老化の原因と対策 ~概略編~

抗老化(アンチエイジング)の方法

 これまでに〝抗老化(アンチエイジング)〟を主テーマとした記事は6本ほどupしてきておりますが、このたび、全貌を示す図(高画質PDFはこちら)をグレードアップしましたので、それを元にして抗老化対策の概略を紹介したいと思います。
 なお、この図(表)の使い方としましては、抗老化対策の全貌を把握したり、実践出来ているものと出来ていないものをチェックしたり、などに使っていただければと思います。今日のところは、もちろん詳細にまで触れられませんので、今後、これを基にして個々の対策について詳しく紹介していこうと思っています。

 では、図の概説に移りたいと思います。図の左側の部分には、老化の原因であると考えられるものを挙げています。即ち「なぜ老化するのか?」という疑問に対する答えに相当するものです。
 一つ目は「加齢に伴って減少/低下していくものがある」からこそ、それが老化の原因の一つになっているということです。二つ目は「加齢に伴って減少傾向を示すものがある」からこそ、それも老化の原因になっているということです。三つめは逆に「加齢に伴って増加していくものがある」からこそ、それが老化の原因になっているということです。四つ目は「寿命プログラムが勝手に進行する」ということです。

 ヒトという種には、最長でおよそ120年という寿命が遺伝子にプログラムされているわけですが、多くの人はそれよりも早く亡くなられていきます。何故そんなに早く亡くなられていくのかと言えば、老化するからだと言えるでしょう。もし、ヒトが老化せずに済むとしたら、119年目までは若々しく元気溌剌であり、120年目に達したときに急にポックリ逝ってしまう、という人生になるはずです。もちろん、それまでは若々しくて元気溌剌ですから、病気などは一切無しです。
 ところが現実は、個人差も大きいですが、年齢を重ねるにつれて色んなものが変化していくことが多いわけです。成長や進歩に相当する変化なら良いのですが、多くの場合は機能が衰えていくような変化になっています。その結果、健康が保てなくなって病気に罹りやすくなります。これは、本人にとっても身内の方にとっても非常に辛いことですので、そのように変化していくものの各々を変化させないようにすれば、老化を食い止めることができるはずです。

 どうすれば良いのか…? 早い話が、減っていくものが判りさえすれば、それを補充してやれば良いわけです。逆に、増えていくものが判りさえすれば、それを取り除いてやれば良いわけです。そのような考え方の元に、減ったり増えたりするものを虱(しらみ)潰しに拾い上げたのが、図の左から2列目の項目です。
 ちょっと、上から見ていくことにしましょう。減少(または低下)していくものの一つは、「壊れたものを修復する能力」です。若い頃はすぐに治ったのに、今では直ぐに治らなくなった…という実感をお持ちの方がいらっしゃることでしょう。
 二つ目は「体内成分を生合成する能力」です。例えば、お肌のコラーゲンやエラスチンやヒアルロン酸を生合成する能力が低下することによって皺や弛みが生じて年齢相応の顔になっていきます。ただ、その能力が低下し難い人は、年を重ねても随分と若々しい顔をされています。
 三つ目は「減少していく体内成分」です。様々な成分が減少するなかで、特にこの物質の減少が老化の大元の原因になっていると考えられるものを4つ挙げました。すなわち、NAD、AMP/ATP比率、スペルミン、タウリンです。このうち、NADの減少に対する対策の一つとして、先に『肌を若返らせる方法の一つはニコチンアミドの適用』を紹介いたしました。また、AMP/ATP比率に関連するものでは『糖尿病治療薬であるメトホルミンは優れた抗老化薬である』にて紹介しました。スペルミンについては『アンチエイジングの全貌とポリアミンについて』で紹介しました。タウリンについては『健全な若者でも別途補給しなければタウリン不足になる』にて紹介しました。対策は他にもありますので、別に機会にでも紹介させていただきます。
 四つ目は「栄養素を吸収する能力」です。抗老化の面で特に強調したいのは、消化の過程からの能力低下になるのですが、タンパク質をペプチドやアミノ酸にまで消化して吸収する能力の低下が気になります。高齢者の中には、歳を取ったらご飯と味噌汁と野菜だけでよい、などと思っている人の割合が高いように思われますので、それが老化を促進させる一因になっていると考えられます。

 次の段には「加齢に伴って減少傾向を示すもの」として「エネルギー消費量」「筋肉量」「脳内の神経細胞」の3つを挙げました。これらは、体の使い方次第で増減を自由にコントロールできたり、頭の使い方次第で部分的な増加をも達成できますので、心がけ次第だということになります。なお、筋肉量につきましては『肌の若返りにはレジスタンストレーニングの方が有効』、脳の神経細胞と栄養素については『特にニューロンにとってDHAは極めて必須の脂肪酸』にて触れています。

 その下の段には「加齢に伴って増加していくもの」として、一つは「壊れて修復できなかったもの」で「遺伝子(DNA)、タンパク質」を挙げました。二つ目は「余計な変化をしたもの」として「終末糖化産物」と「過酸化物」を挙げました。三つめは「老化した免疫細胞、その他細胞」、四つ目は「慢性的な炎症」を挙げました。これらの多くは、既にupした記事において概ね紹介した感じですが、老化細胞除去のためには『長寿のハダカデバネズミも老化細胞を完璧に除去していた』においてケルセチンを紹介いたしました。また、慢性炎症につきましては、『必須脂肪酸の摂取比率は理想的になっていますか?』や『油物はリノール酸過多によって病気を作る』にて、最も重要だと思われる事柄を紹介させていただきました。

 図の最下段には「寿命プログラムが勝手に進行する」を挙げましたが、そのプログラムの進行速度は後天的に微調整が可能だと考えられますので、対策につきましては、回を改めて紹介しようと思います。

 次に、図の右側に挙げたのが「対策」であり「抗老化の方法」になります。このなかで、NAD関連の部分だけが黒文字になっていますが、この表現だけでは解り難いので、その右側に具体的な対策を挙げました。また、その具体的な対策は、他の事柄の対策にもなっていますので、関連するものを線で結んでおきました。
 結局、赤色の文字だけを目で拾っていただければ、それらが全ての対策だということになります。早い話が、赤色の文字だけを拾い上げて適当に順番を整理して表を作れば、抗老化対策のチェック表が出来上がる感じです。
 今日は、新しく作った図(表)を紹介するのが主目的だったものですから、まだ詳細を紹介していなかった事項につきましては、後日に記事にしようと思います。

 
執筆者
清水隆文

( stnv基礎医学研究室,当サイトの keymaster )
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