花粉症対策にはヒスタミン分解酵素活性を低下させている栄養素不足を解消することも必要

花粉症対策にはヒスタミン分解酵素活性を低下させている栄養素不足を解消することも必要

 花粉症に関する記事は、これが4件目になります。因みに、一つ前の記事は『花粉症は皮膚の病気でもある ─ スギ花粉の Cry j1 は皮膚からも侵入する』でした。今回も、Cry j1 が少しだけ登場しますが、重複する説明は割愛させていただきます。

◆Cry j1(入口)からヒスタミン分解(出口)までを一つの流れで理解する
 花粉症というと、花粉が体に入る“入口”ばかりが注目されます。しかし実際には、症状の強さは“出口”で決まることがあまり知られていません。その出口とは、ヒスタミンをどれだけ速く処理できるかという能力です。
 ヒスタミンを処理する中心的な酵素が DAO(Diamine Oxidase;ジアミンオキシダーゼ)です。DAO の活性が低いと、ヒスタミンが体内に長く残り、鼻水・くしゃみ・かゆみ・涙などの症状が強く出ることになります。

◆Cry j1 はどこでヒスタミンを放出させるのか
 スギ花粉に含まれる Cry j1(Cry j2 も同様)は、皮膚や鼻粘膜の上皮を通過し、そのすぐ下にある マスト細胞(肥満細胞)を刺激します。マスト細胞が多く存在する部分は、皮膚では真皮上層、鼻や腸などの粘膜では粘膜固有層です。いずれも“上皮のすぐ下”にマスト細胞が密集していると解釈して結構です。そのため、Cry j1 が侵入すると、即座に脱顆粒が起こり、大量のヒスタミンが局所に放出されます。

◆局所で放出されたヒスタミンは“血中”にも流れ込む
 花粉症のヒスタミンは局所で発生しますが、その一部は血中に流れ込みます。ここで重要なのが、“血中ヒスタミンをどれだけ早く処理できるか(=血中ヒスタミンのクリアランス)”ということです。そして、この“出口”を担うのが DAO という酵素なのです。

◆DAOとHNMTの役割の違い
 ヒスタミンを分解する酵素には2種類があります。
 1つはDAO(ジアミンオキシダーゼ)です。これの特徴は、主に腸粘膜で作られること、細胞外(血中・腸管内)のヒスタミンを処理すること、花粉症の症状の強さに直結することです。
 2つ目は、HNMT(ヒスタミン N‑メチルトランスフェラーゼ)です。これは、細胞内に存在(肝臓・腎臓・気道上皮など)すること、細胞内のヒスタミンを処理すること、気道反応性の調整に関与するが花粉症の主症状には直接関与しないことです。
 そして、花粉症で重要なのは、細胞外ヒスタミンを処理する DAO のほうだということになります。

◆DAOの働きを支える4つの栄養素
 DAOの活性は、単一の栄養素ではなく、次の4つの栄養素が同時に揃って初めて最大化されます。
 ① 銅(Cu)── DAO の“心臓部”
 DAOは、「銅含有アミンオキシダーゼ」に分類される酵素で、活性中心に銅が必須となっています。従いまして、銅が不足するとDAOは構造的に働けないことになります。
 ただ、先にupしております『ミネラルで特に不足を気にしなければならないのはMgとK、次にはFeとZnである』で述べましたように、日本人の場合は「推奨量に対する充足率」の平均値が131%と十分ですので、大抵の場合は銅不足は主因ではないと考えられます。

 ②亜鉛(Zn)── DAO を作る腸粘膜の“材料”
 DAOを作る細胞(腸粘膜)は、亜鉛が無いと正常に再生されません。従いまして、亜鉛不足の場合はDAOを作る細胞が減ることになります。
 亜鉛の「推奨量に対する充足率」の平均値は96%ですので、個人差を考えると、人によっては大幅に亜鉛が不足している場合が考えられます。亜鉛不足の場合、DAOが充分に作られませんので、いわゆるDAO活性が低下しているため、遊離されたヒスタミンが分解されずに濃度を増し、花粉症の症状が強く出ることになります。

 ③ビタミンB6── DAO 合成の“作業員”
 B6は、酵素の生合成において、全般的に基盤としての役割を担っています。従いまして、B6が不足しているとDAOの合成効率が低下し、やはりヒスタミンの分解が疎かになってしまいます。
 先にupしております『足りているビタミンと不足しているビタミンの全貌』で述べましたように、B6の「推奨量に対する充足率」の平均値は81%ですので、これは多くの人で明らかに不足していると言えます。花粉症の症状が強く出る人は、B6の補給状況について確認し、サプリメントによる補給を行っていないのであれば、行うようにしていただければと思います。

④ビタミンC── DAO とは別ルートでヒスタミンを減らす
 ビタミンCは、DAOの補因子ではありませんが、ヒスタミンを直接分解する作用があります。従いまして、C不足は血中ヒスタミン濃度を上昇させてしまいます。
 ビタミンCの「推奨量に対する充足率」の平均値は81%ですので、これも明らかに不足していると言えます。花粉症の症状が強く出る人は、ビタミンCの補給状況について確認し、サプリメントによる補給を行っていないのであれば、行うようにしていただければと思います。

◆まとめ
 以上をごく簡単にまとめておきますと、添付しました図(高画質PDFはこちら)に示しましたように、肥満細胞(マスト細胞)から放出されたヒスタミンは、DAOとHNMTの2つの酵素によって分解・処理されるのですが、花粉症の場合は特にDAOによる処理が大きく影響します。そして、図の右下の表に載せておきましたように、DAOに直接的に関わる栄養素のうち、日本人においてDAO活性のボトルネックになっている可能性の高いものの筆頭がビタミンB6とビタミンCであり、次いで亜鉛だということです。花粉症の症状が強い場合、これらの栄養素の摂取状態を確認し、不足していそうであれば、すぐにでも補給することが大切だということです。

 
タイトルとURLをコピーしました