薄毛の対策(育毛)にはエプソムソルト(硫酸マグネシウム)が有効

薄毛の対策(育毛)にはエプソムソルト(硫酸マグネシウム)が有効。

 これまでに「高価な育毛剤を試してみたが効果が得られなかった」とか、「もっと手軽に髪の毛を増やす方法はないのか」などと思われている方は決して少なくないと思います。そこで、非常に安価かつ有効な方法をご紹介しようと思います。
 結論を先に言えば、〝毛根にまでマグネシウムを行き渡らせる〟ことであり、その手段として〝硫酸マグネシウム(エプソムソルト)〟の粉(結晶の集合体)を水に溶いて、洗髪前の数十分ほど前に頭皮に滴下して擦り込み、その後に洗髪する、という方法になります。

 エプソムソルトについては美容サロンでも用いられていますし、入浴剤としても結構普及していますので、ご存じの方も多いことと思われます。また、その本体である硫酸マグネシウムは製塩時に副産物として得られるものですので、非常に安価です。だからこそ、入浴剤としてたっぷりのお湯に投入するような使い方もできるということになります。

 育毛に使う場合の濃度ですが、入浴剤として使う場合に比べてかなり濃くすることが可能です。多くの場合、物質は濃度の濃い場所から薄い場所へと移動しますので(均質になろうとしますので)、頭皮に振りかけて毛穴から毛根部分にまでマグネシウムを効率よく届けようとするならば、薄いよりは濃いほうが効率が良くなります。もちろん、あまりに濃いと、頭皮の水分が溶液のほうに逆流することになりますから、程良い濃さにするのが適切であると考えられます。
 〝生理食塩水〟というものについては多くの人が知り得るものですが、これは9グラムの塩化ナトリウムを水に溶かして1リットルにしたものです。濃度としては0.9%になりますが、この濃度が体液の浸透圧に等しくなるということです。そして、今回ご紹介します育毛のための溶液は、約13グラムのエプソムソルトを水に溶かして1リットルになるようにします。濃度としては1.3%だということになります。
 13グラムの根拠についてですが、これは平均的な海水中に占めるマグネシウム濃度に合わせています。計算の過程については図中(高画質PDFはこちら)に示しておきましたので、ご興味があれば概観していただければと思います。ただ、あまり厳密に考える必要はなく、頭皮に振りかけた後、室内が乾燥していれば水分が蒸発して濃くなるでしょうし、汗が噴き出ているような暑い環境下では汗で薄まることになるかもしれません。従いまして、溶液を作るときも、そんなに厳密に考える必要は無いと言えます。あくまで、目安とお考えください。

 先にupした記事に書きました〝塩化マグネシウム(にがり、ニガリ)〟との使い分けについてですが、異なるのは、水に溶けた時に生じる陰イオンの種類の違いだけです。塩化マグネシウムならば水に溶けたときには塩化物イオン(Cl-)が生じるのに対して、硫酸マグネシウムでは硫酸イオン(SO4-)が生じます。
 体液中には塩化物イオンのほうが圧倒的に多く、それは図の左下にも示したように海水中でも同様です。また、胃液中には塩化物イオンが多量にあります。即ち、体内にも海水中にも塩化物イオンは多いけれども、硫酸イオンは非常に少ないということです。そのため、サプリメントとして口から摂取する場合、塩化物イオンのほうが種々の影響力が少ない可能性があります。もちろん、サプリメントとして摂る総量が少ないですから、実際のところは殆ど気にする必要は無いと言えます。
 一方、頭皮を含めた皮膚や髪の毛への影響を考えると、塩化物イオンが与える影響を考慮する必要があるかもしれない…、ということです。例えば、塩素ガスを水に溶かしても塩化物イオンが生じるわけですが、塩化物イオンは一価の陰イオンで、硫酸イオンよりも反応性が少し高いことが気になります。もちろん、高濃度でなければ問題は無いのですが、どちらを選ぶのが無難なのかと言えば、硫酸イオンのほうに軍配が上がる、ということになります。

 女性の場合の薄毛は、男性型脱毛症とは違ってジヒドロテストステロンの影響はあまり考えられませんから、やはり毛根部分の健全度に何らかのトラブルが起こっているのだと考えられます。巷では種々の解説がされていますが、海外に比べてマグネシウム不足が採り上げられることは非常に少ないです。こんな安価なもので育毛できるとなれば、育毛剤市場が崩落するかもしれない…ということで、日本の場合は頑張って隠してるような気がします。

 
タイトルとURLをコピーしました