人は、何を追い求めて生きるのが最も良いのでしょうか…。まぁ、人によって考え方、人生観は異なるでしょうから、決めつけることは出来ないと思います。ただ、自然の摂理というものがあり、それは神の思し召しであるとも言えます。自然の摂理に合致した生き方をしている人は、その判定を神が行い、それに見合った人生を与えるのではないかと思われます。
これからご紹介しますデータは、「人生観と死亡リスクとの関連」が解析されたものです。調査対象者は、宮城県の大崎保健所管内に居住する40歳から79歳までの国民健康保険加入者全員、即ち約5万人（51,253人）で、内訳としましては男性が24,573人、女性が26,680人です。そして、「あなたが人生で大切だと思うものを3つ選択してください」という課題に対して回答してもらっています。
先ず、その回答の集計結果が、掲載しました図（高画質PDFはこちら）の左側の表に掲載されているのですが、上記において「大切だと思うもの3つ」に選ばれたものが「はい」としてカウントされていて、それ以外の項目については「いいえ」としてカウントされています。このうち、「はい」のカウントだけを採り上げて集計したものが、図中の中央右寄りの表の上段です。
最も「はい」の回答が多かったのは「健康」でした。即ち、「あなたが人生で大切にしているものは？」と聞かれた際に最も多くの人が選んだのが「健康」だったということです。そして、そのように答えた人は、51,253人中の45,617人でしたので、全体の89.0％だったということです。
同様に2位以下を見ていきますと、「家族」を選んだ人が74.4％、「仕事」が39.4％、「金銭」が38.5％、「友人」が13.1％、「趣味」が13.0％、「余暇」が6.3％、「その他」が0.8％、「地位」が0.2％、「名誉」が0.2％という順になりました。なお、「地位」や「名誉」を選んだ人が少なかったのは、対象者が国民健康保険加入者であったことが大きな原因であると思われます。一般企業や公務員など、大きな組織に所属している人が対象者であれば、「地位」や「名誉」を選んだ人の割合はもっと多くなると思われます。
次に、この回答者を12年間にわたって追跡調査し、その間に死亡した人の数がカウントされました。図の左側の表の左端に「死亡者数」の数字が並んでいるのですが、上記と同様に「はい」のカウントだけを採り上げて集計したものが、図中の中央右寄りの表の下段です。
その結果、死亡率が最も高かったのが、「名誉」を選んでいた人たちでした。即ち、「あなたが人生で大切にしているものは？」と聞かれた際に「名誉」を選んでいた人たちの死亡率が最も高く、12年間で27.5％の人が〝お亡くなりになった〟ということです。
第2位は「地位」を選んでいた人たちで、24.2％の人がお亡くなりになりました。
逆に、最も死亡率が低かったのは「仕事」を選んでいた人たちで、死亡率は10.5％でした。この10.5％と上記の27.5％の差は、けっこう大きいと捉えて間違いないでしょう。
次に死亡率が低かったのは「家族」を選んでいた人たちで、死亡率は13.2％、その次に死亡率が低かったのは「健康」を選んでいた人たちで、死亡率は13.4％でした。
「意外に…」と思われるのは、「趣味」を選んでいた人たちの死亡率があまり低くはなかったことです。このことは、「趣味」を大切にするよりは「仕事」を大切にした方が死亡率が下がるということです。例えば、定年退職した人が趣味に没頭するよりは、何らかの仕事に没頭する方が死に難いということになります。なお、その他の項目につきましては、表をざっと見て頂ければと思います。
以上をまとめておくと、次のように言えるでしょう。
★「名誉」を追い求めた人たちの死亡率が最も高かった。人は、そのようなもののために生きるべきではないと考えられる。
★次に死亡率が高かったのは「地位」を追い求めた人たちであった。人は、そのようなもののために生きるべきではないと考えられる。
★逆に、死亡率が最も低かったのは「仕事」を大切にしてきた人たちであった。人は、世のため人のために仕事をしていると、神はその人を長生きさせようとする。
★その次に長生きしたのは「家族」を大切にしてきた人たちである。人は、家族を大切にしながら、懸命に仕事をするべきであろう。
