蓄積性毒の最優先対策(前編)──PFASとマイクロプラスチックの排出を考える

蓄積性毒の最優先対策(前編)──PFASとマイクロプラスチックの排出を考える
スポンサーリンク

《今回のアイキャッチ画像(高解像度版)》

◆ はじめに
 前回の記事では、様々な種類と性質を持つ様々な毒性物質が、「毒」という一つの語で語られていることが、巷のデトックス情報の混乱を招いているという、いわば構造的な問題について整理しました。そして、体が処理できる毒(蓄積しない毒)と、体が処理できない毒(蓄積する毒)を明確に区別し、後者のなかでも脂溶性毒は、胆汁として排泄されても再吸収されるという性質を持ちますので、肝臓や脂肪組織に蓄積してしまう、ということを述べました。

 なお、蓄積性毒の蓄積と自覚症状との関係につきましては、次のような特徴があります。それは、毒が肝臓や脂肪組織に隔離されている間は、自覚症状は出にくいということです。そして、蓄積量が一定の閾値を超えると、血中に漏れ出して免疫系やホルモン系に影響を与え、急に体調不良として表面化することになるわけです。従いまして、「症状がないから安心」というわけではなく、蓄積量を増やさない生活習慣が重要になるわけです。

 また、現代の生活環境では、職種・地域差・生活習慣などの違いによる個人差はあるものの、平均的には「微量ながら確実に蓄積性の毒に曝されている」こと。そして、汗や尿として排泄される水溶性毒とは異なり、脂溶性毒は一般的なデトックス法では殆ど排泄できないことも前回の記事にて述べました。だからこそ、最も基本的な対策は、排出することよりも、できるだけ体内に入れないことが基本になる、ということです。

 そこで、今回の記事では、読者の方が最も知りたいであろう「蓄積してしまった毒は、どのようにすれば少しでも早く体外へ排出できるのか」という点について、話を進めていきたいと思います。

◆ 現代人が受けている影響の大きい蓄積性毒の順位
 蓄積性の毒と一口に言いましても、その種類は多岐にわたり、化学的性質も、体内での挙動も、健康への影響も、それぞれ異なります。そして、どの毒が最も健康を害しているのか…ということにつきましては、これも、職種・居住地域・生活習慣などによって大きく異なります。ただ、やみくもに恐れることは非効率ですので、まずは全体像を掴むために、影響の大きい順に整理してみました。即ち、現代の平均的な生活環境や生活習慣の場合に、どの種類の毒が大きな影響を与えているのか、影響の大きそうなものから順に並べたということです。では、その結果を順に紹介します。

① PFAS(有機フッ素化合物)
── 現代人の健康影響の最大要因
 PFASは「永遠の化学物質」と呼ばれるほど分解されにくく、血中半減期が数年から十数年に及びます。飲料水、食品包装、調理器具、衣類など、曝露経路が極めて広範囲であるため、世界中の人々の血液から検出されています。現代人が最も確実に曝されている蓄積性毒と言えるわけであり、免疫系、ホルモン系、肝臓への影響が示唆されています。

② マイクロプラスチック/ナノプラスチック
── 曝露経路が多く、今後の最大懸念
 食品、水、空気、衣類、建材など、生活環境のあらゆる場面で曝露が生じます。体液に溶けず、組織中に残存するため、内分泌かく乱、心血管系、免疫系などへの影響が懸念されています。研究が進むほど問題が拡大しており、現代生活の構造そのものが曝露を避けにくい状況になっています。

③ ダイオキシン類
── 食物連鎖による慢性的な微量曝露
 過去の環境汚染が現在も残留しており、食物連鎖で濃縮されるため、肉類・乳製品・魚介類などから微量の曝露が続いています。半減期が非常に長く、肝臓や脂肪組織に蓄積するため、少量でも長期的な影響が問題となります。

④ PCB(ポリ塩化ビフェニル)
── 過去の汚染の名残としての低レベル曝露
 現代では新規使用はありませんが、環境中に残留しているため、食品から微量の曝露が続いています。半減期が極めて長く、蓄積性が高いものの、現代人の曝露量はPFASやマイクロプラスチックほど高くはありません。

⑤ 有機塩素系農薬(DDTなど)
── 地域差のある曝露
 現在は使用されていませんが、土壌や水系に残留しているため、地域によっては食物連鎖を通じて微量の曝露が生じます。曝露量は地域差が大きいのが特徴です。

⑥ 難分解性香料・化粧品成分
── 個人の生活習慣による差が大きい曝露
 香料や化粧品の使用量は個人差が大きく、曝露量も人によって大きく異なります。脂溶性で残留する成分があるため、長期的な蓄積が問題となる場合があります。

▼ まとめ:現代人が優先的に対策すべき蓄積性毒
・最も問題が大きい:PFAS、マイクロプラスチック/ナノプラスチック
・次に問題となる:ダイオキシン類、PCB
・個人差が大きい:難分解性香料・化粧品成分、有機塩素系農薬

 この優先順位を踏まえまして、次に、それぞれの蓄積性毒に対して「排出を促す可能性のある方法」を具体的に整理していきたいと思います。

◆ 蓄積性毒の排出を促す可能性のある方法
【1】PFAS(有機フッ素化合物):排出を促す可能性のある方法
 上述しましたように、PFASは「永遠の化学物質」と呼ばれるほど分解されにくく、血中半減期が数年から十数年に及びます。飲料水、食品包装、調理器具、衣類など、曝露経路が極めて広範囲であるため、世界中の人々の血液から検出されています。現代人が最も確実に曝されている蓄積性毒と言えるわけであり、免疫系、ホルモン系、肝臓への影響が示唆されています。
 PFASは、脂溶性の性質を持ち、血液中のタンパク質や肝臓のタンパク質に強く結合して長期間残留します。また、脂肪組織にも一部が蓄積しますが、主として蓄積の中心となるのは血液と肝臓であると考えられます。そのため、一般的なデトックス法では排泄を促すことは困難です。ただ、完全に排泄することは難しいとしても、「再吸収を減らす」「体内濃度の上昇を抑える」「長期的に少しずつ排泄を促す」という観点から、現実的に取り得る対策はいくつか存在します。

① 食物繊維の摂取(腸肝循環の抑制)
 PFASは、胆汁中に排泄された後、腸管で再吸収される「腸肝循環」によって体内に戻ってきます。従って、腸管内でPFASを吸着して便として排泄させるためには、食物繊維の摂取が有効である可能性があります。特に、水溶性食物繊維(イヌリン、ペクチン、グアーガムなど)は、胆汁酸を吸着しやすい性質を持つため、腸肝循環を抑制する働きが期待できます。もちろん、食物繊維によってPFASが完全に排泄されるわけではありませんが、腸肝循環の再吸収を減らすことで、長期的には体内濃度の上昇を抑えることができます。

② 肝臓の代謝能力を維持する生活習慣
 PFASは肝臓に蓄積しやすいので、肝機能に影響を与える可能性が示唆されています。従って、肝臓の代謝能力を低下させない生活習慣は、間接的ではありますが、PFASの長期的な排泄を促すために重要です。そのためには、過度の飲酒を避ける、睡眠を十分に確保する、過剰な脂肪摂取を控える、運動習慣を維持する、抗酸化物質を含む食品を摂る(野菜・果物)、などを挙げることができます。肝臓の代謝能力が保たれているほど、胆汁排泄が正常に行われ、腸肝循環の効率も適切に保たれます。

③ 皮脂排泄を促す生活習慣
 PFASは水溶性ではないため、汗や尿として排泄される量は極めて少ないのですが、皮脂には脂溶性物質が混じるため、皮脂排泄はわずかながら排泄経路となり得ます。そのため、入浴(特に湯船に浸かる)、適度な運動、皮脂分泌を促す温熱刺激、などを挙げることができます。もちろん、皮脂排泄によって大量のPFASが排泄されるわけではありませんが、長期的には「わずかな排泄経路を積み重ねる」という意味で有効です。

④ 飲料水の選択(曝露量の低減)
 PFASは飲料水からの曝露が最も広範囲であるため、排泄を促す以前に「入れないこと」が極めて重要です。そのため、活性炭フィルター(PFASの一部を吸着)、RO(逆浸透膜)浄水器(PFAS除去率が高い)、ペットボトル水はナノプラスチックの問題があるため慎重に選ぶ、などを挙げることができます。飲料水の選択は、PFAS対策の中でも最も効果が大きい部分です。

⑤ 長期的な体重管理(脂肪蓄積の抑制)
 PFASは脂肪組織にも少し蓄積するため、長期的な体重管理は、蓄積量を増やさないために重要です。ただし、急激なダイエットやファスティング(断食)は、脂肪から毒性物質が放出されるため、体内濃度を一時的に上昇させる可能性があります。従って、体重管理は「ゆっくり」「長期的に」行うことが基本となります。

▼ まとめ
 PFASは現代人が最も確実に曝されている蓄積性毒であり、排泄が困難であるものの、腸肝循環の抑制、肝臓の代謝能力の維持、皮脂排泄の促進、飲料水の選択、長期的な体重管理など、現実的に取り得る対策は複数存在します。これらを積み重ねることで、長期的には体内濃度の上昇を抑え、わずかながら排泄を促すことが可能になります。

【2】マイクロプラスチック/ナノプラスチック:排出を促す可能性のある方法
 マイクロプラスチックやナノプラスチックの詳細につきましては『マイクロプラスチックやナノプラスチックの脅威』にて述べている通りですので、必要に応じてご覧ください。
 上述しましたように、マイクロプラスチックやナノプラスチックは、食品、水、空気、衣類、建材など、生活環境のあらゆる場面で曝露が生じます。体液に溶けず、組織中に残存するため、内分泌かく乱、心血管系、免疫系などへの影響が懸念されています。研究が進むほど問題が拡大しており、現代生活の構造そのものが曝露を避けにくい状況になっています。
 また、粒子のサイズが小さいほど体内での移動性が高く、ナノサイズの粒子は細胞内にまで侵入する可能性が指摘されています。従いまして、マイクロプラスチック/ナノプラスチックは、PFASと並んで現代人が優先的に対策すべき蓄積性毒と言えます。
 完全に排泄することは難しいとしても、「再吸収を減らす」「体内濃度の上昇を抑える」「長期的に少しずつ排泄を促す」という観点から、現実的に取り得る対策はいくつか存在します。

① 食物繊維の摂取(腸管内での吸着)
 マイクロプラスチックは体液に溶けないため、腸管内を移動する際に、食物繊維が粒子を吸着し、便として排泄される可能性があります。特に、水溶性食物繊維(イヌリン、ペクチン、グアーガムなど)は、腸管内でゲル状になり、異物を包み込む性質を持つため、粒子の排泄を助ける働きが期待できます。もちろん、食物繊維によってすべての粒子が排泄されるわけではありませんが、腸管内での滞留時間を短くし、再吸収の可能性を減らすという意味で有効です。

② 腸内環境の改善(粘膜バリアの維持)
 腸内環境が悪化し、粘膜バリアが弱くなると、異物が体内に侵入しやすくなります。マイクロプラスチックは腸管の炎症を助長する可能性があるため、腸内環境の改善は、粒子の侵入を防ぐうえで重要です。そのため、発酵食品(味噌、納豆、ヨーグルト)や食物繊維を積極的に摂取すること、過度なアルコール摂取を避けること、充分な睡眠を確保することなどによって、腸管の粘膜バリアが保たれているほど、粒子の体内侵入が抑えられます。

③ 皮脂排泄を促す生活習慣
 マイクロプラスチックは脂溶性化学物質を吸着しやすく、皮脂中に混じる可能性があります。従って、皮脂排泄はわずかながら排泄経路となり得ます。そのため、入浴(湯船に浸かる)、適度な運動、温熱刺激による皮脂分泌の促進が有効となります。もちろん、皮脂排泄によって大量の粒子が排泄されるわけではありませんが、長期的には「わずかな排泄経路を積み重ねる」という意味で有効です。

④ 粉塵の吸入を減らす生活習慣(曝露量の低減)
 マイクロプラスチックは、衣類、カーペット、建材、塗料などの摩耗によって空気中に漂います。従って、吸入を減らす生活習慣は、排泄を促す以前に「入れないこと」として極めて重要です。そのため、換気をこまめに行う、カーペットを避ける、または頻繁に掃除する、化学繊維の衣類を減らす、室内の埃を溜めない、空気清浄機を使用することなどが有効となります。

⑤ 飲料水と食品の選択(曝露量の低減)
 飲料水にはナノプラスチックが含まれていることが確認されており、食品包装や調理器具からも微量の粒子が移行します。そのため、プラスチック容器を電子レンジで加熱しない、ガラス・ステンレス容器を使う、水は浄水器を通す(RO(逆浸透膜)が最も有効)、魚介類は小型魚を選ぶ(食物連鎖の濃縮を避ける)など、これらは粒子の体内への侵入を減らす上で有効です。

▼ まとめ
 マイクロプラスチック/ナノプラスチックは、現代生活の構造そのものが曝露を避けにくい形になっているため、完全に排泄することは困難です。しかし、食物繊維の摂取、腸内環境の改善、皮脂排泄の促進、粉塵の吸入を減らす生活習慣、飲料水と食品の選択など、現実的に取り得る対策は複数存在します。これらを積み重ねることで、長期的には体内濃度の上昇を抑え、わずかながら排泄を促すことが可能になります。

◆ 前編の終わりに
 本記事では、現代人が最も影響を受けている蓄積性毒であるPFASとマイクロプラスチック/ナノプラスチックについて、排出を促す可能性のある方法を中心に整理しました。これらは、生活環境の構造そのものが曝露を避けにくい形になっていますので、まずは「入れないこと」、そして「わずかな排泄経路を積み重ねること」が重要になります。

次回の記事では、ダイオキシン類、PCB、有機塩素系農薬、難分解性香料など、その他の蓄積性毒について、同様に現実的な対策を整理していきたいと思います。

 
タイトルとURLをコピーしました