写真撮影現場に至福のジャズが流れた

写真撮影現場に至福のジャズが流れた
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今回のアイキャッチ画像(高解像度版)
佐伯みのり
◆ 第34話 ── Astrea Music の顔が誕生した日

昨夜、みのりは、高原教授から、キーボードで即興演奏している時の脳活動をMEGで撮影する予定であることの連絡を受けた。
(……大学かぁ… …実際… どんな世界なんだろう…)
(……でも…なぜ…キーボードなのかな… ……大きなヘルメットのようなものに頭を包まれて測定… …そうだ……頭をあまり動かせないから… 座ったままで弾ける楽器…だからキーボード…なのかな…)
(……でも、私… あかりさんと出会ってから…いろんなことが大きく変わってきてる… もし出会ってなければ、この夏休みは普通に受験勉強してるはず… そして、思ったように成績が上がらずに… なんか、すっきりしない毎日が続くような感じがする…)
(……あかりさん… ほんとうに… ありがとうございます…)

みのりは、身辺で次々と起こる予想もしていなかった出来事に、驚きながらも感謝の気持ちを一層強めていた。また、受験勉強から解き放たれたみのりの脳は、さらに活き活きと本来の活動を始めていた。
そして、この日も「宇宙の入門講座」を読んでいた。
(…宇宙で最も多くを占めているものは「ダークエネルギー」 …えっ、そうなんだ…。宇宙全体の約68% 宇宙が膨張し続けている最大の原因… しかし、その本体は未解明…)
(…それに対して、宇宙の約27%を占めているのが「ダークマター」 …これは、直接観察できないけれど、大きな質量を持ち、それによって大きな重力を作り出している…だから、星や銀河がバラバラに飛び散って行かない…)
(……私たちに見えているのは… ダークエネルギーとダークマター以外の、残りの5%だけ… それが原子とか素粒子… ……私たちが知っていることって… …ごく一部なんだ…)

その日、アストレア楽器株式会社では、みのりのブランドイメージキャラクターとしての具体的な撮影スケジュールや、「育脳キャンペーン」の具体的内容が、おおよそ定まっていた。
天野社長は広報部の川村と、営業部の佐藤を部屋に呼んだ。
「育脳キャンペーンは、じっくりと進めたいと思うんだけど、ポスター用の写真撮影とか、ごく短いCM動画の撮影は、出来るだけ早めに進めたいと思うんですよ」

川村は、社長の意図するところは百も承知であった。
「はい。撮影の準備は、明日の午前中には完了するように進めます。…ですので、みのりさんの都合さえよければ、明日の午後には撮影可能です」

「うん、そっか…。じゃ、今晩はちょっと遅いので、明日の朝9時ごろに、みのりさんに連絡入れて、もし都合が良ければ、14時ごろから撮影開始にしましょうか…」

「はい。承知しました」

「佐藤さん。また、みのりさんの送迎お願いできますか」

「はい、承知いたしました」

社内の誰もが、一刻も早く、みのりを起用した宣伝活動を開始し、会社を急成長させたかった。

◆ 翌朝の連絡
次の日の朝、みのりに連絡が入った。
(…あっ、川村さんからだ…)
「はい。みのりです」

「アストレア楽器の川村です。朝早くからすみません。今、お時間よろしいですか?」

「はい。大丈夫です」

「みのりさんをイメージキャラクターとして撮影する件なのですが… 本当は、もう少し余裕をもって日程を調整すべきなのですが…。…実は… 一刻も早くみのりさんを起用した宣伝活動を開始したいということになりまして…。そこで、相談事なのですが… もし、今日の午後にご都合がよろしければ、一部だけでも今日の午後に撮影したいと思いまして…」

「いいですよ。私は夏休みに入っていますし…」

「ありがとうございます。本当に、突然のお話で、申し訳ありません。それでしたら、当社の佐藤が、みのりさんのお家まで迎えに行きます。13:30頃にお伺いするということで、よろしいでしょうか…」

「はい、わかりました。お待ちしています。…えっとぉ…服装はどうするのがよいでしょうか…」

「写真撮影時の服は当社で用意していますので、みのりさんは普段着のまま来ていただければ結構です。あと、お母様には私から連絡しましょうか?」

「母は出勤前で、まだリビングに居ると思いますので、お電話変わります。ちょっと待ってくださいね…」

「ママ~っ! 楽器店の川村さんから…。今日撮影するらしいので、その連絡なの。電話に出て」

みのりはスマホを持ってリビングに降り、ママは川村と、今日の午後のみのりの予定について確認し合った。

「みのり、初仕事だね。…それにしても、お迎えが来てくださるなんて… すごい待遇ね(笑)」

「うん… そのぶん、頑張ってくるよ(笑)」

◆ 佐藤によるお迎え
アストレア楽器・営業部の佐藤は、時刻通りに、みのりの家に到着した。
「みのりさん。おはようございます。本日はよろしくお願いいたします」

みのりは少し緊張しながら頭を下げた。
「よろしくお願いします」

佐藤は、優しく微笑んで車の後席ドアを開け、シートベルトの着用を確認したのち、会社に向けて出発した。万が一のことがあってはならないので、佐藤は相当に気を遣っていた。
「今日は、ポスター用の写真撮影だそうですね。エレキギター、サックス、キーボードの、3種類の楽器で撮影する予定のようです。簡単なメイクとかも、プロの方がやってくれますので、楽しんでくださいね」

「…そうなんですね… メイクとかもしてくださるんですね… …なんか、楽しみ(笑)」

「社長も、広報部も、撮影スタッフも、みのりさんに会えること、凄く楽しみにしていますよ」

◆ 本社ビル到着
本社ビルに到着すると、広報部の川村が、すでに入口で待っていた。
「みのりさん、本日はありがとうございます。最初に、撮影用に簡単なメイクをしたいと思いますので、そのお部屋に案内します」

川村が案内した先は、白いライトが柔らかく反射する、メイク専用の小部屋だった。部屋の中央には大きな鏡。その周囲には、プロ仕様の照明がずらりと並び、机の上にはブラシ、パフ、ヘアアイロン、整髪料──見たことのない道具類が整然と並んでいた。

みのりは、初めて見るその部屋を、隅々まで見渡した。
(……わぁ…… こんなに色んな道具があるんだ……)

部屋の奥から、落ち着いた雰囲気の女性が現れた。アストレア楽器が契約しているプロのメイクアップアーティストだった。
「こんにちは、みのりさん。今日は、あなたを、ポスターに映える姿に仕上げますね。どうぞ、こちらの椅子にお座りください」

みのりは、少し緊張しながら椅子に座った。
「…よろしくお願いします」

メイクさんは、みのりの顔を丁寧に見て、柔らかく微笑んだ。
「みのりさん、肌がとても綺麗ですね。ほとんど下地だけで十分です。あとは、楽器を持ったときに映えるように、目元を少しだけ整えますね」

みのりにとっては、もちろん初めての体験である。どんなふうな自分になっていくんだろうと、ちょっとワクワクした。

メイクさんは、手際よく進めながら言った。
「今日は、エレキギター、サックス、キーボードの3種類だと伺っていますので、どれにも合うように、ナチュラルで上品に仕上げますね」

鏡の中の自分を見ていたみのりは、ほんの少しだけ目を丸くした。
(……なんか……大人っぽい…… ちょっとだけ、自分じゃないみたい……)

メイクさんは、最後に髪を整えながら言った。
「はい、完成です。とても綺麗ですよ、みのりさん。撮影が楽しみですね」

みのりは、メイクが終わると、佐藤に誘導されて、その隣に設けてあった更衣室に入った。
「みのりさん、撮影用の衣装はこちらになります。Astrea Music Inc. のロゴ入りの公式ウェアです」

衣装ラックには、白を基調とした清潔感のある長そでのシャツと、ネイビーのプリーツスカートが並んでいた。

みのりは思わず息を呑んだ。
(……わぁ…… なんか……高校の制服みたいだけど…… ちょっとだけ大人っぽい……)

佐藤は、衣装をそっと手に取りながら言った。
「みのりさん、こちらが“育脳キャンペーン”の公式衣装になります。ブランドイメージを大切にしたデザインで、どの楽器を持っていただいても映えるように作られております」

みのりが衣装を見つめると、佐藤は続けた。
「今回の衣装では、みのりさんが最初のモデルになりますので、ブランドの“顔”としてふさわしい印象になるよう、広報部とデザイナーが丁寧に仕上げた衣装です」

みのりは、そっと衣装に触れた。
「……すごく…カッコいい…」

メイクさんも微笑んだ。
「みのりさんの雰囲気にぴったりですよ。では、こちらで着替えていただきましょうか…」

みのりは頷き、衣装を抱えて更衣室へ向かった。

着替えを終わったみのりを見て、佐藤が嬉しそうに言った。
「みのりさん、とても素敵ですよ。じゃ、スタジオに向かいましょうか…」

更衣室の外で待っていた川村も微笑んだ。
「では、撮影スタッフが待っていますので、スタジオへご案内します」

廊下を歩くと、遠くから照明の熱気と、スタッフの小さな声が聞こえてきた。
(……いよいよ……撮影なんだ……)
みのりは、ちょっとドキドキしてきた。

そして、アストレア楽器の撮影スタジオの扉が静かに開いた。
そこには、天野社長の姿もあり、笑顔で迎えてくれた。
「みのりさん、とても綺麗に仕上がっていますよ。よろしくお願いします」

みのりは少し照れながら頭を下げた。
「ありがとうございます……」

その後ろには、すでに準備を終えたスタッフたちが並んでいた。そして、大型のソフトボックスライト、背景紙、反射板、複数のカメラ、モニター、楽器が三つ──サックス、エレキギター、キーボード。

◆ 撮影開始
カメラマンが軽く会釈してから、みのりを誘導していった。
「では… 最初は、サックスからお願いしましょうか…。音は出さずに、構えるだけで大丈夫です」

みのりは、静かにサックスを持ち上げて、演奏スタイルを取った。その瞬間、スタジオの空気がわずかに引き締まった。スタッフの視線が自然とみのりへ向いた。

カメラマンは、構えを確認しながら小さく頷いた。
「……いいですね。とても自然です」
そして、様々な角度から、何回もシャッターを切った。

天野社長は、腕を組んだまま静かに見守っていた。その表情は驚きというより、“確信を深めている”という穏やかなものだった。

次に、カメラマンがエレキギターを指し示した。
「では、次は、こちらをお願いします」

みのりがギターを持つと、カメラマンは構図を確認しながら、静かに息を整えた。
「……うん、いいですね。そのまま少しだけ角度を変えてみましょうか…」
シャッター音が続いた。

天野社長は、エレキギターを持ったみのりを見て、ほんのわずかに目を細めた。
(……やはり、この子は……楽器を持つと雰囲気が変わる……)
しかし声には出さず、ただ静かに見守っていた。

最後に、カメラマンは、キーボードほうを案内した。
「じゃ、電源入れずに、実際に弾いている感じで、鍵盤に触れてみてください」

みのりは、そっと指を置き、演奏している雰囲気を出した。

「……はい、その感じでお願いします」
カメラマンは、満足した表情で、淡々とシャッターを切った。

一通りの写真撮影が終わり、スタジオの照明が少し落とされた。カメラマンは機材を整えながら、社長のほうに軽く会釈した。

◆ 撮影終了直後 ―― 社長の「少しだけ、聴いてみたい」
天野社長は、モニターに映る写真を確認しながら、ふとカメラマンに声をかけた。
「……あの… 短い動画なら、撮ることできますか?」

カメラマンは即座に頷いた。
「もちろん大丈夫です。静止画と同じ環境で撮れますので、すぐに準備できます」

社長は、少しだけ照れたように笑った。
「ありがとうございます。…実は… …みのりさんが実際に楽器を持っている姿を今日初めて見るんですが… どうしても、みのりさんの“生の演奏”が聴きたくなったものですから…」

カメラマンは、少し驚いたように目を瞬いた。
「……演奏されるんですか?」
その返事の意味は、普通、イメージキャラクターとして起用される女の子は、すごくカワイイけれども、実際に楽器は演奏出来ないか、出来たとしても当然のことながらプロには及ばない、というのが常識だったからである。

川村が控えめに補足した。
「ええ。みのりさんは、演奏家でもあります。今日は、写真だけの予定でしたが… 社長が少しだけ音を聴いてみたいと…」

カメラマンは、静かに息を整えた。
「……そうでしたか。では、動画の準備をします」

社長は、みのりのほうへ向き直った。
「みのりさん…… 恥ずかしいお願いなんですが…… 少しだけ、音を聴かせてもらっていいですか?」

みのりは、照れながら笑った。
「いいですよ。じゃぁ……ちょっと遊ばせていただきます(笑)」

スタジオの空気が、その期待感によって瞬時に変わった。

みのりは、キーボードのパネルに並んでいる沢山のボタンを確認した。
「じゃ、キーボードは伴奏楽器として使わせていただきますね」
そう言いながら、「MODERN JAZZ SWING」のボタンを押した。

柔らかいウォーキングベースとブラシのドラム、ライドシンバルの軽いスウィング、そしてジャズギターのコンピングが、Ⅱ–Ⅴ–Ⅰの循環コードで流れ始めた。

みのりはエレキギターを手に取り、流れている循環コードの上に軽いフレーズを乗せ始めた。最初は柔らかく、次に少し跳ねるように、そしてブルースの泣きを混ぜながら、モダンジャズ特有の跳躍や半音階のアプローチを自然に織り交ぜていった。

カメラマンは、みのりのギターによる最初の数音が流れ始めたとき、ファインダーを覗くのをやめ、直接にみのりのほうを見た。
(えっ!? ……あの女の子が… 本当に弾いてる?? …うそだ…  …いや…、本当に弾いてる…  ……なんということだ…)

天野社長は、動画で見た時と、生演奏を聴いた時の大きな差に、まず驚いた。小さな画面と小さなスピーカーで視聴しているのとは、さすがに臨場感は桁違いである。そして、指の動き、手の動き、全身の動きが、空気の揺れとして伝わってくる。
(……動画でも驚かされたが… 実際にこうやって目の前で弾かれると… その異次元さがよくわかる… プロのジャズ演奏家でもあるまいに… …こんな味が出せるとは…)

みのりはギターを置き、キーボードのほうに行って、ボリュームを少し上げた。
そして、サックスを手に取り、循環コード
G♭7(♯9) → A♭m9 → D♭7(♭13)
の上に、柔らかいモダンジャズのメロディを乗せた。
語尾のサブトーン、ブルースの泣き、モーダルな跳躍、そして間の使い方も絶妙であった。

♪ F–G♭–A♭–C–B–A♭|E♭–F–A–C♯–C–B♭|G♭–A♭–D♭–F–E–C♯ ……

天野社長は、サックスの威力を痛感した。エレキギターの音はアンプを経てスピーカーから再生されるが、サックスはリードによる空気振動と管が共鳴して生じる倍音の超高周波成分が多量に含まれている。それはもう、皮膚を含めた全身から音が体内に浸み込んできた。
(……まさに… 鳥肌が立つとは、このことだ… 全身がぞくぞくする…)

川村は、例のお店で、みのりたちの生演奏を聴いていたわけであるが、ジャズもこんなふうに表現できることに驚いていた。
(……ジャズも… こんなふうにして…遊びながら弾いている… …そうなんだ…遊びの感覚ってこれなんだろうな…)

また、佐藤は思った。
(……高級なジャズ喫茶で生演奏を聴いているみたい… これに、水瀬さんのドラムとかが入ってきたら… もう、高いお金出してでも聴きに行きたい…)

みのりは、サックスのあとは、またギターに持ち替え、ギターの音量を少し上げて遊んだ。
跳躍と半音階を自在に織り交ぜたモダンジャズのギターラインであった。

A♭–C♭–C–E♭–F–G♭|A♭(slide→)B♭–A–G♭–E–F|C♯–D–F–A♭–G–E♭

今度は、再びサックスに持ち替え、違うフレーズを色々と吹きながら遊んだ。

そんな楽しそうなみのりを見て、天野社長は、驚き、うっとりし、新たな確信を持った。
(……この子を、当社のブランドイメージキャラクターにしないで、他の誰を起用するというのだ…… …このような子は、世界中探してもいないと思う… 30万なんて安すぎる…)

みのりは、やがて、エンディングっぽく吹いてからサックスを置いた。

A♭m9 → D♭7(♭9) → G♭△7
♪ E♭–F–A♭–C♭–B–A♭|G♭–F–E–C♯–D♭|A♭(subtone)–G♭–F–D♭–G♭

「……こんな感じで… いいですか?」

そこにいた社員やスタッフが、思わず大きな拍手をした。
「すごーーい!! みのりさーーん!」
「かっこいいーー!!」

社長は、少しだけ声を震わせながら答えた。
「……ありがとう……  …本当に……ありがとう、みのりさん……」
少し、目元が潤んでもいた…。

カメラマンは、その演奏の凄さに驚き、感動するとともに、社内の狭い撮影スタジオが、いきなり極上のジャズ演奏会場になったことに呆然としていた。
(……………ものすごい……)

しばらくの間を置き、カメラマンが現実を取り戻すように、静かにしゃべり出した。
「……あの… 社長さん… 最初に静止画を撮りましたが、演奏中の彼女の魅力は桁違いに大きいと思います。……自分のスタジオに帰ってから、この動画を見直し、人に大きな感動を与えるであろうシーンを幾つか選んできますので…、その中からポスターに使うものを選んでいただければと思います」

天野社長は静かに頷いた。
カメラマンは続けた。
「…あと… …何気なく伴奏を入れておいて、即興演奏としてギターやサックスで… しかもこの演奏レベルで遊ぶシーン… …そして…彼女のような理知的なビジュアルの女の子… このような人は、世の中広いと言えど、まずいないでしょう…。本当にびっくりしました… CM用に短く編集した動画も作成してきますので、また見てください」

天野社長は、深く頷きながら返答した。
「私も同感です。今日、彼女がジャズを選んだことも、遊び感覚を強くアピールできるように思います。……伴奏だけ、何らかの装置であんなふうに入れておけば……いろんな楽器でメロディーを乗せて遊ぶことができる…。その結果として、脳が大きく発達していく…。……そして… 私たちの会社は、生徒さんや学生さんに、手ごろな価格帯の楽器を複数お勧めする…」

川村、佐藤、カメラマン、一緒に聞いていたメイクさんも、大きく頷いた。
そして、まだまだ聴きたいという気持ちを抑えながらも、川村はみのりに撮影終了を告げた。
「…みのりさん… 今日は…本当にありがとうございました。ずっと聴いていたいのですが… そういうわけにもいきませんので… 今日の撮影は、これで終了したいと思います。ありがとうございました」

社長以下、スタッフ全員が、みのりをうっとりと眺める中、みのりは笑顔で頭を下げた。
「こちらこそ、ありがとうございました」

このようにして、みのりの初撮影は、スタジオに居た全員の心を、わしづかみにしたまま終えたのであった。

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