霊芝の効能に関する最新のレポート

霊芝の効能に関する最新のレポート

 「霊芝(れいし)」(和名:マンネンタケ (万年茸)、学名:Ganoderma lucidum Karst)をご存じの方も、そうでない方もいらっしゃることでしょう。何はともあれ、現物の写真を見て頂くことにしましょう。掲載した図(高画質PDFはこちら)の左端の写真が「霊芝」です。
 この写真は、私が地元の林を散策しているときに偶然に見つけたものを撮影したもので、撮影年は2016年です。「幻のキノコ」と呼ばれるように、滅多にお目に掛かることのないキノコですので、驚くと共に写真に収めました。そして、基本的には地上部(子実体)は一年生であって、来年また生えてきますので、その地上部を1本だけ戴いてきました(^^;
 他の場所で見つけたこともあるのですが、この写真のものはかなり大きなサイズです。比較のために並べて置いた缶ビールは350mlのサイズですので、おおよその大きさが分かると思います。
 今では〝マンネンタケ科〟に分類されていますが、以前はサルノコシカケ科に分類されていました。そのことから分かりますように、触り心地はサルノコシカケ科のキノコのように硬くて、水分量が少ないですから、大きさの割には軽いです。
 一般的なサルノコシカケ科のキノコとの外観の違いは、柄の部分が有ることや、柄や傘の表面に光沢があることです(この写真のものは埃をかぶっていますので、磨けば艶々になります)。

 霊芝は、特に中国においては古くから珍重されていて、後漢の時代(西暦25~220年)にまとめられた『神農本草経』には「上品(じょうほん)」として収載されています。なお、「上品」といいますのは、長期にわたって服用しても副作用が少なく、健康維持や体力増強に役立つとされる生薬のことを指します。霊芝の他には、例えば、人参、甘草、ハトムギ(ヨクイニン)、ゴマなどが上品に分類されています。
 因みに、「中品」は「上品」よりも、やや副作用の有る可能性があり、長期連用には注意が必要な生薬です。例えば、風邪薬などに配合される葛根、麻黄などが中品に分類されています。また「下品」は作用が強く、毒性もそれなりにある薬です。従いまして、長期服用は避けるべきであって、西洋医薬の多くは下品に分類されることになります。

 では、霊芝には実際にどのような効能(或いは、薬理作用)が有るのかというと、それは次のようです。図の右半分には、2025年にまとめられたレビュー論文に掲載されている図を引用させて頂きました。それを原図として、後から様々なことを書き込んでしまったのですが、図の上の方に赤色の文字にて書き込んだのが霊芝の効能です。それらを羅列すると次のようになります。なお、互いに関連の深いもの同士を隣に並べるようにして順番を入れ替えます。
 免疫賦活、抗ウイルス、抗がん、抗高血圧(血圧の正常化)、抗血液凝固(血栓の予防)、抗心血管疾患、抗アレルギー、抗炎症、抗酸化、抗老化、肝保護、抗糖尿病、不眠の改善、記憶力の向上、などとなります。

 また、どのような成分が上記のような効能をもたらしているのかというと、一言で言えば、霊芝というキノコそのものが効くということです。即ち、霊芝から分離される個々の含有成分が相乗的に作用し合うことによって、そのような薬理的な効果を発揮するということです。
 実は、私はかつて、霊芝に含まれる有効成分の単離を試みたことがあったのですが、霊芝の抽出物を性質の違いによって細かく分けていくと、ある段階までは薬理活性が高まることが多いのですが、それ以上細かく分けていくと逆に薬理活性が低下していくことが多かったのです。結局、複数の成分が一緒になっていることによって、例えば抗アレルギー作用が見られたり、血圧低下作用が見られたり、抗がん作用が見られたりする、ということです。言い換えるならば、霊芝の中から有効成分だけ取り出して薬として使えば効果が高まる…などという考えは持たないほうが賢明だということです。要するに、丸ごと使うからこそ、効果が発揮されるということです。
 因みに、図の下方に含有成分の主な種類が挙げられていますが、例えばこのような種類のものが含まれているということです。その中で、霊芝に最も特徴的な成分だと言えるのはトリテルペノイドで、その右側に挙げておいたガノデリン酸やルシデニン酸のようなものが代表的です。ただ、これらを単離して薬理活性を調べても、あまり強い作用は確認できないということです。やはり、このようなテルペノイドも、他の色々な成分と共存していることによって、上記のような薬理作用を示すのだと言えるわけです。
 
 さて、そのような素晴らしい効果を発揮する霊芝なのですが、天然品は非常に少ないですので、各地で人工的な栽培が行われています。現在、健康食品市場に出回っている霊芝の殆どは、栽培された霊芝です。そのままの姿で売られていたリ、刻んだものや、粉にしたものが売られていたり、抽出したエキスをカプセルに詰めたものや、エキスを配合した化粧品など、様々な商品が出回っています。一度、検索していただければ、本当に色々なものが出回っていることを確認できると思います。
 お勧めを挙げるとすれば、丸ごとを粉にしたもの(パウダー)をそのまま使うことです。子実体(キノコ)を丸ごとを買って、お家で粉にしても良いでしょうし、最初から粉にして売っているものでも結構でしょう。そうすることによって、子実体を構成している不溶性の繊維質(キチン質やβ-グルカン)をも大腸内に入れることが可能になりますから、そのほうが健康効果が高まると考えられます。
 なお、ホワイトリカーなどに浸けて、成分が溶け出したお酒の部分だけ飲むという方法もあるのですが、繊維質をはじめとして溶け出さない成分が多くありますので、もったいない感じがします。或いは、熱湯で煎じ、その煎じ汁だけ飲む方法もあって、それはけっこう苦くて有難味があるのですが、上記同様にもったいない感じがします。

 以上、霊芝は、ビタミンやミネラル、そして、これまでに当ブログにて紹介してきました各種のファイトケミカルのように、必ず摂らなければならないものと言うよりは、更なる健康長寿(仙人のようになれる)を実現させるための〝秘薬〟のような捉え方で、経済的に余力があるのであれば愛用するに越したことは無い、という感じのものになります。先に冬虫夏草の紹介をしましたが、それも同様の扱いで結構だと思います。

 
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執筆者
清水隆文

( stnv基礎医学研究室,当サイトの keymaster )
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