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雨の前と雨の時に起こる心身の変化と対応策

雨の前と雨の時に起こる心身の変化と対応策

◆ はじめに
 雨が近づくと、次のような心身の変化を来す人がいます。それは例えば、気分の落ち込み、イライラ、集中力低下、強い眠気、疲労感、全身のだるさ、頭痛・片頭痛の増悪、めまい、耳鳴り、肩こり、首の張り、神経痛(坐骨神経痛・末梢神経障害など)の悪化、関節痛、腰痛、古傷の痛みの再燃、胃腸の不調(腹部の張り・消化不良など)などです。
 このような心身の変化は決して珍しいものではなく、気圧、空気の密度、湿度などの環境条件が変わり始めるときに、多かれ少なかれ、多くの人の体で起きている現象です。それでも、自分だけが特にそのような反応をしやすいのではないか…、と感じてしまう人がいます。しかし実際には、環境条件の微細な変化を、あなたの身体が正しく受け取っているだけなのです。
 敏感であることは壊れやすさではなく、環境の変化を感じ取る感受性のひとつです。もし、雨の前に、上記のような不具合でお困りの方がいらっしゃるならば、その感覚を否定する必要はありません。あなたの心身は、環境の変化にしっかりと反応し、環境とつながっている証拠なのです。

◆ 雨の前に起きている“静かな環境変化”
 雨が近づくと、まず気圧がゆっくりと低下し、それに応じて空気の密度がわずかに減少し、湿度が上昇します。
 気圧の低下は空気分子が地表や体表を押す力を弱め、空気密度の減少は単位体積あたりに含まれる空気分子の量を減らし、湿度の上昇は空気中の水分量を増加させます。これらの変化は互いに関連しながら進行し、空気の流れ方、温度の保持性、音の伝わり方など、周囲の環境特性に静かな変化をもたらします。
 このような、先行する環境変化が積み重なることによって、私たちの身体や生き物たちの行動が、雨の前から環境条件の変化の影響を受け始めるのです。

◆ 生き物たちは、この変化をどう感じているのか
 雨の前に生じる気圧の低下、空気密度の減少、湿度の上昇といった環境条件の変化は、生き物たちの行動に明確な影響を及ぼします。
 ツバメは、湿度上昇と空気密度の変化によって飛翔する昆虫の高度が低くなることに応じて、自らの飛行高度を下げます。アマガエルは、気圧低下と湿度上昇に敏感であり、これらの変化に反応して鳴き声が増加します。ミミズは、土中の酸素量が湿度上昇によって低下することに応じて地表へ移動します。植物では、湿度の上昇により揮発性有機化合物が空気中に放散されやすくなり、いわゆるペトリコールと呼ばれる雨の前の特有の香りが生じます。
 このように、生き物たちは環境条件の変化をそれぞれの感受性によって受け取り、雨が降る前から行動や生理反応を変化させています。

◆ ヒトもまた、環境の変化に反応する生き物
 雨の前に生じる気圧の低下、空気密度の減少、湿度の上昇といった環境条件の変化は、ヒトの生理機能にも影響を及ぼします。
 内耳は気圧差に敏感であり、気圧の低下によって外リンパと内リンパの圧平衡が変化することによって、前庭神経や蝸牛神経が刺激され、頭痛やめまい、耳鳴りが生じやすくなります。
 自律神経系は環境変化に応じて調整を行うため、気圧や湿度の変動によって交感神経と副交感神経の均衡が変化し、その均衡変化によって脳血流や内臓血流の分配が変動し、全身の代謝活動が低下することによって倦怠感や気分の低下が生じます。
 血管は気圧の低下によって外圧が減少するため拡張しやすくなり、その拡張によって三叉神経系が刺激されることによって片頭痛が生じやすくなり、血流変動に関連する症状が増悪します。
 炎症感受性は気圧や湿度などの環境条件の変化によってサイトカイン産生に変動が生じ、その変動によって関節痛や神経痛、古傷の痛みが再燃しやすくなります。
 このように、ヒトの体は環境条件の変化に対して生理学的な反応を示し、雨が降る前から多様な変化が生じるのです。

◆ 雨の前の嫌な症状を緩和する方法
 雨の前に生じる気圧の低下、空気密度の減少、湿度の上昇といった環境条件の変化に対応して出現する症状を、緩和するための方法はいくつかあります。
 内耳の圧平衡変化に関連する頭痛やめまいに対しましては、耳周囲や側頭部の温罨法(温めて血流を促す方法)によって血流を改善する方法や、深呼吸によって自律神経の均衡を整える方法が有効です。
 自律神経の変動に伴う倦怠感や気分低下に対しましては、軽度の有酸素運動によって脳血流と全身の代謝活動を安定させる方法が有効です。
 血管拡張に関連する片頭痛に対しましては、カフェインの少量摂取によって血管収縮を促す方法や、規則的な水分補給によって血流変動を抑制する方法が有効です。なお、もっと本格的な対策につきましては『片頭痛の根本的解決法はこれである<後編>』をご覧ください。
 関節痛や神経痛の再燃に対しましては、温罨法や軽度のストレッチによって局所血流を改善する方法が有効です。
 炎症感受性の上昇に対しましては、十分な睡眠と抗炎症作用を持つ食品(ω3系脂肪酸、緑茶などに含まれるファイトケミカル)の摂取によって症状が軽減しやすくなります。
 このような方法は、雨の前に生じる生理学的変化に対して身体の反応を安定させ、症状の増悪を抑えることに役立ちます。

◆ 雨の日が“少し好きになる”科学の小話
 雨を嫌なものだと思うと、雨が降る前も憂鬱な気分になって悪循環を生じやすくなるでしょうし、逆に、雨が好きだから早く降り出してほしいと思っていると、雨の前の気分もウキウキしたものになるでしょうから症状が出にくくなると考えられます。そこで、雨を少しでも好きになってもらいたいと思います(笑)
 実際に雨が降り始めると、それによって特有の感覚体験が生じます。先ずは、何と言っても雨の音でしょう。頑丈なビルディングの中に居ると雨の音が聞こえないかもしれませんが、外に出れば雨水が発する超高周波音(超音波)が、全身に降り注ぎます。そして、心身に計り知れない健康効果をもたらします。具体的には『生命信号を浴びると心身の機能が高まる』、『確率共鳴は脳や神経系の能力を高めることになる』、『ヒトは耳で超音波を拾うことが可能である』、『どのような生活をすると癌(がん)になるのかは一目瞭然』などをご覧ください。
 他にも、湿度の上昇は空気中の微粒子による光の散乱を減少させることによって、植物の緑色や土壌の褐色が通常よりも濃く見えます。
 雨粒が地表に落下すると、植物や土壌微生物が土壌中に放出した揮発性有機化合物(VOCs)が空気中に拡散しやすくなり、いわゆるペトリコールと呼ばれる雨特有の香りが生じます。
 湿度の上昇は、空気中の水蒸気の割合が高まることによって音の吸収が減少し、鳥の声や生活音が通常よりも明瞭に聞こえることがあります。
 雨によって大気中の浮遊粒子が除去され、空気が清浄化され、呼吸時の刺激が低減されます。
 このような環境条件の変化は、雨の日に特有の視覚・嗅覚・聴覚の変化、日常とは異なる感覚体験、種々の健康効果をもたらします。

◆ まとめ
 雨が近づくと、気圧の低下、空気密度の減少、湿度の上昇といった環境条件の変化が先行して生じ、それらの変化によってヒトの内耳、自律神経、血管、炎症感受性が影響を受けることによって、頭痛、めまい、倦怠感、片頭痛、関節痛などの多様な症状が現れやすくなります。
 しかし、これらの生理学的変化は適切な対処によって緩和することが可能であり、雨が降り始めてからは、雨水が発する超高周波音による生体機能の活性化、湿度上昇による色彩の変化、揮発性有機化合物による香りの発生、音の明瞭化、大気清浄化など、雨特有の感覚体験が生じます。
 雨の前に生じる身体の変化と、雨が降ってから生じる環境の変化の双方を理解することによって、雨の日を過度に恐れる必要がなくなり、雨を日常の中の一つの自然現象として受け入れやすくなります。

水瀬あかり

水瀬あかりのひとこと

 こんにちは、水瀬あかりです。
 今日のお話では、雨の前に起こる体の変化と、その変化を少し楽にするための方法、そして雨が降り始めてから生じる変化を見てきました。気圧や湿度の変動に身体が反応するのは自然なことで、その仕組みを知っておくと、いつもの不調も理解しやすくなります。
 また、雨が降り始めると、空気が澄んだり、色が深く見えたり、雨水が発する超高周波音が心身の働きを高めてくれたりと、色々と良い変化が起きます。そして、そのような変化に気づけると、雨の日の印象が少し変わるかもしれません。
 どうか、ご自身のペースで、今日のお話の中から取り入れやすいものを選んでみてくださいね。雨の日が、これまでより過ごしやすい時間になりますように。

 
執筆者
清水隆文

( stnv基礎医学研究室,当サイトの keymaster )
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