる傾向が見られる。
皮膚常在菌 手を洗うと付着したインフルエンザウイルスが死ななくなる
洗わない手には、RNAウイルスであるインフルエンザウイルスの遺伝子RNAを分解する〝リボヌクレアーゼ〟が存在している。手を洗うとリボヌクレアーゼが洗い流されると共に、リボヌクレアーゼの産生を促していた細菌も洗い流される。結果として、手洗いは感染者を増やすことになる。
皮膚常在菌 手を洗うとバイ菌が付きやすくなる
健全な皮膚表面のマイクロバイオームは、病原性の高い微生物やウイルスの定着・増殖・侵入を防いでくれている。石鹸で丁寧かつ頻繁に洗う習慣を付けると、マイクロバイオーム・バリアやケミカル・バリアが失われるため、病原体の角質層への付着が容易になり、他人に広げてしまう(媒介してしまう)リスクが高まる。
呼吸器マイクロバイオーム あなたの体は常在ウイルスや常在細菌が守ってくれる
肺の健全な微生物叢が外来病原微生物感染を防ぐ。また、肺の健全なウイルス叢が外来ウイルス感染を防ぐ。ところが、不必要な消毒やワクチンの使用などの人為的介入が、常在微生物や常在ウイルスを無くしてしまい、感染症を増やす結果になっている。
腸内細菌 アルギニンは大腸内のポリアミンの原料である
口から放り込んだアルギニンや、タンパク質が消化されて生じたアルギニンは、その殆どは小腸で吸収されてしまうため大腸まで届かない。大腸にてアルギニンを生じさせ、大腸にてポリアミンを得ようとするのなら、例えばオカラに多く含まれる難消化性ペプチドを摂取することである。
腸内細菌 健康体を作るのは莫大な種類の土壌細菌たちである
良質かつ莫大な種類の細菌が居るのは、生物多様性の高い森林の土壌中である。子どもの頃に森林の土壌細菌を取り込むと、それが腸内細菌として登録され、定着し、その後は食べた植物質を餌として繫栄し、健全な心身を作ってくれる。
腸内細菌 花粉症を抑えるのも酪酸産生菌
花粉症を必要以上に激化させているのはヘルパーT細胞のうちのTh2の増加とTh1の減少である。その原因となっているのが、酪酸などの短鎖脂肪酸を産生する腸内細菌の減少である。アレルギー疾患を防ぐためには特に酪酸産生菌を増やすことが重要になる。
腸内細菌 大腸がんを防ぐための基本的な心構え
大腸がんの最大原因は、不適切な食事による腸内細菌叢の悪化である。これを防ぐには、食欲に負けないようにし、出来る限り、祖先が食べてきたような未加工・未精製の食材を選び、それと共に自然界の多くの細菌種を取り込むような生活を続けることである。
腸内細菌 腸内細菌は登録制になっているため最初が肝心
腸内細菌は大腸内に圧倒的に多く生息しており、大腸内では何割かが粘膜表層に在る粘液中に存在している。この粘膜中に居る細菌が常在細菌であり、免疫系によって登録・管理されている。その他の細菌は粘液中には潜り込めないように、IgAなどが防御に当たっている。
腸内細菌 大腸の粘膜細胞は腸内細菌がくれた酪酸をエネルギー源にしている
大腸内壁の粘膜細胞は、腸内細菌が排出した酪酸を主とした短鎖脂肪酸をエネルギー源にしている。その酪酸は、酪酸産生菌(酪酸菌)が作り出すものであるため、酪酸菌のエサとなる食物繊維を、しっかりと摂ることが必要である。
腸内細菌 腸内細菌を軽視した栄養指導や医療行為は悪である
「腸内細菌のために、これを食べてください」という指導は、めったに行われない。しかし、私たちが生きて行けるのは腸内細菌のお陰なのであり、間違った指導によって腸内細菌叢が不全になると、様々な疾患へと進行してしまうことになる。