冷酷無情のがん告知が、がんを作り重症化させる

冷酷無情のがん告知で本当にがんになり、その後の慢性ストレスで、がんが進行する。

 1950年代や1960年代では、高齢になってから亡くなられた人(65歳以上)を解剖して調べてみると、およそ15%の人にがんが見られたといいます。しかし、その人たちの死因の殆どは、がんではなかったということです。即ち、体内にがんがあったとしても、それが死因になっていた例は非常に少なかったというわけです。もっと短く言えば、がんで死ぬことは殆ど無かったということです。
 「そうなんですか? 今では、がんで死んでいる人が沢山いらっしゃいますし、3人に1人、更には2人に1人はがんで死ぬと云われているじゃないですか…」と思われる人が圧倒的多数でしょう。しかしそれは、実際にはがんで亡くなっているのではなく、多くは現代のがん医療によって亡くなっているのです。医療現場で献身的に働いていらっしゃる医師や看護師をはじめとした医療従事者の方々には少々申し訳ない気もするのですが、これが現実ですから仕方ありません。

 少なくとも1950年代や、それよりも前の時代では、今のような精密な検査機器や診断法がありませんでしたから、体内にがんがあっても見つかりませんでした。そのため、大抵の場合は体内にがんが在っても、知らないまま普通に生活していたのであって、それが良かったのです。また、がんである可能性が高いと判断された場合でも、本人にがん告知をすることは殆どありませんでした。何故なら、告知をすれば精神的ストレスが急に高まって、症状が悪化することが明らかであったからです。
 ところが現代は、遠慮なくがん告知し、余命何か月などという死の宣告までされるようになりました。一体なぜこんなことになってしまったのでしょうか…?

 背景には、様々なタイプの高額かつ精密な診断機器が開発されたことで、その開発費を回収するために機器を多く売りさばき、多額の使用料を取らなければならなくなったことが挙げられます。検査を受ける人の数も増やさなければならないですから、〝早期発見〟が重要であると啓蒙すると共に、〝がんは死ぬ原因になる非常に怖い病気ですよ〟と恐怖心をあおる必要性も出てきたわけです。
 併せて、様々なタイプの検査薬や検査方法が開発されてきましたから、それの販売や利用の促進をしなければなりません。定期健康診断を半ば強制とし、〝要精密検査〟などのような曖昧な判定を増やし、次の段階に相当する別の検査の受診率を高める方法が採られました。更に、高額かつ精密な診断機器を沢山使ってもらわなければなりませんから、〝更なる精密検査が必要〟という判定も行われるようになりました。そして、〝○○の疑いあり〟などの未確定っぽい表現にし、更に高額かつ特殊な検査を受けなけらばならない仕組みまで作り上げられました。いわゆる〝検査漬け〟になる時代が到来したわけです。

 その間、様々なタイプの抗がん剤も多く開発されてきました。これは、本人が死のうが生き延びようが関係なく、がん組織が少しでも小さくなれば〝有効〟だと判定し、認可されるようになりました。このような判定を可能にするためにも〝がんは必ず死ぬ病気である〟ことが常識だと教え込まれたわけです。
 有効性を判断する場合の期間については、〝5年生存率〟とうものが採用されるようになりました。なぜ5年なのかというと、6年目には薬剤耐性を獲得したがん幹細胞が再び活動を再開する時期だからです。仮に〝6年生存率〟とか〝7年生存率〟を見てしまうと、抗がん剤は全く効かないことになります。
 また、抗がん剤の有害作用によって死に至ることは百も承知なのですが、診断書の死因の欄には〝○○がん〟と書けばよいことにしておけば、責任を問われることはありません。〝いずれ死に至る病なのですから…〟などという言い訳が成り立つ社会に仕立て上げられていますから、製薬企業も医師も安心して抗がん剤を使うことが可能になっています。

 振り返るならば、半年ほど前に、一般的な健康診断を受けた結果として〝要精密検査〟という結果を見た直後から悲劇がスタートすることになります。最初に起こる現象は、掲載した図(高画質PDFはこちら)の左下に引用したようなものになります。
 即ち、来る日も来る日も〝要精密検査〟という検査結果が気になり、不安と緊張が続く毎日となります。その時点で良性の腫瘍であったとしても、常に過剰になっている糖質コルチコイド、アドレナリン、ノルアドレナリンが、腫瘍の悪性化と増殖を促すことになります。
 何週間か後に受けることになる次の段階の検査に至るまでには、悪性化した腫瘍は急成長を始めているため、〝がんである疑い〟も急速に高まっていくことになります。図の右上に引用しましたのは、がん細胞が増殖して組織を作っている、いわゆる〝腫瘍微小環境〟であり、実際には各種の免疫系細胞ががんの増殖をバックアップするように働いて共存していますので、〝腫瘍免疫微小環境〟と呼ばれることもあります。
 ここでは、アドレナリン、ノルアドレナリン、糖質コルチコイドが、各種の免疫系細胞を変化させる様子が描かれています。詳細は割愛しますが、慢性的となった過剰な精神的ストレスが、腫瘍免疫微小環境に存在している好中球、単核細胞、マクロファージに働いて炎症を慢性化させます。また、生体防御の方向に働いているNK細胞、樹状細胞、各種のT細胞の働きが減弱化されます。併せて、免疫を抑制する方向に働いている各種の免疫細胞の機能が高められます。これらによって、がんの進行が促進されることになります。
 
 以上のように、高額な医療機器、多種類の検査システム、高額かつ多種類の抗がん剤が、一人でも多くの人に使われるように、健康診断からスタートさせる綿密な利益獲得システムが運用されているわけです。これに協力するのか、自分の健康は自分で守るのか、最終決定権はあなた自身にあります。そして、慢性的ストレスから解放されれば、がんは必ず回復に向かうということです。

 
執筆者
清水隆文

( stnv基礎医学研究室,当サイトの keymaster )
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