油物はリノール酸過多によって病気を作る

油を使った料理には、多量のリノール酸 が含まれている。

 今回の記事は、先にupしました『必須脂肪酸の摂取比率は理想的になっていますか?』の続きとして書きます。因みに、現代において平均的な食事をしていると、リノール酸過多(ω6系脂肪酸の過多)、及びα-リノレン酸不足(ω3系脂肪酸不足)に陥ります。その結果として、アレルギー、過剰な炎症反応、慢性炎症、各種臓器の機能低下、脳の機能低下、老化の促進、各種の生活習慣病が起こるようになります。これを防ぐためには、α-リノレン酸の含有率が50%を超える油としてエゴマ油または亜麻仁油を、別途、1日に2~3グラム程度を摂取する必要があります。併せて、リノール酸とα-リノレン酸の摂取比率が、ω6系の脂質メディエーターとω3系の脂質メディエーターの比率に繁栄されてしまいますから、油ものを多く食べてしまってω6系の摂取量が多くなってしまった時には、それに合わせてω3系を追加してやる必要があります。

 さて、今回の本題ですが、いわゆる〝油物(あぶらもの)〟に使われる油には、一体どれだけ多量のリノール酸が入っているのか、そして、α-リノレン酸は本当に入っていないのか…、ということについて確認しておこうと思います。
 掲載しました図(高画質PDFはこちら)の左側には、某給食センターの超大型フライヤーにて揚げ物が作られているシーンを引用させていただきました。作業をされている方々は、少しでも美味しく食べてもらおうと、油の品質管理には大いに気を遣ってらっしゃることと思います。
 その下の写真には、学校給食にて特大の美味しそうな唐揚げが出されている例を採り上げてみました。子どもたちは大喜びだと思われますが、大脳が一時的に喜ぶだけであって、後に少々の悲劇が襲ってくることになります。

 では、このような業務用のフライヤーで使われる油には、一体どのような種類のものがあるのかについて見てみることにしましょう。一般的によく使われているのは、キャノーラ油(菜種油)、大豆油、米油、コーン油(トウモロコシ油)、パーム油(ヤシ油)、綿実油、ベニバナ油(サフラワー油)、ヒマワリ油、或いは、その幾つかを調合したもの、などのようです。油の選ばれ方については、図の右上に一例を示しましたが、食材によって、或いは料理人の嗜好によって、または経費的な条件によって選ばれることになります。
 次に、脂肪酸組成を比較したグラフを引用させていただきましたので、ポイントのみ確認していきたいと思います。少なくとも業務用で揚げ物を作るとき、上述した油のどれかが使われることになるのですが、注目していただきたいのは、水色の棒で示されている〝リノール酸〟と、紫の棒で示されている〝α-リノレン酸〟の比率です。ご覧になって如何でしょうか…?概観してみるならば、リノール酸が随分と多く含まれていることが分かります。
 一方、グラフの上2段に示されている〝えごま油〟や〝亜麻仁油〟と比較してみれば、それ以外の油との大きな違いが目に飛び込んでくるはずです。半分以上をα-リノレン酸が占めており、それに対してリノール酸の割合は少ないです。本来、このような油におけるリノール酸とα-リノレン酸の摂取比率のものを摂取していれば、アレルギーや過剰な炎症などのトラブルは避けられるはずです。
 揚げ物に使うには…?という疑問につきましては、えごま油や亜麻仁油は単価が高いことと、リノール酸の二重結合は2ヵ所(18:2)ですがα-リノレン酸の二重結合は3ヵ所(18:3)ですので、更に酸化されやすいものになります。そのため、現実問題として揚げ物に使うことは難しくなります。

 油で揚げるという調理方法は、人類が編み出した優れた調理方法だと言えるかもしれません。ただ、給食、食品売り場に並べられている油物、飲食店に行って出された油物が、一体どのような油で揚げられたものなのかが判りません。リノール酸の含有比率が50%を超える油が使われているのかもしれませんし、10%程度のものなのかもしれません。ただ、大抵は、お客様の健康を考えるよりも、お客様に美味しく食べてもらいながらも安価に済ませることができる油が選択されますから、それが大きな問題でしょう。たまに食べるという場合でしたら、あまり多くを食べず、食べた後には、いつもより少し多めに、えごま油または亜麻仁油を摂取していただければと思います。

 
執筆者
清水隆文

( stnv基礎医学研究室,当サイトの keymaster )
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